【映画】『永遠の０』三浦春馬目当てで岡田准一にやられた件【ネタバレ・感想】

映画『永遠の0』は、百田直樹の原作の小説の映画化です。
第二次世界大戦の特攻隊で命を散らせた兵士の本心を、戦後60年が経過して改めて知ることになるという話です。

主演は岡田准一。三浦春馬演じる佐伯健太郎は、これまで知らなかった自分の祖父を追う役割を演じています。

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映画を観て好きだったところ、残念だったところを、ネタバレありで書いていきます。

永遠の0

永遠の0

永遠の0 DVD通常版

作品情報

製作年度	2013年
上映時間	144分
監督	山崎貴
キャスト	宮部久蔵（岡田准一）佐伯健太郎（三浦春馬）井上真央（松乃）井崎（浜田岳）景浦（新井浩文）大石（染谷将太）武田（三浦貴大）佐伯慶子（吹石一恵）清子（風吹ジュン）佐伯健一郎（夏八木勲）井崎（橋爪功）

予告

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好きなところ・戦争の悲しさ、時代の狂気が描かれている

司法試験に落ちまくり自信を失くした佐伯健太郎（三浦春馬）は、祖母、松乃の葬儀のとき、姉の慶子（吹石一恵）から、祖父の大石賢一郎（夏八木勲）と松乃は再婚で、健一郎は自分たちと血が繋がっていない話を聞かされます。

自分の家族に秘密があるとは思いもよらない健太郎は驚きますが、母の清子（風吹ジュン）は「あれー知らなかった？」と特別隠していた様子でもないそぶり。
フリーライターの慶子は仕事にしたい考えもあり、この機会に祖父のことを一緒に調べないかと健太郎に持ちかけます。

慶子と健太郎の血の繋がった祖父の名は、宮部久蔵（岡田准一）。
海軍の航空兵でしたが、健太郎と同じく26歳のとき、特攻隊で亡くなっていました。

健太郎と慶子は、戦時中、宮部と同じ隊にいた隊員たちを訪ねます。
しかし会う人たちから聞かされるのは、宮部が「臆病者」だったいう否定的な話ばかり。健太郎は本当のことを知らない方がよかったのかもと消極的な気持ちになります。

そんなとき、宮部の後輩だった井崎（橋爪功）から、宮部は臆病者だと言われていたけれど、優秀な航空兵で、家族の元に帰るために絶対に生きて帰るのだと強い意思を持っていた人だったことを聞かされます。

健太郎は宮部のことをもっと知りたいと思うようになり、自分と同じ年齢でありながら、過酷な日々を過ごした祖父の人生を自分に重ねるようになっていきます。

国に命を捧げるのが当たり前だった時代。宮部の考え方は今の考えからすれば、ごく当たり前の考えです。けれど時代が変われば、価値観も変わるというか、変わらざるを得ないことがある。
自分と同じ年齢だった祖父が、ただ家族の元に帰りたかったという希望もままならなかった当時の厳しい思想を健太郎は考えます。

ひ弱男子の健太郎は、司法試験に４回も落ちて目的を失っていましたが、知らなかった祖父の人生感が心に深く響き、自身の成長に繋がっていくところが、このストーリーの見所です。

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残念だったところ・虚しい気持ちになる

健太郎の本当の祖父、宮部久蔵（岡田准一）は、とても優秀な操縦士でしたが、妻の松乃（井上真央）と娘の清子の元に生きて帰るために絶対に死なないと、無駄な争いを避けていました。

宮部が大切にしたのは、自分の命だけではなく、隊員たちすべての命でした。
井崎（青年期・濱田岳）も宮部によって命を救われ、最初は宮部を嫌っていた景浦（青年期・新井浩文）ですら特攻隊に志願する宮部を必死に守ろうと思う。
景浦は攻撃的な性格で自分の命すら軽く考えていましたが、宮部から命の大切さを教えられるのです。

戦闘機に乗っている場面は怖さもあり、死の瀬戸際にいることが伝わりました。
ラストはきれいにまとまっていて、なぜ松乃が佐伯と再婚したのか、その理由がよくわかる流れになっているのはよかった。ただ佐伯が自分から特攻隊に志願した理由については、時代特有の感情だろうとしか語られないのがやはり残念でしたし、虚しさが残りました。

佐伯が、教え子や仲間が亡くなることに耐えきれなくなる心理は、岡田准一の演技力に頼る形になっています。

ネタバレ・松乃と健一郎のこと

絶対に戻ると松乃に誓った佐伯でしたが、特攻隊に志願して命を落とします。
当日、佐伯は自分が乗るはずだった戦闘機を、大石健一郎（青年期・染谷将太）のものと変えたことが明暗をわけ、大石は命拾いします。
佐伯から松乃のことを聞いていた大石は、松乃の元を訪ねますが、それはすべて佐伯が望んだことだったのです。

戦闘機の中で大石が乗っている戦闘機がエンジンの調子が悪くなり現地まで行けそうにないことを佐伯はわかっていました。
それを事前に知った佐伯は、大石を助けるために行動する。

ラストは出来すぎていると思いましたが、青年時の大石を演じる染谷将太の演技がとてもよかった。また大石に引き換えさせようとする岡田准一の表情はすごかったですね。

三浦春馬の役割について

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ドラマ「太陽の子」では戦地に向かう役を演じていますが、この映画での三浦春馬は、悩みはあるものの、のんびりと生きている現代のお坊ちゃんを演じています。姉、慶子に巻き込まれて、祖父探しを始めますが、だんだん自分の方が夢中になってのめり込む。

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司法試験に受かり仕事をしている友人らとは差がつき、合コンでも彼らは全員スーツで健一郎だけが普段着。明らかに場違いな格好で、しかもそこで健一郎は特攻隊について語りだしてしまう。

健一郎の考えを率直に口にする真っ直ぐな性格は、佐伯が戦争当時「生きて帰る」と公言していたのと少しだけ似ているのかも。
不器用なくらいに真面目な性格の慎一郎の役柄は、三浦春馬には合っていますね。

26歳の健一郎は司法試験を受けるくらいだから、優秀な人間なのでしょう。
でも自分の人生も含め、生きることをどれだけ真剣に考えたかといえば微妙だった。そんなとき祖父の人生に触れることが、人生を見つめなす大きな契機になるはず。

祖父の昔の仲間から「おじいさんの面影がある」と言われる場面がありますが、そう言われてみれば、岡田准一と三浦春馬は若干似ているところがないわけでもない。（似ているとは言えないけど）
同じ俳優が、父や祖父の若い時代も演じることがありますが、慎一郎を岡田准一が演じたらきっとおかしい。三浦春馬が演じた今っぽいけれど今っぽすぎない雰囲気は役柄にぴったりでした。

お母さんは風吹ジュンですが、そこはしっくりきます。
三浦春馬は子役時代、風吹ジュンとは『金融腐蝕列島　呪縛』で母子役で共演していました。