映画『こんな夜更にバナナかよ』は、筋ジストロフィーの男性と、それを支えるボランティアたちの物語です。
こんな夜更にバナナかよ
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作品情報
製作年度 |
2018年 |
上映時間 |
120分 |
監督 |
前田哲 |
キャスト |
・鹿野靖明(大泉洋) ・安堂美咲(高畑充希) ・田中 久(三浦春馬)
・前木貴子(渡辺真起子) ・鹿野清(竜雷太) |
公式
予告
好きなところ・考えさせられるが、よい話
北海道。筋ジストロフィーで身体が思うようにならない34歳の鹿野は、ボランティアを募り自宅で自立した生活を送っています。
医大生の田中は、鹿野のボランティアの一員ですが、わがままでやりたい放題の鹿野に振り回されてなかなかに大変。
そんなとき田中の恋人美咲が、田中のボランティア先である、鹿野の部屋を訪ねたのがきっかけで、鹿野のボランティアに参加することになります。
自分一人では何もできない鹿野が一人で生活をするためには、ボランティアの存在が欠かせない。また、誰かが絶えず側にいることになるので、厳密には一人暮らしとは言えないのかもしれません。
それでも鹿野は施設で寝たきりの生活を拒み、ボランティアを探しながら、できるだけ普通に生きて行こうと賢明です。
遠慮したり我慢しそうな立場になりがちな介助を受ける立場の鹿野ですが、ボランティアに対していいたいことを言い、要求も多く、正直すぎるほどに正直に生きている。ものすごく率直なのですが、そうしなければ生きてこれなかったという鹿野のこれまでの人生と、生命力の強さが感じられます。
対して美咲も鹿野に、最初から言いたいことをはっきり口にし、鹿野のわがままを「何様ですか」と言い切ってしまえる強さがあります。
鹿野は美咲に好感を持ち、次第に距離が縮まってゆく。
そんな鹿野の変わった日常が、笑いの多い、明るいタッチで描かれています。
考えさせられるところ・この話は実話
タイトルにもありますが、大泉洋演じる鹿野靖明さんは実在する人物です。
ドラマはとても感動するし、配役も脚本もとてもきれいにまとまっていますが、実際はシビアなことも多く問題もたくさん抱えていたであろうことが想像できます。
病状が進むと期間切開が必要になり、当時、痰を吸引するのは医療従事者か家族のみとされていたのですが、そうなれば医療施設から出られない。
だから鹿野は「ボランティアは家族」だと主張して元の生活に戻ります。
ここもドラマでは感動的に描かれていますが、実際はそんなに簡単に話がとおったはずがなく、苦労したであろうことが窺い知れました。
こちら原作。
介助を受ける側の気持ち、介助をする側の気持ちがわかりやすく描かれていて、感動するストーリー。けれど実際はこれほど単純ではなであろうことは想像がついてしまう。それでも誰かの生き方を知らないよりは、知った方がいいし、目をそらすことはできないテーマでもあります。
ネタバレ・恋のゆくえは?
彼氏の田中をつうじて鹿野と出会った美咲、最初は鹿野のことを図々しいと感じていた。でもその率直でまっすぐなところに惹かれて、一緒にいるのが楽しくなっていきます。
一方、医大生の田中は、美咲と喧嘩をして距離ができてしまいます。田中の心中には鹿野への嫉妬も見え隠れします。
田中は病院を経営する父親に対する思いや、患者と向き合う自信の損失から医師を目指すのをやめたほうがいいのかもと思い悩みもする。
田中と美咲の関係を知らない鹿野は、美咲への想いを募らせていくようになり、美咲も将来の夢と描きながらも、二人の男性の間で揺れています。
田中は穏やかでやさしい性格の男性ですが、鹿野は直球で隠し事のない強い人。田中の嫉妬は、美咲のことだけでなく、そういう鹿野の生き方そのものにも向けられているようです。
美咲は誰を選ぶのか、もしくは誰も選ばないのか。
そこがストーリーの見所です。
さいごに・三浦春馬をはじめ、すごい役者たち
演技が素晴らしく、とくに主演の3人は完璧です。感動しました。
鹿野役を演じる大泉洋はもちろんですが、高畑充希演じる美咲もとてもいい。
自分の考えに正直だけど、芯の部分に愛情を持っている魅力的な女性を好演していました。
また、三浦春馬が演じた田中は、鹿野と美咲とはいろいろな意味で対照的な立場にいる人。
二人に対してちゃんと愛情を持っているけれど、それを精神的に余裕がなくてそれを表現できない生身の男性という印象です。でもここで田中もめちゃくちゃポジティブだったら話が成り立たないので(面白くない)、絶対に必要な役所です。
田中がいることで、鹿野が光り、また美咲が引き立ちます。
最近、同じ役者(三浦春馬)の映画を観ているのですが、長いようで短いかもしれない14年ていどの年月で、とても多くの役柄を演じ、多くの作品を残していることに改めて気づき、そのすごさに驚かされています。
命の重さと比べることなど到底できませんが、普通の人間では到底こなせない仕事を成し遂げているその生き様は、ある部分で見習っていきたいとも思わされました。
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まとめ記事もあります。
それではまた。
のじれいか でした。