映画『めぐり逢えたら』は、トム・ハンクスとメグ・ライアン共演のラブコメ。
妻を亡くした男と、男に運命を感じた女が、運命の糸を辿ってめぐり逢うというもの。
クリスマス・バレンタインと、恋愛に欠かせないシーズンが描かれ、否応なしに盛り上がる演出も憎い。1993年に公開されてから現在まで、ラブコメ映画の金字塔として語り継がれている作品です。
『めぐり逢えたら』を観て感じたことをあれこれ書いていこうと思います。よろしかったら、お付き合いください!
めぐり逢えたら
作品情報
製作年度 |
1993年 |
上映時間 |
105分 |
監督 |
ノーラ・エフロン |
キャスト |
トム・ハンクス ビル・ブルマン ロス・マリンジャー ロージー・オドネル ギャビー・ホフマン ヴィクター・ガーバー リタ・ウィルソン
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予告
運命を感じた男と、運命を知らない女
建築家のサム(トム・ハンクス)は、妻を病気で亡くして、人生最悪の時期を乗り越えようと、息子のジョナ(ロス・マリンジャー)とシカゴからシアトルへと移り住む。1年半がすぎたが、サムは妻の死からまったく立ち直れてはいなかった。
サムの気持ちはもっともだと思います。ただこの映画はコメディなので、ここで主人公が妻の幻想と一緒に暮らし続けているわけにはいかない。
そこで立ち上がるのがサムの息子で、まだ8歳と幼いジョナ。ジョナはクリスマスの夜、全米中に放送されるラジオの人生相談で父の身の上を相談。「パパに新しい奥さんがほしいんだ」と相談します。何も知らないサムは、電話を替わって仰天しながらも、ラジオ番組に臆せず素直な気持ちを語る。クリスマスの夜の全米は感動の涙に包まれて、サムは一躍「シアトルの眠れぬ男」として有名になるといった流れです。
・妻とは運命だった、出会ったときから運命を感じていた
とサムが語るのを涙ながらに聞いている女性がアニー(メグ・ライアン)。アニーはボルチモア在住の記者で、婚約者のウォルター(ビル・プルマン)を実家に呼んだばかり。母親から運命の出会いについて語られても、自分とウォルターは偶然出会っただけで運命ではないと答える。つまり、運命を感じるほどの関係ではない(それほど好きではない)と匂わせている。
実際、アニーとウォルターの関係は、甘い関係とは言い難く見えますが、世の中の多くはこんな感じではないかなと思え、ウォルターが特別に嫌なやつだとか、癖のある男性というわけではないです。
ただどこかで運命の出会いを信じたいアニーは、サムにどうしても会いたくなる。自分でもおかしいと思いながら、「後悔はしたくない!」と「シアトルの眠れぬ男」宛に手紙を書く。
アニーが手紙を書いているとき、同僚のベッキー(ロージー・オドネル)と観ているのが映画『めぐり逢い』なのですが、劇中と同じように、バレンタインにエンパイア・ステートビルの屋上で待っていると手紙に綴るのでした。
「バレンタインにエンパイア・ステートビルの屋上」なんてアメリカ的なデートなんでしょう。これを日本に例えると「東京タワーのデッキ」なんかが近いんでしょうか。
運命の相手を探し出す女
どうしても「シアトルの眠れぬ男」の正体を知りたいアニーは、放送局経由で送った手紙だけでは飽き足らず、記者の立場を利用して男の正体を調べ、挙句に興信所にトムを調べてほしいと依頼します。
コメディなので笑っていればいいのですが、この時点で既に運命ではない気が。
一方、トムは息子もママを求めているし、ファンレターもたくさん届いたことで、新しい出会いを求めようかと重い腰を上げるのですが、新しく彼女になったヴィクトリア(バーバラ・ギャリック)に息子のジョナは浮かない顔。気に入らないわけです。
そんなジョナは、数あるファンレターの中からアニーの手紙に目をつける。ジョナのガールフレンドのジェシカ(ギャビー・ホフマン)のサポートを得て、トムとアニーを結び付けようとするのでした。
アニーはトムの名前と所在を突き止めて、取材を口実にシアトルへ。でもアニーはトムに話しかけることができず、軽く挨拶を交わしただけで戻ってきてしまう。確かにアニーのトムへの感情は、妄想がほとんどで恋に恋している状態だから、単なるマリッジブルーとも思えなくもない。
帰宅したアニーの元には、「シアトルの眠れぬ男」からエンパイア・ステートビルで逢たいと返事の手紙が届いていましたが、それは8歳のジョナが書いたものだからアニーは唖然。急に現実に戻って、予定どおりにウォルターと結婚しようと気持ちを立て直します。
逃した魚が大きすぎて泣く?
「シアトルの眠れぬ男」から返事をもらったのに、心が現実に戻って運命の出会いなんて…と思うようになったアニーは、ウォルターと約束していたとおり、ニューヨークのプラザホテルで過ごすことに。そしてティファニーで彼の母親のおさがりのエンゲージリングも受け取ります。
ティファニー のリングは<フローラ>。センターストーンの周囲に花びらのようにダイヤモンドがセッティングされている。肩にもサイドストーンがあしらわれているハーフエタニティのリングです。
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「びっくりすることを好む人も多いけど、私はそういうタイプじゃないから大丈夫よ」みたいなことを、ティファニーの店舗でリングを受け取ったアニーは言っていて、実はこの演出のなさにがっかりしているのが丸わかりなところはおかしい。別に私はこの演出で全然嬉しいですけど。「もっと大きな石じゃなくちゃイヤ」というのではないと思いますが。
結局、アニーはリングまで受け取りながら、まだよく知らない彼への思いを打ち明け、問題は自分の中にあると、ウォルターに婚約解消を申し出る。普通の男なら怒り心頭でしょうけれど、このウォルターという男性はすごい。
「自分の気持ちはさて置き、気がすすまいのに妥協で選ばれるような男にはなりたくない」そう言うと、さっき渡したばかりのティファニーのリングを胸にしまいます。
フラれて逆上、相手を恨むような話をよく聞くなかで、ウォルターの判断は心に響きました。きっと彼もすぐに幸せを掴みそうな予感。この映画のその後を想像して、アニーが逃がした魚は大きかったと未練たらたらになったら面白いと思いましたが、そんなことはないでしょうね。
男女を問わず、別れ際はその人の本質が出る。きれいに別れられる人はそれだけで魅力的ですし、株が上がります。
別れを切り出した方とはいえ、メグ・ライアン演じるアニーの吹っ切りのよさも凄い。たとえコメディでも、お互いさっぱりしているところは見習いたいと思いました。
子供に操られる大人たち
バレンタインの夜、エンパイア・ステートビルで逢う約束を交わしているトムとアニー。
トムはジョナから、ニューヨーク行きをすすめられても、行く気はない。父の態度に焦れたジョナはガールフレンドのジェシカに手伝ってもらい、アニーとの約束を果たすため、ひとりニューヨークに旅立ってしまう。
それを知ったトムは、ジョナを追って慌ててニューヨークへと。エンパイア・ステートビルでどうにかアニーとめぐり逢える。トムはアニーをシアトルの空港や、道路でも見ていて、実は密かに気になっていたのでした。
運命の出会いは存在するという納得のラストでしたが、これは子どもたちの協力あっての運命。操られた感満載でしたが、でも幸せになれるならアリですかね。
90年代以前の映画を観ていて感じるのは、携帯とSNSがない世の中は、なんてドラマチックなんだろうということ。実生活は不便でもドラマには携帯やSNSがない方が断然、物語が魅力的になります。
この映画のトム・ハンクスは、本当に魅力的で放っておくには惜しい男。またこの映画には、トムの義兄弟役でヴィクター・ガーバーが出演しているのが嬉しい。タイタニックでは設計師のトーマス・アンドリュースを好演しています。
クリスマス、バレンタインと寒い季節にぴったりの映画。まだ観ていない方はご覧になってみてはいかがでしょうか。
▼クリスマス映画はこちらにも
それではまた。
のじれいか でした。