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【映画】『あるスキャンダルの覚え書き』倫理観が欠落した女とストーカーの話【ネタバレ・感想】

映画『あるスキャンダルの覚え書き』
2007年に公開された映画です。

15歳の男子生徒と関係を持った美しい新任教師、その秘密を知った初老の女教師が、秘密を枷に依存を深めてゆくという話。
女同士の気持ちのせめぎ合いが描かれていきます。

実在の事件をモデルに書かれた小説の映画化で、主演はケイト・ブランシェット、ジュディ・デンチ


登場人物が全員、一見普通なのに価値観がおかしい、エッジの効いた映画です。
『あるスキャンダルの覚え書き』映画の感想(気持ち悪い女たち)をネタバレありで書いていきます。

 

 

 

 

あるスキャンダルの覚え書き

 

 

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作品情報

 

製作年度

2006年

上映時間

92分

監督

リチャード・エアー

キャスト

バーバラ・コヴェット
(ジュディ・デンチ)

 

シーバー・ハート
(ケイト・ブランシェット)

 

リチャード・ハート(ビル・ナイ)

 

スティーブン・コナリー(アンドリュー・トンプソン)

 

ブライアン(バングス・フィル・デイヴィス)

 

公式

 

映画「あるスキャンダルの覚え書き」公式サイト

 

孤独と依存を抱えるふたりの女 

 

ロンドンの中学校で歴史教師を勤めるバーバラ(ジュディ・デンチ)は、学校では堅物で嫌われ者。心を許せるのは老猫だけと孤独な初老の女。

一方で同じ学校の新人教師シーバ(ケイト・ブランシェット)は、周囲が落ち着きを失うほどに美しくて場違いな存在。

シーバに興味を持ったバーバラは、親切を装いシーバに近づく。話してみるとシーバはフランクな人柄で、気軽にバーバラを自宅に招く。

バーバラとシーバの距離は急速に縮まり、ふたりは友人に。

そんなある日、シーバはバーバラが15歳の生徒、スティーブン(アンドリュー・シンプソン)と関係を持つところを目撃してしまう。

シーバはバーバラにすべてを打ち明け、関係を断つことを誓う。そしてバーバラはこの件を封じることに。

しかしシーバはスティーブンと会い続けていた。そのことを知ったバーバラは裏切られたとシーバを憤るのだった。

 

 

 

……と、ここまでだと、人としても教師としてもアウトなのは、誰がどう見ても生徒と関係を持ったシーバ

シーバは生まれ育ちがよく、何不自由ない暮らしをしているが、夫のリチャード(ビル・ナイ)はシーバと歳も離れていて頼りなさそうな男。夫婦には二人の子供がいて可愛がっている。だけど物足りなさを感じている。

子育てがひと段落したので教師を始めたこともあって、純粋な教師とも少し違う背景もある。またシーバは孤独を隠して「よき妻」「よき母」をしてきたのだから、少しくらい自由にしてもいいじゃないかという、どこか開き直った願望もあったように見える。

そんな感じでシーバはなかなかのクセ者ですが、そのクセ者と接近して、物理的孤独を埋めようとするバーバラの気持ち悪さが、どんどん大きくなっていくのがすごい。

なのでこの映画は、美人教師と生徒の愛や欲望を描いたものではなく、それにつけ込んだ孤独な初老女の依存心を描いた話なのです。

 

執着する女の報復精神


バーバラは暇で仕事から帰ったら、日記を書くのが日課。できごと以外にも妄想や勝手な思いを綴ってひとり満たされている。

愛のない結婚生活のせいでシーバは道を踏み外した、そう信じて疑わないバーバラは、シーバに家族を棄てさせようとします。

シーバはバーバラに生徒と関係を持ったという圧倒的な弱みを握られているので、シーバの言葉を否定しない。が、聞いているかといえばそうでもなく、シーバにとってバーバラは秘密を黙認させるための機嫌取りの相手になりつつある。

そんなときバーバラの飼猫が死ぬ。取り乱したバーバラがシーバの元に駆けつけると、シーバは息子の発表会で出かけるところ。

息子の発表会に行かず、猫を亡くした自分と一緒にいてほしいとバーバラは望むが、当然シーバが選ぶのは自分の子供。バーバラはシーバに憤り、シーバを憎むようになる。

このあたりから、完璧にキモさが逆転します。

確かに行為自体はシーバの過ち。同じ教師のバーバラがシーバを非難するのは当たり前ですが、バーバラは全く違った行動に出るのでした。(気持ち悪……)

 

 

 

キモい人が、キモい人を、キモい人に、告げ口して……

 

自分との友情を深めたのだから、自分の悲しみに何をもってしても寄り添うべきという考えのバーバラ。だけどシーバが家族を選んだことで、バーバラはシーバに強い怒りを覚える。

怒りを感じたのなら離れたらいいのに、執着は一層深まります。

そんなとき同じ学校の教師で、シーバに恋心を抱くブライアン(バングス・フィル・デイヴィス)がバーバラの部屋を訪れ、自分に代わってシーバに気持ちを打ち明けてほしいと調子のいいことを言い出します。

 

この男もシーバが家庭持ちと知りながら、他人をつかって近寄ろうとする。最悪にキモい男。


するとバーバラはブライアンに、シーバは生徒との噂があると匂わせ発言をして、シーバと生徒の関係が明るみに出るように謀るのでした。

 

 

 

学校やマスコミは大騒ぎ、シーバは職を追われて、家族も崩壊状態に。懲役刑になる可能性もある。

そしてバーバラもシーバと生徒の関係を知っていたはずと学校をクビに。でもバーバラはそのことはあまりショックではない様子。それよりシーバと家族を引き離せるようになったことに喜びを感じている。

バーバラが望んだとおりになったわけですが、シーバが、バーバラの日記を読んでしまい二人の関係はやっと終焉を迎えます。

バーバラの日記には、シーバは子供や夫がいない方が幸せと身勝手な思いが綴られている。

シーバはバーバラに「あなたは友だちじゃない、あなたはこれまで誰も愛したことがない。嫌われ者のただの哀れなオールドミスだ!」と激昂します。

バーバラは、以前、同じ学校の女教師と親しくしていたものの、彼女の結婚でストーカーになり、「接近禁止令」を受けていたのでした。

結局のところ、バーバラは同性愛者で、美しい女性と友だち以上の関係になることを願っている。でもバーバラ自身、同性愛者である自覚が薄いのか、もしくは単に相手と同化することを望んでいるだけなのか、男性と結婚する女、つまり住む世界が違う女に接近してしまう哀れさもある。

女教師と生徒のいけない関係よりも、ストーカーの気持ち悪さに釘つけに。

それにしてもこんな変な人ばかりの学校、大丈夫なんだろうかと、他人事ながら少々心配にもなりました。

 

さいごに・ジュエリーの話

 

クリスマスに突然家を訪れた生徒のスティーブンから、シーバは小さな箱を受け取ります。

箱の中にはイニシャル入りのネックレス。金ではないとスティーブンは言いますが(15歳だからね)そのネックレスをシーバは関係が発覚するまで身につけている。ケイト・ブランシェットがつけるとダイヤモンドに見えるから不思議です。

 

 


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またシーバは、バーバラにロンドンの高級ジュエラー「アスプレイ 」の銀のフォトスタンドを贈ります。

 

▼これいい香り。某ホテルのアメニティで使われてますね。


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それではまた。
のじれいか でした。