ポール・フェイグの作品が好きです。
『ブライズメイズ 史上最悪のウエディングプラン』のヒットで一躍有名になったコメディ作品が得意な映画監督。
とくに女性が主演のコメディ映画を撮らせたら敵ナシ、新しい視点でユニークな作品を手掛けています。特におすすめしたい3作品とその魅力を考えてみました。
ファッシヨナブルで有名、ダンディ!
すでに100万回言われてるだろうけどおしゃれ番長ポール・フェイグ監督もはずせまいよ#かっこいい映画監督選手権 pic.twitter.com/DbILQPBUFC
— さむこ (@samco_samco) June 4, 2019
デンジャラス・バディ
作品情報
製作年度 |
2013年 |
上映時間 |
118分 |
キャスト |
サラ・アッシュバーン
シャノン・マリンズ
ヘイル(デミアン・ビチル) リヴィ(マーロン・ウェイマンズ) ジェイソン・マリンズ |
予告
ここがいい!「もっと強くなる女たち」
超エリートのFBIの捜査官 サラ・アッシュバーン(サンドラ・ブロック)は、真面目で仕事もできる女性だけど、人づきあいが下手で同僚とうまくやれない。
一方で、ボストンの警察署に勤務する女刑事のマリンズ(メリッサ・マッカーシー)は、やはり仕事はできるものの、感情的でやりたい放題。サラとは真逆のタイプの激しい女性です。
麻薬捜査のため、サラとマリンズはコンビを組むことになります。2人の組み合わせは絵的なおかしさがありますが、真面目なサラもダサいし、マリンズも刑事というより田舎の疲れ果てたおばちゃん。そんなおしゃれとはほど遠く、偏った個性を持つ2人が、めちゃめちゃな捜査を繰り広げながら、次第に心を寄せるようになります。
冷静で上から目線、エリート意識の強そうなサラですが、実は里子で育っていたり、マリンズは麻薬に手を出した弟を自分の手で逮捕していたりと、切ない過去がだんだんわかっていきます。
人は誰でも一皮剥けば誰でも似たようなもの。
プライドやマウントを放り投げ、丸裸で付き合えるようになる姿が胸に響きます。
女性が主人公のお話しは、恋愛の要素が大きくなりがちですが、本作品は恋愛要素がほとんどないところがとくに好きです。
誰かに頼って生きようとするのではなく、自分が強くなることで幸せをつかむところに主人公への本当のやさしさを感じられました。
SPY/スパイ
作品情報
製作年度 |
2015年 |
上映時間 |
120分 |
キャスト |
スーザン・クーパー
リック・フォード
レイナ・ボヤノフ (ローズ・バーン) ブラッドリー・ファイン |
予告
ここがいい! 「開花する能力」
『デンジャラス・バディ』のキレキレ女刑事、マリンズ(メリッサ・マッカーシー)が今作ではCIAで影の存在、スパイを内勤で支えるアシスタントのスーザン役を演じています。
ダサくて残念なアラフォー独身女が、隠れ持った能力を発揮して1人前のエージェントになっていく姿が描かれているのですが、ここでもジュード・ロー、ジェイソン・ステイサムの2枚目アクションスターが登場しているのに、活躍するのはマリンズだけ、というのが最高に面白い。
非モテな同僚、ナンシーとの友情も過剰じゃなくてちょっとほっこりするぐらいのところが好きです。
ラスト・クリスマス
作品情報
製作年度 |
2019年 |
上映時間 |
103分 |
キャスト |
ケイト
トム
サンタ(ミッシェル・ヨー) アデリア(エマ・トンプソン) |
予告
ここがいい!「恋愛よりも広い愛」
ケイト(エミリア・クラーク)は、ロンドンのクリスマスショップで働きながら歌手を目指してオーディションを受けているけれど、仕事は集中できずミスばかり。オーディションも落ちまくる。 生活も荒れて友人からはウンザリされています。
あるときケイトは、街でトム(ヘンリー・ゴールデイング)という青年と知り合い、トムはこれまで知り合った男性とはどこかが違って新鮮さを感じるように。
ケイトはトムと言葉を交わすうち、心を開くようになり、自分の心のうちを打ち明けるが……。
普通ならここで一気に恋愛モード。
すったもんだの末、ハッピーエンドになりそうですが、この『ラスト・クリスマス』は実はそういうラストではありません。
ワム!(ジョージ・マイケル)の同曲からインスパイアされているので、ロマンチックなラブストーリーを想像してしまいそうですけどね。
ケイトはいろいろなものを失って心が荒み、苦しみんでいることはわかります。それでもきっと幸せになれるはず。ラストは感動、間違いナシです。
クリスマスシーズンにはもちろん、シーズンオフでも胸に沁みる。すごく落ち込んでいるときに是非見てほしい映画です。
まとめ
ポール・フェイグ監督作品で個人的におすすめしたい映画3作品をごご紹介しました。
作品に共通しているのは
・主人公が等身大で、決して格好がいいとはいえない。
・だけど隠れた才能がある。
・そしてどの主人公も恋愛に依存しない。(というか依存させない)
そんなところがなんといっても魅力。
砂糖菓子みたいな甘い夢を見させてくれる映画とは少し違う。
だけど生きるための根っこのようなものを教えてくれる映画たち。
恋愛で運命の人と出会えたとしても、相手に寄りかかることしかできなければ、本当の幸せだとは言えないんじゃないだろうか。
すべての作品のどこかに女性の自立というテーマがあり、大人の男が女性の本当の幸せを考えている姿勢が胸を打ちます。
あくまで笑いの要素が表に出ていて、シリアスすぎないところも魅力。
こういう映画が撮れる男性って、本物のフェミニストじゃないかないかなと思ったり。
それではまた。
のじれいか でした。