1999年に公開された映画『13F』は、バーチャルな世界と現実を行き来するSFです。
タイトルの13Fは、物語の舞台になるロサンゼルスのビルの13Fフロアのことで、主人公はそこに設置された装置で現実と1937年の仮想世界を行き来する。
仮想世界を開発している会社の経営者が突然亡くなり、社長の片腕の立場にいる主人公の男が、現実と仮想世界を行き来しながら犯人さがしをするお話。
ストーリーはややこしく、B級っぽさも漂ってくるのですが、見終えたときの軽い絶望感は好みでした。
【SF映画】『13F』我思う、ゆえに我あり【ネタバレ・感想】
作品情報
1999年・100分
アメリカ
監督:ジョセフ・ラスナック
原作:ダニエル・ガロイ『Simulacion-3』
キャスト:クレイグ・ビアーゴ、アーミン・ミューラー、グレッチェン・モル、ヴィンセント・ドノフリオ、デニス・ヘイスバート
物語・1999年のロスアンゼルスに1937年の仮想世界
1999年のロスアンゼルス。高級ビルの13Fで1937年の仮想世界を開発しているダグラス・ホール(グレイグ・ビアーゴ)は、社長のハンノン・フラー(アーミン・ミュラー)が何者かに殺されたという報せを受ける。
刑事のラリー(デニス・ヘイスバート)はアリバイのないダグラスを疑い、ダグラス自身も部屋に血のついたシャツが部屋にあるのを見かけており、記憶はないけれどもしかして自分が手をかけたのではと不安だった。
生前のフラーが試験中の1937年の仮想世界に何度か行っていたことを知ったダグラスは、フラーの死の原因を探ろうと1937年の仮想世界を何度か訪ねる。またフラーの娘ジェイン(グレッチェン・モル)と惹かれ合うようになるが、ジェインは何か秘密を持っているような雰囲気が漂う。
同じようで違う人物が存在・ネタバレあり
1999年のロサンゼルスに存在する彼らと、1937年の仮想世界に存在する彼らは外見は同じですが、名前もキャラも異なる人物です。
ちなみに1937年の仮想世界は、社長のフラーが子供時代を過ごした世界。それなら子供時代のフラーが出てくるの?と思いましたが、それはありません。あくまで仮想の世界ですから。でも仮想とはいえ、そこにいる人たちは自分が仮想の世界にいることは知らないし、普通に営みを繰り返しています。
役者 |
1999年 |
1937年 |
クレイグ・ビアーコ |
ダグラス・ホール |
ホール・ファガーソン |
アーミン・ミューラー |
ハンノン・フラー |
グリアソン |
グレッチェン・モル |
ジェイン・フラー(フラー社長の娘)?? |
|
ヴィンセント・ドノフリオ |
ジェイソン・ホイットニー(仮想の開発者) |
ジェリー・アシュトン |
1999年からダウンロードして1937年の仮想世界に行く場合は、実際にいる誰かに入れ替わることになるので、そのときに使われている人は記憶が不鮮明になる。
仮想世界開発者のダグラスは、銀行員のホールになります。でも意識はダグラスに入れ替わっているので周囲からすれば人格がちょっと変わった?と感じる。
ホールになったダグラスは、仮想世界ではフラーの姿をしている古本屋のグリアソンに接触。グリアソンは最初、フラーとの関わりを否定していましたが、そのうち記憶を失っている日があることを打ち明けます。
記憶の片隅にフラーの言動が残っているグリアソンは、ホテルのバーの常連客になっていてバーテンダーのジュリーに手紙を渡していることを思い出すのでした。だけどジュリーは自分たちの世界が現実ではないことに気づいている。
そこで仮想世界に暮らている住民たちの葛藤が生まれるのですが、仮想世界が一つではなかったというのが、物語の大きなヒント。
社長の娘のジェインは姿を決してしまい、ダグラスはスーパーのレジ係として働くジェインを探し出す。ジェインは、ナターシャ・モリナーという別人になっていてダグラスのことは知らない。つまりダグラスの世界も仮想世界だったということになります。
面白かったところ・世界感とファッションと
SFらしい不思議な世界観と、自分が生身として実在していなかもしれないと感じる不安な雰囲気はよく描かれていると思いました。
冒頭に出てくる
「我思う、ゆえに我あり」
その言葉が物語を例えている。
刑事のラリーがジェインを助けたとき「この世界のことはそっとしておいてくれ」と言う言葉には深みがありましたね。
低予算作品なようでいて、ダグラスの自宅はフランクロイドライトのエニス・ブラウン邸が使われています。『ブレードランナー(1982)』のデッカードの自宅としても使用されていることは有名。
本誌「ブレードランナー・ディクショナリー」より、“フランク・ロイド・ライト”。写真はライトの建築、エニス・ブラウン邸。このデザインが引用され、映画の主人公・デッカードの家は作られました。もう、いろいろカッコいい! コレだから『ブレードランナー』を観ないなんてもったいないよね。 pic.twitter.com/aLnkfV0PIs
— POPEYE (@POPEYE_Magazine) October 19, 2017
14Fってタイトル間違えてる……
こっこれは。#14f #フランクロイド・ライト #映画 #sf pic.twitter.com/xwr9hdEDHd
— noji_rei (@noji_rei) April 13, 2021
登場人物の多くが一人二役を演じることになり、役者は全員すごく頑張っているなと思いました。
個人的に気になったのは、ヒロイン役のジェインとナターシャを演じたグレッチェン・モルがよかったです。不穏な雰囲気がSFに向いている。
ブロンドのショートヘアとジュエリーの組み合わせがいい。往年のサスペンス映画などで緊張感を出すために女性が耳を出してジュエリーを光らせることが多いものですが、この作品もよい意味の緊張感をヒロインが醸し出していると思います。
#13f #映画
— noji_rei (@noji_rei) April 13, 2021
グレッチェル・モル
ヘアとピアスの絶妙なバランスがよき
重ね付けのブレスレットにも技が感じられる pic.twitter.com/59HgP7CS7A
残念だったところ・ わかりにくい
話自体はそれほど複雑ではないのですが、同じ人間が違う人間になることであまり必要ではない人物の名前が出てきて混乱します。それでなくても仮想世界と2つの名前を持っている人が多いのに。
ブリジッド・マニラは、生前のハンノンが1937年の仮想世界で接触した人物なのですが、正直唐突に名前が出てくるので何がなんだかわかりませんでした。
夢落ちで現実になってどこまでが仮想?のわからない展開はここでもあります。後半無意味にオカルトっぽくなるのも残念だったかも。ラストは一応は救われる終わり方でした。
『我思う、ゆえに我あり』
さいごに
1999年のSF映画 『13F』をご紹介しました。SFはやっぱりいいなー。夢と絶望の交錯(笑)。
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※本記事の情報は2021年4月時点のものです。
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それではまた。
のじれいか でした。