個人的に怖くてトラウマを感じてしまう、邦画3作を選びました。
2020年8月現在、Amazon Primeで観れる映画です。
震える舌
作品情報
製作年度 |
1980年 |
上映時間 |
114分 |
監督 |
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キャスト |
・渡瀬恒彦 ・十朱幸代 ・若命真裕子 ・中野良子 ・宇野重吉 ・加藤健一 ・蟹江敬三 |
ATG(Art Theater Guild:日本アートシアターギルド)はかつて存在した映画会社で、なかなかエッジの効いた映画作品を発表しています。
予告
日常の脆さ
平凡なマンション住まいの3人家族の日常。
幼い娘の様子がおかしくて真夜中に救急病院を受診して、検査を重ねるうちに破傷風にかかっていることがわかります。
破傷風はいまだに怖い病。
短い時間のうちに、様子がおかしくなり激しい発作に苦しむ姿を克明に描いています。
感染病の恐ろしさに加え、度々発作を起こしてすさまじく苦しむ娘。その娘を助けたい夫婦ですが、やがて自分も感染しているのではという恐怖へと変化するのが恐ろしい。
どうせもう助からないと投げやりになったり、介護疲れで壊れていく姿も見れていて鬼気迫るものがあります。
日常はあっけなく破綻する儚いもの、そのことを嫌というほど考えさせられます。
これを観ていたら本気で怖くなって調べてしまいました。
本作品の上映当時と現在では、医療は大きく変化しているはずですが、
破傷風はやはり怖い病気で、誰もが予防接種を受けているはずだそう。
感染予防について(予防接種)日常生活に潜む破傷風|抗破傷風人免疫グロブリン(テタノブリン・テタノブリンIH)の投与を受ける患者様とご家族の方へ
ちなみに『震える舌』は三木卓原作の小説でフィクション。
どうりでホラー的怖さが含まれているはずです。
得体の知れない感染症を描いた映画は多くつくられていますが、恐ろしさを感じるのは、現実的な病気には叶わないと思いました。
青春の殺人者
作品情報
製作年度 |
1976年 |
上映時間 |
132分 |
監督 |
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キャスト |
・水谷豊 ・市原悦子 ・内田良平 ・白川和子 ・江藤潤 |
監督の長谷川和彦は、この『青春の殺人者』と『太陽を盗んだ男』の2本しか作品を世に送り出していません。 ちなみに長谷川和彦監督は、女優、室井滋と事実婚の関係だそうな。
やり直せないことへの悔いと絶望
若さゆえの衝動と後悔。
ガソリンスタンドを経営する両親から、スナックを任されてる順は店のアルバイトの幼なじみのケイ子との交際を反対されています。
ケイ子と別れなければ、順とって自分の居場所の店を辞めさせると言われ、順は追い詰められます。
父親の言葉に順が取った行動は、気持ちの中では誰でも感じたことがあることかもしれない。でも実際に実行するか否かでは雲泥の差がある。
この話は実際の事件
市原両親殺害事件 - Wikipedia
を元につくられています。
『青春の殺人者』1976年
— shiho (@69_0916) December 9, 2019
長谷川和彦 監督
実話を元にした両親殺害事件の映画
邦画独特のジメジメじっとりした
カビ臭い感じが出ている。
一人息子を巡る両親の想い。
特に女親役の市原悦子の気持ちを自分とダブらせてしまった。
まだ息子の彼女は知らないけれど
若い原田美枝子は凄く魅力的だった。 pic.twitter.com/Dk4lDFrx1V
15歳の夏の暑い日
— ピープル江川 (@pegawa) August 14, 2020
立川の名画座で
太陽を盗んだ男と
一緒に観た・・
ホントは15歳ダメだけど・・
もぎりのおばちゃんが
「ヒドイ写真・・」
って言ってた・・
あれから所有うして数百人に貸したけど
僕観てない・・怖くて・・
青春の殺人者 Godiego https://t.co/m5kRsHqyJ6 @YouTubeより
一瞬の衝動が取り返しのつかない後悔を生んでしまった。
そのことが、これでもかというほど繰り返して描かれます。
人生は何度でもやり直しが効くと言われます。それは事実なのでしょうけれど、すべてがそうとは限らない。
粘りのある映像に、Godiegoの曲が挿入歌されると切なさが増す。
映像と音楽のありかたを改めて考えさせられます。
復讐するは我にあり
作品情報
製作年度 |
1979年 |
上映時間 |
140分 |
監督 |
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キャスト |
・緒方拳 ・清川虹子 ・殿山泰司 |
予告
狂気が日常になるとき
こちらも実際の事件
を佐木隆三が同タイトルで小説として出版したものの映画化です。
身分を偽り、日本のあちらこちらで犯罪を重ねた犯人が逮捕されて、その犯行の道筋を追うようにしながらストーリーは進みます。
#復讐するは我にあり
— coco_movie (@coco_movie) August 26, 2019
昭和38年。5人を殺害し78日間に渡り全国を逃走した男(西口彰事件)を描いた作品。
無茶苦茶良かった。こんなに軽くて力強い邦画初めて観た。
緒形拳と三國連太郎の父子。マジ魅入るよ。倍賞美津子と小川眞由美はしたたかで色気半端ない。濡れ場が本当に最高でした。観て良かった‼️ pic.twitter.com/29hgmWwiFY
『復讐するは我にあり』('79)観た。詐欺殺人の西口彰事件を題材にした映画。カトリック信者の家庭の生まれで、敬虔な信者の父親との確執というのを強調している。タイトルもほら。 pic.twitter.com/m2fpQFNW8v
— アコ ラモーン (@Igoo1969) August 23, 2016
犯人の男は、短絡的で後先考えていないようだが、狡猾で素早い。
口が達者で嘘が上手、というかほとんど嘘ばかり吐き、その場その場をやり過ごしている。
絶対に捕まるとわかっているはずなのに、一度事件を起こしてしまうと非日常に自分を置くことになり、自分が自分ではないように感じられて(離人感のような)しまうものなのかもしれない。捨身になった冷酷さがゾッとするほど恐ろしい。
さいごに
ホラーではない重くてトラウマになる邦画を挙げてみました。
映画は娯楽なので観て楽しむことが最も大切なことですが、人生について考えさせられる怖い映画もたまにはいいと思いますよ。
それではまた。
のじれいか でした。