映画『リミット・オブ・スリーピング ビューティ』
若手で期待されている二宮健監督の作品です。
キャストは桜井ユキ、高橋一生。夢と妄想、現実の区別がつかなくなっていく女優志望の女のお話。
幻想的、大人のファンタジー映画といった感じでしょうか。映画のストーリーと感じたことを書いていきます。
THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ
作品情報
製作年度 |
2017年 |
上映時間 |
90分 |
監督 |
二宮健 |
キャスト |
桜井ユキ 高橋一生 古畑新之 佐々木一平 成田凌 山谷初男 満島真之介 |
予告
女優志願は妄想好き
主人公のオリアアキ(桜井ユキ)は20歳で家を出てバーにいたところ、マスター(山谷初男)の計らいで、写真家のカイト(高橋一生)と出会います。
カイトは『オーロラ』というサーカスを見せるバーを経営していて、アキはオーロラでマジシャンの助手をするようになり、やがてカイトと恋仲になります。
10年が経過してアキは30歳になったけれど、夢は夢のまま持ち続けていた。でもカイトは亡くなってしまい、オーロラは閉店が決まる。
アキはオーディションで大役を掴み、一気にスターになりますが、成功を経験してしまえばそれも幸せとは言えない。そんなふうに考えているアキでしたが、成功経験はすべてアキの妄想だったという話です。
女優は妄想好き。そんな感じですかね。夢を追い続けることは生きるために必要なときもあるだろうし、何かがなければ生き続けられないこともあると思う。ただアキの場合、本気で女優を目指しているというより、女優という存在が、夢という名の妄想に近い。ニンジンをぶら下げてどうにか走る馬みたいな感覚だと思います。
なのでカイトが亡くなってしまい、自分が空っぽで心の置き場所のなさに苦しみ、得意の妄想の風呂敷を広げていきます。
気持ちはわかるのですが、あまり後味のいい話ではなかったかな。
冒頭はよかった、好きでした。
カイトが亡くなってから既に長い年月が経過して、カイトの亡くなった年齢にアキが達しそうになっている現実。時間の経過を恐怖とすら感じなくなったと語りながら、妄想に逃げるところは理解できる気がしました。
アキのモノローグも格好いい。
アキの妄想の友人、ブッチ(古畑新之)が「時間は流れていない、過去も現在も未来も、すべて同じ空間に存在している」とアキに説明するのですが、面白くなりそうな予感がしたのにSFではないので、その後はアキの断片的な妄想を眺めるだけなのが残念でしたね。
高橋一生がセクシー
カイトはアキの記憶の一部なので、出番はさほど多くないのですが、高橋一生ファンの人は観てソンはないはず。
この高橋一生はなかなかセクシーです。カイト役が別の俳優だったら、残念な映画になっていた可能性大ではないかと。
成田凌、満島真之介も出ています。成田凌はバーテン役で仮装用マスクをしていることもあって残念。
誰の頭にも少なからず存在する妄想を派手に表現
主人公の夢が女優で、恋人が他界したなどの設定がヴィジュアルを浮世離れさせていますが、実際には少なからず誰だって考えている話。
人の脳内をヴィジュアル化させたのは、試みとしてはなかなかだと思う。
ただ話にする場合、そのまま映像にするとこうなっちゃうのねという残念感もありました。
でも印象には残りましたよ。
▼『下北沢ダイハード』は妄想を上手にストーリーにしています
▼こちらは恋の妄想
それではまた。
のじれいか でした。