こんにちは。
「……ガツガツするつもりないの〜」
「ガツガツ働きたくないから〜」
会話のなかで出てきた言葉。最初聞いたとき「へっ?」と聞き返しそうになりました。
言われてみれば「ガツガツ」は、案外日常で使われている言葉。
でも無数にある言葉から、あえてそこを選ぶセンス。言葉の選び方で、その人の隠れた心情や本心が露呈することがあるなと考えさせられました。
ガツガツって何? どういうときに使うの?
ガツガツするってどういう意味?
雰囲気でだいたいわかる言葉ですが、あえて調べてみます。
[副](スル)
- 1 飢えてむやみに食物を欲しがるさま。また、むさぼり食うさま。「のら犬のようにがつがつしている」「そんなにがつがつ(と)食うな」
- 2 むやみに欲ばるさま。また、欲ばってある事に励むさま。「金にがつがつ(と)する」「がつがつ(と)勉強する」
※goo辞書より(がつがつの意味 - goo国語辞書)
つまり、むやみに欲し、意地汚く、さもしいさまを表現したということ。
自分は余裕があって意地汚くなくない「さもしくって嫌ねえ」と言いたかったのでしょう。
ガツガツって言葉が嫌い
早い話、「ガツガツ」という言葉が嫌いで、つい反応してしまった。ただそれだけの話です。言われた側よりも、言う側の品性が疑われる気がするので。
その言葉を使った同僚2人と、使われた相手、その理由が、また嫌でした。
「ガツガツ」という言葉を臆せずごく自然に使ったのは、パート派遣の既婚アラフォー女子。AさんとBさん。
誰に向かっての言葉かといえば、フルタイムの派遣社員のアラフォーの女性。その人は独身でその会社で正規雇用を希望していました。なので当然ですが一生懸命です。
聞いてすぐ唖然として、あとでイラッとしました。
派遣でフルタイムで働くことはガツガツしている?
派遣で正規雇用を目指すのはガツガツしている?
そんなことを言ったら、世の中の多くはガツガツ。AさんとBさんは、自分たちは週2日程度でガツガツしていない優雅な働き方をしていると言いたかったのでしょう。それに私みたいな働き方がいいのよと、価値観を押し付けられているみたいに感じられたのも嫌な気分にさせられた理由でした。
ガツガツという言葉に隠される自信のなさ
AさんとBさんとは、ランチを一緒にする機会があり個人的な話をしたことがあります。
Aさんは音楽をやり、プロデビューを目指している。Bさんはハンドクラフト作家になりたいようで販路を模索していた。
自分の時間をどう使うかは無論その人の自由。それに派遣の働き方を選ぶ人の多くは、何かしら目的を持っていることが多い。
ただ、話していると、AさんもBさんも目標に向かい切れず鬱積しているのがわかりました。それに既婚者なことも関係しているのか、やれない(やらない)ことへの理由付けが多い。つまり必死さに欠けるんですね。だから行動できる人を羨ましく感じているのでしょうが、その気持ちを認められず、格好悪いと見下したのだなと思いました。
休みを取らずに残業をして働くのをガツガツと例えて、必死さがダサいと言いたいのでしょうが、ガツガツしないミュージシャンて何でしょう。ガツガツしてない作家ってなんでしょうか。
表現活動はガツガツに入らない?
正規雇用を目指す人をガツガツ扱いして自分は高みの見物。だけど本当はワタシにだって目標があるのよと言われても、だから何?って話です。
コロナ前、Aさんのライブにお誘いいただきましたが、丁重にお断りしました。
本人たちは肩の力を抜き、リラックスしたライブをしたかったみたいですが、演奏する側が気を抜いたら、そんなのはただの趣味でしかない。チケットを知り合いに売り捌くことで満足心と趣味の元を取ろうとするのだからタチが悪いです。
観客には決して辛さを感じさせない。だけど本人たちはガツガツ(必死にプレイ)してなんぼなはず。
頑張る姿を他人に見せるのを格好悪いと感じる人は確かにいる。でも表面的にどう見えようが、自分の力を出し切っている実感があれば、他人の頑張りを決して笑うことはできない気がしますが、どうなんでしょう。
関係ない話ですが、先日、お気に入りの喫茶店に入ろうとしたとき、店の前にアルバイト募集の張り紙が。そこに書いてあった条件に驚きました。
『ガツガツした人お断り』それを見て店の前を通り過ぎました。何が言いたかったんだろう……。わかる気がするけど、わかりたくない。
▼もはや懐かしい。こんな記事も書きました
それではまた。
のじれいか でした。