こんにちは。 のじれいか(@noji_rei)です。
『9人の翻訳家 囚われた翻訳家』(Les traduteurs)は、世界で新刊を待ち侘びる人気ミステリー小説の翻訳のために集められた翻訳家たちが、事件に巻き込まれていくサスペンスです。
どんでん返しが楽しめる映画でした。
今回は『9人の翻訳家 囚われた翻訳家』のストーリーについて、また感じたことについて書きます。よろしければお付き合いください!
【映画】『9人の翻訳家 囚われた翻訳家』
作品情報
2019年 105分 フランス、ベルギー
監督:レジス・ロワンサル
意外な展開だったわ
日本語訳の翻訳家はいないのね…
キャスト
●エリック・アングストローム(ランベール・ウィルソン)出版社社長
●カテリーナ・アニシノバ(オルガ・キュレンコ)ロシア語の翻訳家、美女
●アレックス・グッドマン(アレックス・ロウザー)英語の翻訳家、最年少
●ハビエル・トゥクセン(シセ・バペット・クヌッセン)スペイン語の翻訳家、左腕を怪我している
●エレーヌ・トゥクセン(シセ・バベット・クヌッセン)デンマークの翻訳家、幼な子がいる
●ダリオ・ファレッリ(リッカルド・スカマルチョ)イタリアの翻訳家、お調子者
●ジョルジュ・フォンテーヌ(パトリック・ボーショー)書店経営者・エリックの恩師
●ローズマリー・ウエクス(サラ・ジロドー)エリックの秘書
●イングリッド・コルベル(アンナ・マリア・シュトルム)ドイツ語の翻訳家
●チャン・ヤオ(フレデリック・チョー)中国語の翻訳家
●テルマ・アルヴェス(マリア・レイチ)ポルトガル語の翻訳家
●コンスタンティノス・ケドリノス(マリノス・マブロマタキス)ギリシア語の翻訳家
予告
ストーリー
全世界が発表を待つミステリー小説『テダリュス』を世界同時発表するため、フランス郊外の豪華な洋館に、9カ国の翻訳家が集められた。
翻訳家たちはスマートフォンを取り上げられ、屋敷の地下室に隔離される。外出はできず、電話やインターネットの通信も禁止される異様な環境のなか、翻訳作業をすることに。
小説の全編を読むことは許されず、与えられた章だけを訳す作業に、9人の翻訳家は困惑。だがやがてそれぞれの言語で物語の世界にのめり込んでいく。
そんなとき、彼らを雇ったアングストローム出版の社長、エリック・アングストローム(ランベール・ウィルソン)の元に脅迫メールが届いた。
メールの内容は…
冒頭の10ページをネットに公開した。24時間以内に金を払わなければ、続く100ページを公開する。要求を拒否すれば全ページを公開する。
というものだった。
脅迫犯は翻訳家の中にいると確信したエリックは、彼らの作業を中止させ屋敷に籠城すると、手荒な手段を使って犯人を突き止めようとするが…。
犯人は誰?
翻訳家の9人は籠城に近い強制的な作業環境に置かれます。ただ屋敷は立派で作業に集中するには快適な環境といえなくもない。そんな場所で彼らはオフタイムにディナーを楽しんだり満更でもない様子でもあった。
それが社長のエリックの元に脅迫メールが届いて事態は一変。作業は中止され、彼らは尋問され、手荷物検査と大変な目に遭います。
犯人は誰なのか。ウェブに公開されてしまえば下手すれば出版社は倒産だと、犯人探しに翻弄します。
やがて9人は9人ともそれぞれに訳ありで、なかには嘘を吐いている人物がいることもわかってきます。
仲間割れを起こしたようで?(ネタバレあり)
9人は個性的な人物たちですが、事件が起こるまでは各々を尊重し仲良くやっていた。
…なのですが、事件により追い詰められたエリックが、仲間割れを起こすよう仕向け、乱闘騒ぎになってしまう。
早く帰りたい人、早く帰っても誰も待っていない人と状況は様々。作家志望だったけれど叶わなくて翻訳家になった人もいて、もしや嫉妬心から? といった背景も見えてきます。
やがて英語の翻訳家で最年少のアレックス(アレックス・ロウザー)が、本作の作家、オスカル・ブラックのファンで、英語訳に異論があり著者に会わせてほしいと訴えていたことがわかります。
オスカル・ブラックは誰?(ネタバレあり)
この本の著者、オスカル・ブラックは、エリックの恩師で書店を経営者のジョルジュ・フォンテーヌ(パトリック・ボーショー)であることは早いうちにわかります。
ジョルジュは、教え子でもあったエリックが、商業優先で金ばかりに目を奪われ、翻訳家たちに強引な作業を強いていたことを知り失望するのでした。
なぜか逮捕されるエリック(ネタバレあり)
場面が変わると、出版社社長のエリックがなぜか逮捕されています。(つまりその後、何らかの訳で逮捕される流れになることを示している)
やがて英語訳のアレックスが、全員を説得して、自分の仲間に引き込んでいたことがわかります。それは翻訳家を不当に扱うエリックへの復習でもありました。
追い詰めれたエリックは、全員の前でカテリーナを撃ってしまう。つまりそれでエリックは逮捕されていたのだとわかります。
本当のオスカル・ブラック(ネタバレあり)
オスカル・ブラックというペンネームは、書店経営者のジョルジュが使っていたもの。でも小説を書いていたのは別の人間でした。
実は少年時代のアレックスは、ジョルジュの経営する書店の客で、ジョルジュとは懇意でした。アレックスの小説を読み、才能に気づいたジョルジュは出版化を勧めます。
でもアレックスは自分が表に出ることを避けたいため、ジョルジュのペンネーム、オスカル・ブラックとして本を出すのならとジョルジュに打診します。
ジョルジュはアレックスの意思を尊重しますが、エリックの金儲けだけの考え方についていけなかった。エリックは出版を取り止められることを恐れ、なんとジョルジュを殺害していたのでした。
要するに出版社の社長が最悪なんですねー。
その後、エリックは美女カテリーナを撃ってしまい塀の中へ。出版によって得られる収益8000万ユーロは、アレックスに渡りました。
翻訳家にだってスターはいる
この話は、人気作家の小説を翻訳家が、実は作家本人だった、といったどんでん返しの物語です。
不当な扱いを受ける影の存在、翻訳家たちがいるからこの話は成立します。
でも現実には翻訳家は有名な方も多く、こんなふうに虐げられているはずがないので、設定に違和感がありました。
あと社長がわかりやすい悪人なので、彼を貶めてやろうという犯人の意図も見えてきました。その相手が英語訳のアレックスだということも気付きやすい。
最初、密室の犯罪かと思ったところ、実はそれより前に仕込まれていたというのが見どころかもです。
映像がスタイリッシュでかっこいい。
▼ スタイリッシュなサスペンスはこちらにもあります!
それではまた。のじれいか でした。