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【ドラマ】『生きるとか死ぬとか父親とか』許し許されることで得られるもの【ジェーン・スーの強さ】

【ドラマ】『生きるとか死ぬとか父親とか』

好きだったドラマ『生きるとか死ぬとか父親とか』先日最終話を迎えてしまいました。

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父と娘のふたり家族ドラマ


吉田羊の演じる、ラジオで相談コーナーを持つ人気エッセイストの蒲原トキコが、父親のことを本に書くことになり、父とのことや20年前に亡くなった母の真実を見直すことになるというのがドラマの主軸です。

トキコは独身の40代で一人っ子。

國村隼の演じるトキコの父、蒲原哲也は温和で調子がよくておしゃれな70代ですが、母の存命中から愛人がいて、事業が失敗して家を手放すなど、破天荒な生き方をてきている。

そんな父の生き様は一人娘に影響を与えてしまい、トキコは無一文になった父を経済的に支えることになる。DVではないにしろ、娘にとっては厄介な父親の典型みたいな存在です。

でもトキコにとって父は唯一の家族。苛立つことがあっても見限ることはありません。それにトキコが20代のときは両親が同時に入院して、両方の付き添いが求められるといった一人っ子の介護問題に触れる展開もあり、原作者のジェーン・スーが背負った人生の重さに胸が詰まる思いがしました。

 
最初は苛立ちながら見ていたのですが、やがてこのドラマは「許し」がテーマだと思うようになりました。人は誰でもクセがあって完璧な人は存在しない。父親だって娘の前で人間臭さを晒すことだっていいじゃないか。娘はそれをすべてを許す必要はないけれど、もしかしたたら、許した方が人生が豊かに育つかも。そんなメッセージを受け取りました。

 

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昭和の父親とつい比べてしまう


トキコの父は事業が上向きだった当時の価値観を変えずに生きているので、引っ越すことになり部屋の家の家賃をトキコが負担するとわかっても遠慮がありません。

外出での支払い、親戚にお祝いをするときの食事会なども、負担するのはほとんどトキコです。自分だったらこれは正直苦痛です。

トキコは父から封筒を手渡されると「病院の紹介状」「督促状」「父が借りたいマンションの情報」などネガティヴな回想が瞬時に蘇ってしまう。ひどいお父さんです。ただ最終話で父がトキコに手渡した封筒はこれまでとは少し違うものでした。それは遺書みたいな「申し次ぎ」でトキコを切なくさせます。それもちょっと残酷すが、一人で生きていく覚悟を娘に持たせようとする父の愛だとも取れました。


たまたま先日、昭和の代表のようなお父さんが登場する『阿修羅のごとく』を観まして、このドラマのトキコのお父さんと無意識に見比べていました。

『阿修羅…』のお父さんは末娘のボクサーの彼氏が試合に負けたとき、黙って財布から札を一枚抜き、それを娘に渡すのかと思いきや、財布ごと娘に渡します。普段は寡黙で娘たちから軽くバカにされてもいるのに、いざとなると男を見せる、かっこいい。

noji-rei.hatenablog.com

 

素敵な「お父さん」でジンジンきましたが、このお父さんは向田邦子の妄想の中の存在で、現実のお父さんではありません。『阿修羅…』は四人姉妹で、設定的にもこのドラマと真逆だから余計に思い出してしまったのかも。

兄弟がいる私には兄弟間の確執や面倒がわかりますが、一人っ子は気軽なぶん責任が重くのしかかるのも想像できます。私の身近にいる一人っ子たちは、今のところ大きな問題を抱える事態になってはいないけれど、先々を考えると不安もあるはずで、考えさせられることが多かったですね。


ちなみにわたしの父はどちらかといえば昭和のお父さんで、娘にお金を出さようとはしませんでした。でもそれも生きてこそ。死んでしまったので話にならないですね。

 

力のある女性だからできる


トキコには一緒に暮らしている恋人がいましたが、同業者の彼はトキコといることで自分を見失ってしまい別れを決める。やがて東京から引き上げます。成功して世間から求められる存在になったトキコは、恋を失ったけれど父を養う力は身につけたわけです。

お父さんが癖のある人だったからこそ、トキコは強くなれたのではないか。文章力や才能は生まれながらのものでしょうが、経験によって鍛え上げられることだってある。ラジオで相談コーナーを持ち、見ず知らずの他人の人生に接することは相当場数を踏んでいないと難しいはず。そんなトキコに育てたのはお父さんの存在があったからなのかもしれないと、令和の身勝手な父も案外悪くないのかもと思えたりしました。

吉田羊と松岡茉優が演じるトキコ

トキコは本を執筆するにああたり、20年前に亡くなった母のことを思い出します。岡さんは富田靖子が演じていて、好き勝手に生きる父を支えて娘にも明るい太陽のような存在でした。

 
 
 
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40代になったトキコは父に対して諦めにも似た愛をもって接していますが、当時のトキコはそこまでの余裕はなかった。20代のトキコを演じるのは松岡茉優で、顔立ちや体型は吉田羊と似ているわけではないと思いますが、吉田羊が作り上げたトキコ像にすごく上手に自分を溶け込ませていて、自然に時間が遡っているように見えました。

 

現在のトキコが父に関する本を書くにあたって、20代の頃の通り過ぎた過去の自分と触れ合うことになり、記憶違いをしていたり、見ないようにしていた現実に気付かされることになる、といった流れなので、松岡茉優の演じる場面は全12話のうち、9話と10話(あと8話)と一部なのですが物語の重要な部分です。

 
過去の自分と触れ合うことができたトキコは、母が聖人君子のような女性ではなく、父のことで嫉妬心を持つ、人間らしいひとだったことに気づき、やっと偶像のなかにいた母を解放することができるようになります。

 

本音を打ち明ける大切さ


最終話で、トキコは金曜の夜だったラジオの悩み相談コーナーを、日中の昼間の毎日に変わることを打診され、引き受けてよいものか悩みます。

相談を受けた父は、娘の番組を聞いたことはないけれど、老舗の商売と同じで周囲が変化するからこそ、自分たちが変わらずにいることでうまくいく、と、このお父さんらしからぬナイスなアドバイスをします。


そんな父のアドバイスもあってトキコは昼に時間変更を引き受けることにします。覚悟を決めたトキコはラジオで「他人に悩みを打ち明けるのは、弱みや恥ずかしいことを晒すことになるし、相手との関係にヒビが入ってしまうのではと心配に感じることがあるかもしれない。だから相談者さんたちを直接知らない自分たちのような者がいる」といったことを語りかけます。

自分を曝け出すことは簡単ではないこともありますが、隠さずに相談する姿勢も大切なのかもと思ったりしました。

ドラマでは『トッキーとヒトトキ』という番組名ですが、実際はジェーン・スーの『生活は踊る』、相談コーナーは『相談は踊る』という番組名です。

 

 

 ▼ちょっと変わった家族のかたちを描いた映画です!

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それではまた。 のじれいか でした。