映画『心が叫びたがってるんだ。』
アニメで大ヒットした作品を実写化したのが本作品です。
本作品では、余計なことを喋ったトラウマから人前で言葉を発することができなくなった女子高生の青春ストーリー。主演は芳根京子。ザ・葛藤王女参上です。
なかなかの良作。
作品の魅力をネタバレありでご紹介します!
心が叫びたがってるんだ。
作品情報
予告
主人公の成瀬順が話せなくなった理由
まずは、この物語の主人公、成瀬順がなぜ話せなくなったのか? から。
子供時代の成瀬順は、明るく喋る女の子。両親と幸せに暮らしていました。
あるとき、お父さんと知らない女の人を乗せた車が、山沿いのお城から出てくるのを見た順は、無邪気にそのことをお母さん(大塚寧々)に話します。子供には理解できませんでしたが、そのお城はラブホテル。話を聞いた母親は仰天、やがて両親は離婚します。
「お前が余計なことを言うからだ」と父親から逆ギレに近い言葉を放たれた順は、それが原因で人前で喋れなくなり、順はそれを呪いだと思うようになる。
大人の世界に口を挟みすぎる子供は面倒に思えますが、この展開は気の毒……。この成瀬順という人は夢みがちな性格なので、自分の理解に及ばない世界にショックを受けたのが大きいのでしょう。
成長した順は心を閉ざして
順は高校生3年生に。ここから芳根京子が登場です。順は誰とも言葉を交わせず、孤独でちょっとキモい存在に成長している。
あるとき、順のクラスが学校を代表して、毎年恒例の『地域ふれあい交流会』(ふれ交)への参加が決まる。
担任の城嶋先生(荒川良々)は、実行委員に
坂上拓実(中島健人)・成瀬順(芳根京子)・仁藤菜月(石井杏奈)・寛一郎(田崎大樹)
を指名。
野球で甲子園を目指しながら肘を負傷した田崎は、苛立ちもあって猛烈に抗議。
坂上拓実は言いたいことを言わず、本音を隠す性格で、仕方なく受け入れるしかないといった態度です。
仁藤菜月はチアリーダーで統率力のある女子だが、中学時代に坂上と付き合っていたこともあって内心は複雑。
順は抗議をしたくて声をあげるも、腹痛で駆け出してしまう。そう、順が喋れなくなったのは、喋ると決まって腹痛が起きるから。
辞退を告げる手紙を城嶋先生に渡そうとした順は、偶然、坂上が歌(『アラウンド・ザ・ワールド』)をうたうのを聞いて、その歌詞が自分の考える「言葉」を歌った歌詞だったこともあり感銘を受ける。
音楽教師の城嶋は、交流会にミュージカルの上演を提案するが、仁藤や坂上は時間がないこともあって難色。
坂上と順は『ふれ交』の件でメールで遣り取りをするが、その中で順は坂上に昔のトラウマを打ち明ける。順と似た経験をした坂上は、順の話に過去の自分を重ねていた。
城嶋の授業でミュージカル映画を見た順は、歌を口ずさんだとき腹痛が起きなかったことで、歌で自分の思いを伝えられるのではと考える。
順は気持ちを綴った物語を坂上に送り、坂上は順が書いた物語をミュージカル上演しようと仁藤に相談。やがて田崎も参加を表明、クラスメイトたちにミュージカルの上演を相談するのだった。
<坂上の事情>
坂上にも家族との関わりでトラウマがありました。ピアノが好きな坂上が、受験をさせたい母親の気持ちを察することができず、それが原因で両親が離婚したと思うように。順ほどのトラウマではないにしろ、いつも周囲を窺って自分の本音を話さなくなったのでした。
<田崎の事情>
甲子園を目指して後輩を引っ張る立場にあった田崎は、練習に出られなくなったことで荒ぶっている。そんなとき『ふれ交』の実行委員なんてやってられねーよ、というメンタルだったのが、頑張っている人を応援することで、何かを得たいと思うようになっていきます。だけどそんな田崎に納得できない後輩も現れて……。
クラスもまとまり一件落着かと思いきや
喋れなくても一生懸命に思いを伝えようとする順の熱意が伝わり、クラスメイトたちも賛同、心が一つにまとまります。練習や準備に追われながらも日々が過ぎていく。
原作を考えながら、主役も演じることになった順は、これまでにない充実した日々を過ごす。
あとはミュージカル『青春の』の上演を待つのみ、と思っていたら、そう簡単ではありませんでした。
卵の呪いは?(ネタバレあり)
地元の縁日を覗く実行委員の四人。順は「卵の奉納」を見て子供の頃のことを思い出す。ここは言葉の神様らしく、卵に言葉を添えることでご利益があると坂上は説明。
「悪い言葉をそなえると言葉を取り上げられる」
順はかつて、父からそのことを言われたのを思い出し、自分が喋れないのはこのせいだと思うのですが、坂上は「そんなことないよ」とやさしく順の心を開放させる。順は坂上が買ってくれた卵の奉納に坂上の名前を書いて納めるのでした。
恋は人を育てるもの(ネタバレあり)
ミュージカルの準備や練習が続くなか、これまでになく周囲と交流する順は、坂上への想いを募らせている。
坂上は実は中学のときに付き合っていた仁藤への想いを抱えたまま。でもその気持ちは言葉にしていない。
仁藤はやはり坂上への想いがあるものの、かつて二人の関係を尋ねられたときに否定してしまったことを後悔している。
本番の前日、坂上は本心を仁藤菜月に打ち明けます。「ずっと好きだった」と。仁藤は坂上が本当はどうしたいのかわからず、ずっと悩んでいたのでした。
が、それを隠れて聞いた順はショック! その場を逃げ去ってしまい、本番を欠席すると連絡をよこします。
順を探す坂上。坂上は順を探し出して舞台に上げることができるのか?
そこから一気にラストへ進みます!
ここが好き!
青春は正直に生きることで学べることがある。
傷つき傷つけ合うもの。
そんなことを教えてくれる映画です。
好きだった場面は、坂上と仁藤の関係に傷ついた順が本番をすっぽかそうとしたときの田崎のフォローですね。
田崎は最初はミュージカルに否定的で、くだらないと思っていたけれど、一生懸命な人をバカにしたり軽んじたりはしない人。さすが野球選手だけのことはある。
それに野球というチームワークをやってきているだけあって、実はとても繊細に人を見ている。だから順が坂上のことを好きなこともわかっていた。
「もしここで成瀬がすっぽかしたら、全部、成瀬(順)のせいになる。あいつは一生それを背負っていくことになる、絶対後悔することになる」
といった感じのことを言って、田崎が順を探しに行かせます。
なんて素敵なんだろう。坂上よりも、田崎の男気に泣けました。
それと、荒川良々演じる城嶋先生がさりげなく人を見ているところもよかった。音楽教師の城嶋先生が、自分の興味でたまたま色々あった人を実行委員に選んだだけかもですが、結果オーライでなかなかのGJでした。
ここが残念!(ネタバレあり)
順の母親が残念です。
娘の能天気な発言から夫と離婚することになってしまい、その後は働きながら娘を育ててきた。すごい苦労があったはずで、その気持ちはわかるのですが、少し周囲を気にし過ぎている印象。
自分が不在のとき、訪問者があっても娘に出て欲しくないのは、厄介を背負いたくない気持ちのあらわれに思えました。
最終的には和解できたのでよかったですけどね。結果的には順の呪いはとけるので(呪いは存在しないと本人が認める)これからは順にもお母さんにも、新しい日常が待っているんだろうなーと思わせてくれる爽やかラストではありました。
さいごに
映画『心が叫びたがってるんだ。』実写版を見て感じたことを書いてきました。
言葉のコミュニケーションの大切さを描いた青春ドラマでした!
相手から逃げないことは自分自身の成長にも繋がる。そんな青春の成長話を今更知ってどうするよ?といったところですが、知っていることが多い方が人生は遥かに豊かに過ごせるはず。
なので青春真っ盛りじゃない人でも、いろいろ感じられる映画だと思います!
こちらはアニメ版も公開されていて、こちらも良作。
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気になる作品を見て退会するのアリだと思います。
イタい青春映画はこちらにもあります!
それではまた。
のじれいか でした。