『説きふせられて』は、ジェーン・オースティン原作の『説得(Persuasion)』の小説を映像化したテレビ映画。
18世紀のイギリス。貧乏士官との結婚を反対されたアラサー女子が、数年後、まさかの再会をして、そして……。
これぞ恋愛ドラマの王道、あったらいいなの夢を見せてくれるお話。
また主演のサリー・ホーキンスの熱演が楽しめます。
こちらはテレビドラマとして放送された作品のようですが、現在は、Amazon Prime、U-NEXTの動画配信サービスで見ることができます。
『説きふせられて』のストーリーと感想をネタバレありで書いていきます。
説きふせられて
作品情報
製作年度 |
2007年 |
上映時間 |
93分 |
監督 |
エイドリアン・シェアゴールド |
キャスト |
サリー・ホーキンス
メアリー・ストックリー ピーター・ワイト マリオン・ベイリー ニコラス・ファレル
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予告
ジェーン・オースチンの原作のサンプル映像がありました。本作も登場します。
一度は別れた二人が再会する、よくある話だけど
主人公のアン・エリオット(サリー・ホーキンス)は、ウォーター・エリオット準男爵の次女で27歳の独女。サマセットの広大な敷地に家族で暮らしている。
18世期という時代背景からすれば、おそらくイキオクレなどと言われる年齢。
アンが独身の理由は、8年前に大恋愛した恋人との結婚を、彼の貧しさが理由で周囲から大反対されて別れ、その後、結婚をせずにいたから。
8年という時間は人を変えるのに十分な時間でもあるようで、資産家だったアンの実家は浪費がたたって屋敷を人に貸すことになるのですが、まさかの借主が、その後大佐になり一財産を築いた別れた恋人のフレデリック・ウェントワース(ルパート・ヘンリー=ジョーンズ)だったから皮肉です。
アンは見栄っ張りの父や姉とは違い、地味で思慮深い女性なのですが、それゆえ周囲の反対でフレデリックと別れたことをいまだに悔やんでいる。
そして避け切れない再会のとき。
アンは「フレデリックはきっと結婚している」と現実を知るのを恐れていたけれどフレデリックも独身とわかる。けれどアンは、フレデリックの心は自分から離れ、しかも自分に対して怒りもあるはずと涙します。
元恋人との再会なんてどこにでもある話ですが、なんとも切なくて、そして焦らしてくるところは、さすがのジェーン・オースティンです。
別れた二人が独身とわかり、しかも男は8年間とは違って成功している。なんの障害もないはずが、そう簡単に結ばれてしまってはお話になりません。
フレデリックとアン、それぞれの縁談(ネタバレあり)
イケメンで独身の金持ち将校は、若い女たちの標的の的に。やがてフレデリックはアンの妹のメアリーの義理の妹(夫の妹)、ルイーザが急接近。二人は結婚も囁かれ、アンは人知れず悲しみます。
ありがちなライバル登場ですが、小さなハラハラが続いて飽きません。
アン役のサリー・ホーキンスの演技力によるところも大きい。この人の演技は目で語っってきますよね。『シェイプ・オブ・ウォーター』はあまり好みのストーリーではありませんでしたが。
華やかな周囲の女性たちと比較して地味なアンですが、実家の屋敷には思い入れがあり、父の散財で人に貸すことになってしまったけれど、また暮らすことができればと願っている。
そんなとき、エリオット家の親戚にあたる、ウィリアム・エリオット(アンソニー・ヘッド)がアンにプロポーズ。ウィリアムは爵位の後継者で、財産家のウィリアムと結婚すれば、実家に戻れるかもとアンの心は揺れしまう。
同じときルイーザの結婚が決まる。相手はフレデリックと確信するアンは、ルイーザの結婚相手が別人と知って驚く。そしてウィリアムへの恋心がいまだ衰えていないこと、今度こそ彼を離したくない、自分の心に正直になろうと誓うのだった。
しかし今度はフレデリックが、アンとウィリアムが結婚すると誤解。二人の気持ちはすれ違います。
最終的にはーーー
フレデリックは、手紙でアンに気持ちを伝える。
ウィリアムは、実は爵位がほしくてアンにプロポーズをしたが、別に愛人がいると判明。
障害がすべてなくなったフレデリックとアンは、8年の時を超えてようやく結ばれる。一度は手放した恋でしたが、再び燃やすことができた運命の男女のお話でした。
地味で納得のシンデレラストーリー
じれったさと切なさが入り混じるラブストーリー。
率直な感想を言ってしまえば、聡明なアンなのだから、周囲に惑わされずウィリアムを貧しいときから支えてほしかったですね。成功した彼と再会してハッピーエンドというのが、出来上がった感満載で残念な気もしますが、だからこそロマンチックなのかもしれないですが。
シンデレラストーリーとしては、ヒロインは地味だけど思慮深いので、嫌味なく幸せを祝福できる話しでした。
自分も含め、恋愛で夢を見たい女子には、おすすめしたい一本です。
時代背景や当時の暮らしも見える
恋愛要素以外に、当時のイギリスの貴族社会の生活が垣間見れるところも面白い。自宅を貸すので困窮しているはずですが、そもそも優雅な田舎貴族、優雅にチャラチャラしています。
アンの父親であるウォーター・エリオットは準男爵だから、ヒエラルキーとしては下位。見栄っ張りで権威に弱く、自分より爵位の高い人間はあげつらうが、弱い人間には辛辣。わかりやすいキャラクターです。アンの姉も美人で着飾っているけれど、良縁に恵まれず独身です。
アンは当時の貴族の女性にしてはとても地味。ジュエリーもネックレスくらいしか着けていなくて、髪飾りもしない。なので一見、メイド(?)とも見えてしまうくらいでした。
この本好きです
netwadai.com
アンの三姉妹を見ると、女は見た目じゃないんだよ、ハートが清ければ幸せになれるんだよ、というジェーン・オースティンの願望めいたものも感じられました。
▼こちらは現代の恋物語。
それではまた。
のじれいか でした。