映画『キングダム』は、原泰久のコミックを映画化した歴史エンタメドラマ。
中華の国、秦の時代、剣で成り上がろうとした若い男が、王の仲間になって反勢力と闘うお話。
ストーリーは複雑ではないので、原作未読でも全然大丈夫です。
主演は山崎賢人、吉沢亮。
吉沢亮の美しさ、山崎健人はいつになく尖った役なので、新しい一面が楽しめると思います。
映画『キングダム』のよかったところ、残念だなと感じたところをネタバレありで書いていきます。
キングダム
作品情報
製作年度 |
2019年 |
上映時間 |
93分 |
監督 |
佐藤信介 |
キャスト |
山崎健人 吉沢亮 長澤まさみ 橋本環奈 本郷奏多 満島真之介 大沢たかお 阿部進之介 六平直政 高嶋政伸 宇梶剛士 加藤雅也 石橋蓮司
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公式
予告
夢と友情が話のポイント
紀元前245年の中国、秦王朝の時代、信・しん(山崎健人)と漂・りょう(吉沢亮)は同じ農家で働く奴隷。
貧しさから抜け出して、裕福な暮らしや地位を手に入れるためには、剣の腕を磨いて大将軍になることだと、夢を抱いた二人は、日々剣の訓練に明け暮れる。
あるとき、二人の元に使いが現れ、漂は王宮に召し上げられる。残された信は、漂の出世を喜び、必ず自分もそのあとを追うことを誓う。
だが漂は負傷して信の元へ。
もう自分は助からないと悟る漂は、信に王の弟、成キュウ(本郷奏多)が反乱を起こしたことを告げ、一枚の地図を渡す。
「俺たちは力も心も等しい、お前が羽ばたけば俺もそこにいる、だからお前に託す」と言って息絶える漂。慟哭する信は、漂の仇を打つために立ち上がります。
やがて闘いの中で王のエイ政と出会った信は、王が漂と瓜二つなことを知って驚く。漂は王の身代わりになって斬られたのでした。
最初のうち、エイ政は、信を武器の一つだと言い、信も漂がエイ政の身代わりになったことを知るので、よい印象はありませんが、一緒に闘ううちエイ政と信にも仲間の絆が芽生えます。
ストーリーの核となるのは夢と友情。日々鍛錬する、信と漂には将軍になる夢がある。そして互いを認めて信じ合う友情がところどころに登場します。
物語の前半で漂は亡くなりますが、信のなかでは漂の姿が繰り返しよみがえり、それは目の前にいる王、エイ政の姿とも重なっていくのです。
山崎賢人と吉沢亮
山崎健人と吉沢亮は、現在若手ではトップクラスの若手人気俳優。
山崎賢人はこれまで控えめでクールな役柄が多く、吉沢亮の演じる役柄とあまり遠くない印象を受けます。つまり、いささか立ち位置が被っているようにも感じる。
▼二人は、斉木楠雄のΨ難で共演してます
本作では、山崎賢人が演じる信は、剣の達人ではあるが、血の気が多くて感情を隠さず表に出すタイプ。おそらく役柄的に山崎賢人は、苦労する部分が多かったように感じられます。
逆に、吉沢亮演じる漂は、冷静で思慮深い。そしてダントツに美しい。もともと顔立ちの美しさに定評がある俳優ですが、今更ながら痺れました。吉沢亮は二役をこなすので、山崎健人とは、また違った大変さがあったでしょうね。
そのあたりを意識して観ると、より楽しめるのではないでしょうか。
脇役が豪華・ネタバレ
王エイ政と、弟の成キュウは、異母兄弟ですが、エイ政の母が一般人で純粋な王家の血筋ではないことを常々嫌悪していた成キュウは反乱を起こす。結果、兄の王は追われることになります。
王の弟役を演じた本郷奏多は『進撃の巨人』にも出演、漫画のキャラが似合う顔立ちではあるかも。
『進撃の巨人』での本郷奏多はヘタレで気弱な役柄でしたが、本作では悪役。
そんな弟の腹心として、石橋蓮司、加藤雅也、宇梶剛らの邪悪な役者が揃います。(石橋蓮司以外はそこまで邪悪さが出ていませんが)
王エイ政、信と行動を共にするのは、山で出会った山の民の河了(橋本環奈)。三枚目おとぼけキャラでストーリーの息抜き的存在感を発揮。橋本環奈の得意とする役どころです。『銀魂』の存在感がここでも生かされています。
出番は多くはありませんが、謎の将軍、大騎(大沢たかお)もアニメキャラらしい存在感。また、山の神(長澤まさみ)もほとんど台詞はありませんが、アクションシーンはそれなりに見所として用意されています。
残念なところ・エンタメ性を追求しすぎて軽い仕上がりに
エンタメ映画としては、十分に楽しめるのですが、そこを追求しすぎたのか、物語に深みが感じられなかったのが残念でした。
また長澤まさみ演じる、山の神の存在感など、脇役は豪華なのですが、物語のなかで役割を果たしているかといえば微妙。役者の無駄遣い感も漂います。
テーマとしてはとても深いのに、軽い仕上がりになりすぎた印象がありました。
さいごに・夢はまだ続く(ネタバレあり)
映画『キングダム 』は続編が決まっています。
吉沢亮は、2021年度のNHK大河ドラマの主演が決定している。役者のスケジュールもあるので、本作続編の公開時期はわかりませんが、おそらく撮影は終了しているのではないでしょうか。
成キュウの反乱を収束させた王エイ政は、中華統一を目指すことを誓い、また信も大将軍になるため、戦に出ることを決める。
続編はおそらくその後の展開、公開が楽しみですね。
「夢を見て何が悪い、夢があるから立ち上がれる」
「俺たちは力も心も等しい、お前が羽ばたけば俺もそこにいる」
信が、闘いで力尽きそうになったとき、立ち上がることができたのは、夢と友情でした。同じ夢を抱き、相手の成功を自分のことと同様に喜べる友を持てる人生を、羨まししく思いました。
▼友情を描いた映画はこちらにも
それではまた。
のじれいか でした。