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【映画・小説】『ナミヤ雑貨店の奇蹟』時系列とストーリー【徹底比較】

【映画・小説の違い】『ナミヤ雑貨店の奇蹟』時系列とストーリー【徹底比較】

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東野圭吾原作の『ナミヤ雑貨店の奇蹟』は「悩み相談」を受け付ける変わった雑貨店が時代を超えて繋がる、ノスタルジックなタイムリープ・ストーリーです。

テーマは人の繋がりと再生ですかね。

ここでは原作のストーリーの概要、映画のストーリーとの比較、また映画版のキャストについてご紹介します。


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【小説】ナミヤ雑貨店の奇蹟


タイムリープ作品なので時代が行ったり来たりするのため内容は案外複雑です。ここでは原作の章に沿って要点を挙げていきます。 

どのエピソードもなかなか濃く、大変な人生を歩んでいる人たちです。時代は細かく違ったりしますが、当時の流行がさりげなく触れられており、調べればわかる演出がニクい。
 

第一章 回答は牛乳箱に

強盗犯三人(2012年) × 【相談者】月のウサギ(1980年) 

・2012年9月13日、真夜中に逃亡してきた、翔太、幸平、敦也の三人は、廃屋の「ナミヤ雑貨店」に逃げてくる。

・三人は店内で30年以上前の雑誌を発見。記事にはこの店では、かつて悩み相談を受け付けていたことが書かれていた。

「ナミヤ雑貨店に悩み相談をシャッターから入れると、翌日牛乳箱に回答が入っている」というもの。

・そんなとき、店のシャッターの郵便用の穴から封筒が滑り落ちる

・封筒は「月のウサギ」からの相談が書かれている。オリンピック出場を目指しているが恋人が余命半年を告げられてしまい、オリンピックの出場を目指すべきか、彼と一緒にいるべきか悩んでいるといったもの。

・三人は、最初はまだ悩み相談を出してくる奴がいるとはと半ば呆れながら、返事を牛乳箱に投函。するとすぐに「月のウサギ」から返事が届く。

・やがて「月のウサギ」は1980年から手紙を出していることがわかる。

・当時の直近のオリンピックはモスクワであること、日本はアメリカに倣い出場をボイコットしていたことを調べた三人は「彼と一緒にいることをすすめる」。

・しかし「月のウサギ」は彼もそれを望んでいたからと、オリンピックを目指していたが、結局は選考に漏れてしまったが、悩んでいたのは自分の心の弱さが原因で、亡くなった彼もそれに気づいていたことが最後の手紙に綴られる。

第二章 夜明けにハーモニカを

 強盗犯三人(2012年) ×【相談者】魚屋ミュージシャン(1980年)

・「魚屋ミュージシャン」こと松岡克郎は、大学を中退してミュージシャンを目指しているが認められない日々が続く。

・松岡克郎の実家の魚屋「魚松」は、ナミヤ雑貨店の近くにあり、祖母の葬儀で帰省していた克郎は、ミュージシャンへの夢を追うか、魚屋を継ぐかの悩みを綴った手紙を投函。

・三人は辛辣な返事を送り、克郎は最初怒りを覚える。だが、最後の手紙にあった「あなたの曲で救われる人がいる、あなたの音楽は必ず残る」という言葉を胸に、ミュージシャンへの道を邁進。

・1988年12月24日の夜、孤児院「丸光園」にクリスマスの慰問に出かけ、そこでオリジナル曲「再生」を演奏。夜になり「丸光園」が出火。克郎は、孤児の少女・セリの弟を救出したが、克郎自身は命を落とす。

・後にセリは天才シンガーへと成長。克郎の「再生」はセリの定番曲になった。

第三章 シビックで朝まで

 ナミヤ雑貨店、店主・浪矢雄治と、その息子・浪谷貴之との物語。

・時代は1970年代前半から後半。

・シビックは、当時貴之が乗っていた車のこと。

・雄治は妻を亡くし生きる気力を失いかけていたが、悩み相談を受け付けることで元気を取り戻していた。貴之と姉はそれぞれ家族を持っていることもあり、雄治を見守っている。

・だが雄治は自分の回答が役に立っているか疑問に感じるようになり、自信を失う。

・店を閉じた雄治は貴之と同居するが、すぐに病に倒れ入院する。

・入院した雄治は店に戻りたいと言い出す。それは雄治が繰り返し郵便受けに手紙が落ちる夢をみるようになったためと説明。

・そして雄治は貴之に手紙を渡す。(生前に渡した遺書)

・【雄治が貴之に渡した手紙の内容】雄治の33回忌(2012年9月13日)、午前0時から夜明けまで、ナミヤ雑貨店相談窓口の一夜限りの復活を告知してほしい。告知内容は、かつてナミヤ雑貨店に相談をした人たちがその後どのような人生を歩んだかを教えてほしい、というもの。

・貴之は最初わけがわからないが、翌朝、雄治がかつて相談にのった相談者から、その後の手紙が届いていることを知る。(つまり2012年9月13日と繋がっている)

・相談者1:不倫相手とのあいだに妊娠した女性(グリーンリバー)→本人は事故でなくなり、助かった娘は「丸光園」で育つ。のちに丸光園で知り合ったセリのマネージャーになった。

・相談者2:テストで百点を取るためにはどうしたらいいか(百点小僧)→ 成長して教師へと。当時のやりとりを参考に教育者として生きている。

第四章 黙祷はビートルズで

 両親と夜逃げして孤児として生きる和久浩介の話。(【相談者】ポール・レノン)

・1966年来日したビートルズをまだよく知らなかった少年、和久浩介は、従兄弟や友人の影響でビートルズを聴くように。

・浩介の実家は裕福だったが、父・貞幸の事業が失敗して事業が傾いていき、ある日、浩介は両親から夜逃げを伝えられる。

・地元で相談にのってくれるというナミヤ雑貨店の様子を窺い、ポール・レノンと名乗り相談を投函。(回答者は、浪谷雄治)


・翌日、浩介はナミヤから、両親について行くことを勧める真摯な内容の返事を受け取る。

・だが夜逃げ当日、浩介は父への不信感から、サービスエリアで突発的に別の車に乗って保護される。

・夜逃げをしている両親は自分を探さないであろうこと、また探して欲しくないので本名を決して名乗らず、「丸光園」で育った浩介は、藤川と名前を変えて木工作家として生きることになった。 

・ナミヤ雑貨店のアドバイスどおりではなかったが、それを気にした浩介は、ナミヤ雑貨店復活の日、「両親について行き、今は幸福である」といった内容を綴った手紙を投函する。

第五章 空の上らか祈りを 

Wワークから華麗な転身(【相談者】迷える子犬)

・両親を失い孤児院「丸光園」で育った田村晴美は、大伯母に引き取られ、そのことをとても感謝している。

・だが大伯母の家は財産家だったが、実の娘からの無心で経済的に困窮している。

・大伯母を救いたい晴美は、事務員として働くが給料は安い。そのため夜はホステスで働くWワークを始める

・ナミヤ雑貨店の相談がまだあると、友人(月のウサギ)から聞いた晴美は、ホステスとして生きたいのだがと相談。

・ナミヤ(三人組)からはとても厳しい返事が届く。(強盗の三人のうち、敦也は自分の母親に重ね合わせているから。)

・晴美は大伯母を経済的に助けることを打ち明け、ナミヤからは未来を予想したかなり具体的な内容の返事が送られてきた。

・その通りに生きた晴美は大成功して多額の資産を得て会社を経営する。

・「丸光園」経営者が先代家族から変わったは、経営不審と不透明さが気になり、丸光園を買い取ることに。

・「ナミヤ雑貨店一夜限りの復活」を知った晴美は、感謝を綴った手紙を投函しようとするが、一人で自宅にいたところに強盗が押し入り、金品と手紙が入ったバックを取られてしまう。

・その三人は、翔太、幸平、敦也で、自分の未来をアドバイスしてくれた人だった。(しかも三人とも丸光園の出身)

・ナミヤ雑貨店でアドバイスをしてきた三人は、晴美にしたことを悔いて晴美を助けに店を出る。

 

追記とまとめ


① 1979年にはナミヤ雑貨店の店主・浪矢雄治は、店を閉じて東京の息子のところに引き取られる。東京に居を移した雄治はすぐに病気発覚する。

② 浪谷雄治が亡くなったのは、1980年9月13日。

③相談者「月のウサギ」「魚屋ミュージシャン」「ポール・レノン」「迷える子犬」が寄せた相談は、2012年ナミヤ雑貨店に忍び込んだ、翔太、幸平、敦也が回答している。

④ つまり2012年と繋がっているのは、1979年のナミヤ雑貨店閉店から、1980年の9月13日までの間の期間を指している。


⑤  2012年のナミヤ雑貨店は、裏のドアから出入り可能。ドアを開けておくと、時代は2012年のまま(外の時間を引き継ぐ)が、ドアを閉じることで、過去と繋がり、しかも外の時間はやたらと早くすぎる。(返事がすぐに届く)

⑥  「月のウサギ」と「迷える子犬」は近所の友達で、ナミヤ雑貨店の相談についてもそこから聞いて知った話。 

⑦  物語の多くが「ナミヤ雑貨店」と、孤児院「丸光園」が繋がっている。  

⑧「丸光園」の初代園長の女性と、浪矢雄治はかつて恋仲だった。

⑨  最後に浪矢雄治が出した返事は、2012年に、翔太、幸平、敦也らが試しに白紙で出した手紙で、白紙は未来を意味すること、どんな地図だって描けると回答している。

 

【映画】ナミヤ雑貨店の奇蹟

 

作品情報

2017年 129分
監督:廣木隆一
脚本:斉藤ひろし

映画予告

www.youtube.com

 

おもなキャスト

山口敦也(山田涼介)
小林翔太(村上虹郎) 
麻生幸平(寛一郎)

浪矢雄治(西田敏行)

田村晴美=迷える子犬(尾野真千子)
松岡克郎=魚屋ミュージシャン(林遣都)

浪矢貴之(萩原聖人)雄治の息子

原作との違い


映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』は、原作と違う箇所がいくつかあります。大きく違うのは、登場しないエピソードがあることです。

「月のウサギ」「ポール・レノン」のエピソードは出てきません。その分、登場するエピソードの描かれ方は丁寧でした。 

・とくに不倫相手の子供を産むかを相談した「グリーン・リバー」については娘の成長を含めて丁寧に描かれています。

・本編は2012年からスタート。敦也(山田涼介)翔太(村上虹郎)幸平(寛一郎)がナミヤ雑貨店に逃げてくるが、すぐに脱出します。

・でも何故か、逃げられず、ナミヤ雑貨店の前に戻ってきてしまう。

このあたりの流れも違います。原作では雑貨店の店内と表では時間の流れが異なる、裏ドアを開くと時間が流れ、ドアを閉めればナミヤの時間になる設定。


・また小説と映画では時代設定が微妙に違います。「昨日、ジョンレノンが死にました…」から始まる、魚屋ミュージシャンは手紙の冒頭に書いていますが、原作では1980年の12月8日は三人は手紙を受け取れないと思いますが、そこはいいという設定なのかも。

・一人で店に戻った浪矢雄治の前に現れるのは、初恋の相手・皆月暁子(成海璃子)として登場します。

・「魚屋ミュージシャン」が作曲した曲は『REBORN』。山下達郎の50枚目のシングル曲。

・「月のウサギ」がいないので、田村晴美(尾野真千子)がナミヤの悩み相談について話をするのは、街で居合わせた「魚屋ミュージシャン」こと松岡克郎(林遣都)。

・ラストで白紙の手紙を試しにシャッターに差し込んだ敦也(山田涼介)は浪矢雄治からの手紙を読み駆け出す。その後の姿、医療従事者になった敦也、飛行機の整備士になった幸平、料理人になった幸平(寛一郎)として描かれる。 

映画の感想(いい話だけどわかるだろうか?) 


小説ではすごく細かいエピソードがあるのですが、それを二時間と少しにまとめるため割愛する場面が多くなります。そもそもちょっと複雑なタイムリープものなため、原作未読で映画を観た場合、すんなり内容が理解できるのかなと疑問に感じた場面もあります。

ナミヤ雑貨店の浪矢雄治と、孤児院の丸光園初代園長の皆月暁子は、昔恋仲でしたが、資産家の娘の暁子は、雄治との結婚を反対されて駆け落ちを考えたことがあった。しかし結局、恋は実らず、暁子は一度も結婚せずに園長としての人生を全うしています。

原作では当時を知る暁子の弟の話と、雄治が暁子に宛てた手紙から過去が推測されるんのみ。
映画では亡き暁子の若い頃として成海璃子が西田敏行の前に現れるのですが、これが非常にわかりにくい気がしました。

それをやるのなら若い二人の姿を見せた方がよかった。セリフだと伝わりにくいので若い二人が逃げる場面でもあればよかったのかもと考えてしまいました。

原作では、浪矢雄治は実はそれほど登場しない(第三章が中心)ですが、映画版では、西田敏行なので、あまり登場しない演出は考えにくいこともあり、雄治の昔の恋の相手を登場させたのだろうなと想像できます。実際、小説のイメージは堅物者な印象ですが、西田敏行が演じることでユーモラスさが加わってよかったと思いました。


2012年で強盗をした三人組は、原作ではぽわーっとした人たちでしたが、映画では個性が光っていて、各々得意分野を持っている。ラストでは個性が発揮できたようで更生も描かれています。

映像で大きいのは「魚屋ミュージシャン」の曲「再生」が山下達郎の「REBORN」として流れるところですね。歌詞がすばらしくラストの場面に説得力を持たせてくれます。

 

  

 ▼変わったタイムリープ映画はこちらにもあります!

noji-rei.hatenablog.com

 

それではまた。
のじれいか でした。