こんにちは。 のじれいか(@noji_rei)です。
『さよならドビュッシー』は、第8回「このミステリーがすごい!」で大賞を受賞した中山七里の小説の映画化です。
火災で重度の火傷を負った少女が、ピアニストへの夢を再燃させるうち、不穏な出来事に巻き込まれて…。
今回はどんでん返しのミステリー『さよならドビュッシー』のストーリーと見どころについて、ネタバレありでご紹介します。
よろしければお付き合いください!
【映画】『さよならドビュッシー』
作品情報
2012年 131分
監督:利重剛
原作:中山七里
脚本:牧野圭祐、利重剛
俳優の利重剛が監督を担当した作品です!
キャスト
●香月遥(橋本愛)
香月家の一人娘。ピアニストを目指している
●岬洋介(清塚信也)
ピアニストだが父が検事で、自身も司法試験をトップで合格した異例の人物
●香月玄太郎(ミッキー・カーチス)
実業家。遥とルシアを心から愛している。火災で亡くなる
●香月徹也(柳憂怜)
香月家の長男。遥の父。銀行勤務
●香月悦子(相築あきこ)
徹也の妻、遥の母
●香月研三(山本剛史)
遥の叔父。無職のニート
●鬼塚先生(清水綋治)
遥とルシアのピアノ教師
●綴喜みち子(熊谷真美)
香月家の家政婦。玄太郎に献身的に尽くす
●加納(サエキけんぞう)
玄太郎亡き後、会社の社長に就任
●片桐ルシア(相楽樹)
遥の従兄弟であり親友。医師の父が母と共に発展途上国に派遣したまま行方不明になり、香月家で暮らしていた
●新条医師(吉沢悠)
凄腕の外科医、瀕死の遥を救う
ストーリー
香月遥(橋本愛)は幼い頃から、祖父・玄太郎(ミッキー・カーチス)が所有する広大な屋敷で、父・徹也(柳憂怜)、母・悦子(相築あきこ)、叔父・研三(山本剛史)と暮らしていた。
ある日、従姉妹の片桐ルシア(相楽樹)が、父の仕事の都合で、屋敷で同居を始める。遥とルシアは強い絆で結ばれ、玄太郎は二人を心から愛し見守るのだった。
幼い頃から、遥とルシアはピアニストを目指しピアノを習っていた。やがて成長して高校生になった二人。友情は変わらないが、ルシアは海外に渡り行方不明になった父の意志を継ぎ、医療の道へ進みたいことを遥に打ち明ける。
そこでルシアは遥に、ピアニストになりドビュッシーの「月の光」を弾いてほしいと告げる。ルシアは遥を後押しし、遥もそれに応えることを誓った。
しかし、その深夜、遥は煙で目を覚ます。火は離れの屋敷を覆い、ルシアと玄太郎がどこにいるかわからない。
やがて病院で目覚めた遥は、全身に大火傷を負っていたが、優秀な外科医、新条(吉沢悠)による手術と、過酷なリハビリによって日常生活はできるまでに回復を遂げた。
その後、弁護士によって、玄太郎の莫大な遺産の相続が告げられる。家政婦の綴喜みち子(熊谷真美)にも遺産は相続され、遥は亡くなったルシアの分を含めた12億円を相続することになるのだが、使えるのはピアノに関することだけ。
遥は悦子からの期待と、ルシアとの約束を果たすため、ピアニストの岬洋介(清塚信也)からレッスンを受け、コンクールに向けて奮闘することになる。
しかしその後、遥をねらう不吉な出来事が頻発するようになり、実は司法試験にも具隠している岬は、遥とその周辺を注意深く見守るようになった……。
お屋敷ミステリー・プラスαの楽しみ(ネタバレあり)
言ってみれば富裕層の財産ねらいのミステリー。
火事によって平和な暮らしが一変、従姉妹と相続するはずだった遺産を主人公の遥ひとりが相続することになり、それからというもの、遥を狙う出来事が起こるようになります。
階段の滑り止めが外されていたり、松葉杖がないと歩けない遥の松葉杖が傷つけられていたり、果てはシャンデリアが落下してきたりします。遥を狙うのは誰か?
遥がいなくなれば相続も変わる。従って、叔父の研三や、実質屋敷だけで現金を相続していない父の徹也も怪しいといえば怪しい。
実際、母の悦子は、遥をピアニストにするために必死になり、リハビリがうまくいった遥のことを、これまで自主退学を促されていた音楽学校の校長らが手のひら返し、遥を見せ物にしたがったりするため、大人の事情に晒された遥は傷つき悩みます。
一見すれば浮世離れした物語ですが、遥とルシアの変わることのない友情は美しく、胸に沁みました。
遥は大切な祖父と従姉妹を同時に失い、苦しいリハビリに加え、世間の好奇の視線にも晒されている。深い闇を抱えながらも前を向かざるを得ない、大変苦しい状況であることが伝わってきました。
清塚信也、ガチピアニストの演技よし(ネタバレあり)
有名判事の息子で、司法試験を一番の成績で合格しながらピアニストになったという、一風変わったキャリアを持つ、清塚信也演じる岬洋介の存在がむちゃくちゃ効いています。
また清塚は、片耳が聞こえないというハンデを持ちながら、ピアニストになったという人でもあったりも。
莫大な遺産相続、全身火傷を負いながら手術を繰り返して顔が元通りになる、そんな身体で復活を遂げるという、いささか現実感が薄いストーリーなのですが、主人公に寄り添うピアノ教師がガチピアニストなのは、物語にとって大きな支えなのは確か。説得力のある配役だと思いました。
演技もうまく、ピアノを演奏する場面は、普通の俳優では到底できない、カメラを引いた演奏シーン、そんな見せ場も登場します。
犯人は誰?(ネタバレあり)
まだ高校生の遥が、遺産を相続してから、遥が身の危険を感じるおかしなことが起こるのですが、遥を狙うのは一体誰なのか?
遥の叔父である研三は、無職で漫画を描いているニート。独立しなければ金を払わないという条件つきでイラついている。
あと、遥の父である徹也が勤務する銀行は経営破綻を噂されていて、相続も屋敷を引き継いでいるので現金としては受け取っていない状況。
そんなとき、遥の母の悦子が、雨の夜、教会の前で倒れているのが発見されます。悦子は意識不明で危険な状態でした。
結論からいえば、遥を狙っていたのは、お手伝いの綴喜みち子です。
遥に何が起こっても綴喜みち子にはもはや一銭も入ってきませんが、会社の金を独り占めしたい新社長の加納が、火災の犯人は遥だと嘘を吐き、遥を狙うよう仕向けていました。
綴喜みち子は玄太郎に信頼を寄せていたため、もし遥が犯人であれば許し難いと感じて及んだ犯行。単純な性格もあって加納の口車に乗せられてしまったわけです。
母・悦子を狙ったのは誰?
母親の悦子がなぜ、深夜に教会にいたのか。それは、実はあらゆる人が密かに感じていた疑問なのですが、遥は本当に遥なのか? という点につながります。
実のところ遥は、従姉妹のルシアでした。火災で亡くなったのは、玄太郎と遥。命を取り留めたのはルシアだったのです。
火災当日の夜、ルシアと遥はTシャツを交換しており、またルシアの両親は亡くなっていたことから、周囲は意識不明のルシアを遥と信じ込み、顔の修復手術で遥の顔に変えてしまっていたのでした。
ルシアは自分が遥ではないと打ち明けるきっかけを失い、本当のことを話さずにいれば全てが丸く収まると考えて、真実を隠していました。
遥の母・悦子は、雨の中でルシアからそのことを打ち明けられ、興奮状態になり自ら階段から転落してしまったのでした。
しかし遥とルシアは背格好は似ていても指の長さが違う。ピアノ教師の岬洋介はそれに気づいていましたが、真相を打ち明けるまで触れることはありませんでした。
ラストはどうなる?(ネタバレあり)
コンクール当日、ルシアは、自分が遥ではなくルシアであることを岬洋介に打ち明ける。
岬洋介はそのことに薄々気づきながらも沈黙を続けていました。
ルシアはコンクールが終われば自分は逮捕されてしまう、だから最後にキスをしてほしいと岬洋介に頼みます。でも彼は、ルシアはきっと罪に問われることはないはずだからとやさしくルシアを慰めました。
コンクルールの結果はルシアの優勝。これはルシアが、ピアニストを目指した遥のためにやり遂げたかったこと。ルシアのつらい日々がようやく結実したのでした。
利重剛監督・気になる階段
主人公が火傷を負い、リハビリ後も松葉杖を手放せなくなった日常に変化したことを象徴するかのように、火災後の場面には階段のシーンがたびたび登場します。
特に心に残った場面は、岬洋介と刑事が、悦子が転落した教会の階段で話す場面。上からクレーンで吊って撮影したんでしょう。さりげないけれど印象に残る場面でした。
またセリフも心に残るよいものがありました!
U-NEXTで観よう!
こちらの『ザ・ギフト』は現在、U-NEXTで配信中です。
U-NEXTは\31日間の無料/で気軽にお試しができます。クレジットカードの入力が必要ですが無料期間内に退会すれば費用は一切かかりません。
気になる作品を見て退会するのアリかも。
- 映画、ドラマ、アニメが見放題!
- 新作が順次配信
- 毎月1,200円分のポイント還元!
- 4人同時視聴可能
※本記事の情報は2021年10月時点のものです。
▼橋本愛の出演作品はこちらにもあります。
それではまた。のじれいか でした。