映画『にがくてあまい』小林ユミヲ原作の漫画の実写化です。
主演は川口春奈・林遣都。
野菜嫌いの女子とベジタリアンのイケメンゲイが同居するというお話。軽いタッチのコメディなのですが、わかりやすく主人公の成長が描かれていて、考えさえられる部分もある、好きな映画です。
『にがくてあまい』の好きなところを書いていきます。
にがくてあまい
作品情報
製作年度 |
2016年 |
上映時間 |
96分 |
監督 |
草野翔吾 |
キャスト |
江田マキ(川口春奈)
片山渚(林遣都)
青井ミナミ(桜田ひより)
馬場園あつし(真剣佑)
やっさん(SU)
江田豊(中野英雄) 江田操(石野真子) |
予告
会話のテンポよし
バリキャリのマキ(川口春奈)は、仕事にしか興味がない。お汚部屋に暮らし、野菜嫌いなので、食べ物も適当。だらしない生活を送る。
彼氏にフラれて飲んだくれていたところを、バーの常連客、渚(林遣都)に救出される。
イケメンで有名高校の教師、渚との出会いに、マキの気持ちは浮き足立つ。
だが、渚はベジタリアンそしてゲイ。
マキは別れた彼氏と一緒に住むつもりで部屋を解約していて、住むところがない。なので強引に渚の家に移り住んでしまう。
仕方なく同居を受け入れた渚がマキに出した同居の条件は
・料理は渚がつくる
・渚が出した料理を全部残さず食べる
と、羨ましいものですが、野菜が大嫌いなマキにとってはハードルが高い。しかも毎日、手作りのお弁当まで渡されるので偏食のマキにとっては厄介です。
でも、渚はとても料理がうまく、野菜がまったくダメだったマキが、だんだん渚によって変わっていきます。やがて食べることの大切さや物事の本質に気づいていく。
極端な2人を掛け合わせる流れで、想像ができてしまう物語ではあるのですが、会話のテンポのよさ、川口春奈のダメっぷり、そして何より、料理をする林遣都が見られるのが嬉しい。
ドラマ『おっさんずラブ』の牧くんのベースになっているとも囁かれるのはごもっとも。でも実際の林遣都は料理がダメで、プライベートでは何もしないと聞いたことがありますが、そんなことを微塵も感じさせないのはさすがですね。
川口春奈も料理がダメだったり、偏食だったりと癖のある女の役を演じることがありますが、本当は魚も捌ける海の女なので、実は真逆。
コメディはいくら台詞がよくても演技によっては空々しく感じてしまうことがある。でもこの作品は出演者の演技がすごく自然で上手なので、ありそうでない、夢の世界を身近に感じることができます。
マキの野菜嫌いと渚の亡き兄(ネタバレあり)
渚の影響で野菜嫌いを克服したマキは、これまでいかに自分がだらしない生活をしてきたか実感するように。別れた彼の本質も見抜けるくらいに成長します。
また、マキの実家は、有機栽培農家を営んでいますが、父が脱サラして農園をはじめた当初は苦労続きで、マキも多大なる影響を受けました。そういった過去がトラウマになったマキは野菜嫌いになっていたのです。
渚が暮らす古い家は、実はアラタ(淵上泰史)の家。インドにいたアラタが帰国する。アラタはバイセクで、渚の元彼で兄がわりのような存在。そして渚の兄が亡くなった経緯も知っている。
渚はマキを説得して、マキの実家へ。仲違いをしているマキと両親(中野英雄・石野真子)は和解。実はその日が、渚の兄の命日と知ったマキは、渚を兄の墓参りへ連れて行きます。
渚の兄は病気の発作で亡くなり、渚は兄の死を自分の責任と感じている。マキは自分が野菜嫌いと家族関係を克服したように、渚にも兄への想いを克服してほしいと話します。
「にがい想いを料理して、栄養にしろ」
以前、渚がマキに話した言葉。マキは渚にしてもらったことを、今度は渚に返します。美しいギブテイの精神、これぞパートナーシップです。
けれど渚は、どうしたって女性のマキを恋愛対象には見れないので、ふたりの関係は友情として深まっていくばかりなのですが。
映画だからこその名言も
代理店勤務のマキは、ゴーヤのCMを担当するのですが、マキは野菜嫌いなので企画は難航します。
渚との同居を始めたばかりのマキは、渚からゴーヤのレシピを教わり、演技に自信がなく新しい分野に挑戦することを怖がるモデル(桜田ひより)に、渚から教わった料理を持参します。
「苦手なものがあったっていい。それはむしろ伸びしろで、新しい可能性があるということ」
と説得します。いい台詞だなと思いました。こんな感じで、コメディでありながら、なかなかいい言葉が飛び交うのもこの作品の見所。こんないい言葉を現実で聞けることはない、映画だからこそ味わえるというものです。
料理がおいしそう
劇中で渚がつくる料理はどれも本格的で、見ていて本当に美味しそう。目でも楽しませてくれます。
嫌がるマキに、渚が一生懸命に食べさせようとする姿勢がいい。男女の愛は成立しなくても新しい関係が出来つつあるのを感じさせてくれます。
レシピもあった!
さいごに
ラストも普通のラブコメとは違って普通のハッピーエンドではない。おそらくこのストーリーは別離前提なもの。だけどそこがいいと思っていました。人は出会いと別れを繰り返していくものだから。
原作では案外ハッピーエンドだったので、それはよかったと思いました。
▼ラブコメはこちらにもあります
それではまた。
のじれいか でした。