映画『スイートリトルライズ』は江國香織の人気小説が原作。行き詰まりを感じる夫婦の姿を描いた大人のラブストーリーです。
中谷美紀と大森南朋が夫婦役を演じており、ちょっと珍しい組み合わせな印象でしたね。
行き詰まり夫婦の話なのでパートナーと一緒には観ない方がいいかも。一人でぼんやり観ると楽しめると思いますよー。
作品の好きだったところ、残念に感じたところを書きます。
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スイートリトルライズ
※本記事の情報は2021年6月時点のものです。 最新の配信状況はサイトにてご確認ください。
作品情報
2010年 117分
監督:矢崎仁司
キャスト:中谷美紀、大森南朋、池谷千鶴、小林十市、大島優子
予告
中谷美紀だから許せる世界・好きなところ
IT企業勤務の岩本聡(大森南朋)と、人気テディベア作家の岩本瑠璃子(中谷美紀)は結婚して3年目の夫婦。
問題のなさそうな二人だが、聡は部屋に鍵をかけてゲームばかりしている。瑠璃子は用があると聡をケータイで呼ぶ、ちょっと変わった関係です。
瑠璃子は聡のペースを受け入れ、律儀に約束を守っていますが、自分との関係に隙間を作るような接し方に寂しさを感じている。
ビジュアル的に似合う雰囲気とはいえない俳優の組み合わせは、こういうストーリー展開だからかと納得です。
そんな瑠璃子の前に、津川春夫(小林十市)がテディベアを譲ってほしいと現れる。津川には恋人の美也子(安藤サクラ)がいるが瑠璃子に一目惚れ。瑠璃子と春夫はあっという間に関係を持ってしまう。
瑠璃子は聡を面と向かって縛り付けてはいないけれど、案外嫉妬深いと公言していて、聡はきっと相当息苦しいんじゃないかと。
瑠璃子は聡との関係を維持するため、春夫との関係を利用している。やがて春夫が美也子と別れて瑠璃子は動揺しますが、それでも冷静であろうとする。夫婦関係を絶対に壊さないつもりでいるのからです。
春夫から「瑠璃子さんは俺と同じで貪欲」だから関係をやめられないと言われるのですが何となく頷ける。無い物ねだりですね。
これは中谷美紀が演じるのでするっと受け入れられる。他の女優が演じていたら微妙だったでしょうね。
穏やかで冷静なようでいて、内面がどこか壊れている瑠璃子を演じる中谷美紀の美しさがすごかったっす。
夫も浮気で空白を埋める・好きなところ
好きなところといえるわかりませんが、夫の聡も大学時代のスキューバダイビング部の後輩・三浦しほ(池脇千鶴)と関係を持ってしまう。
聡も瑠璃子も誘ってきたのは相手側。
「言わなきゃわからないじゃないですかあー」と、しほは聡に自分との共有の秘密を持たせようとする。
しほは瑠璃子のことを結婚式の二次会で見ているので、聡に近づくのは好奇心というよりは純粋な好意からなのと、あわよくば略奪できるかもと考えてのことだろうと察しました。自分と一緒にいたら息苦しくないよと教えようとしたのでしょうね。
納得できる会話・好きなところ
春男は瑠璃子に、美也子との別れを匂わせるようになる。
春男は自分の心に嘘を吐けなくなったのでしょう。
「もし俺が別れも関係ないでしょう? 関係ある?」
そんなことを訊かれた瑠璃子は関係あると答える。
「私はあなたに嘘は吐けない。人は守りたいものに嘘を吐くものだから」
うわー。
すべて当てはまるとまでは思えませんが、恋愛においては当たっているところはあるかもしれない。
「でもあなたを愛しているわ」
そう続けた美也子に、春男は「ひでえな」と一言。
つまり愛していない。
結局、春男は美也子と別れてしまい、 瑠璃子は責任を感じて涙する。自業自得なのですが、自分のことしか考えない人はいるものです。
春男に別れを告げられた美也子が、瑠璃子に「自分だけが寂しいと思わないでください」というのは的を突いた言葉でしたね。
何も変わらない・残念だったところ(ネタバレあり)
モテ男とモテ女の夫婦がお互いに気を遣いすぎてしまい、結果居心地が悪くなってしまい言い寄られた相手と関係を持ってしまった。
独身たちが本気になってしまい、刺激を満喫した夫婦は楽しみすぎたことで危険を感じぴったり寄り添う。
聡と瑠璃子に振り回されてしまう男女たちがまじ不憫でした。
意地悪めにざっくりと要約すればそんな話ですが、自分から誘わないだけまだマシとも言えるのかも。
幸せを維持するのは難しい。ときには人を巻き込んでしまうこともある。そんなことが言いたいのでしょうか。
自分の空洞を誰かに埋めてもらうことを優先させてしまうと、 自分を余計に苦しめることになってしまいそうです。
それではまた。
のじれいか でした。