こんにちは。 のじれいか（@noji_rei）です。
『パーム・スプリングス』は、リゾート地で開かれた結婚パーティで出会った男女が、なぜか同じ日を繰り返すことになってしまうというお話です。
カリフォルニア州 パームプリングスという砂漠に囲まれた人工的なリゾートの風景と、結婚式に参列する日を繰り返すことになった退屈さと閉塞感が、ユーモラスに描かれていました。
いわゆるタイムリープもので、一定の場所にいて目覚めると同じ場所で同じ日にちというのは『恋はデジャブ』を想起させるところも。
ただ、単なるタイムリープものとは一味違い、謎解き要素と不思議な感覚を楽しむことができる映画だと思いました！
というわけで、今回は『パーム・スプリングス』の物語について、一味違うタイムリープ映画のある魅力についてネタバレありでご紹介します。
よろしければお付き合いください！
【映画】『パーム・スプリングス』
作品情報
２０２０年 ９０分
監督：マックス・バーバコウ
脚本：アンディ・シアラ
キャスト
アンディ・サムバーグ、クリスティン・ミリオティ、ピーター・ギャラガー、J・K・シモンズ
予告
ストーリー
１１月９日、ナイルズ（アンディ・サムバーグ）は、ガールフレンドと結婚式に参列するため砂漠にあるリゾート地、パームスプリングスに滞在している。
その後、ナイルズはパーティで言葉を交わした、新婦の姉・サラ（クリスティン・ミリオティ）と夜の砂漠でいい感じに。ところがそこに突然、弓矢を片手に現れた謎の男・ロイ（J・K・シモンズ）が現れナイルズは襲われる。
びっくりしたサラは、近場の洞窟に逃げ込むと、なぜか朝、ベッドで目を覚ました。そこは翌日のはずなのに、結婚式の当日だった。
やがて、サラは自分がタイムリープを繰り返してしていることに気づくが、それはナイルズも同じ。というより、実はナイルズはすでに数え切れないほど、同じ日を繰り返していた。
最初は困惑しながらも開き直っていたサラだったが、死んでも翌日は続く、つまり何をやっても死ないことをナイルズから知らされて、無茶を楽しみもするのだが、そういう日も長くは続かず……。
砂漠のリゾートの非日常と、繰り返される結婚式
まず、タイムリープの場所が、砂漠の中のリゾートというのが面白い。
パームスプリングスというところは、ロサンゼルスから車で２時間程度の場所に位置し、砂漠にありあがら源泉に恵まれたリゾート地。岩場や洞窟があちらこちらにあり、そこにはパームツリーが繁っています。
開放的ではあるけれど、あらゆる意味で非日常的すぎる。同じ日を繰り返すナイルズとサラからすれば、結婚式のためにここに来たのに、次第に式のことはどうでもよくなっていく。でもだったら何の為にいるのかわからなくなっていく様子が、コミカルに描かれていました。
それに繰り返されるのが結婚式というのもどこか皮肉めいています。サラはタイムリープをするようになって最初の頃は、「結婚式はもうやったでしょ」と家族に向かって混乱する感情を隠せずにいますが、気持ちはよくわかりました。
二人の関係をもうちょっと詳しく（ネタバレあり）
ナイルズとサラの二人は、この結婚式で出会うまで、面識はありませんでした。
ナイルズは、ガールフレンドのミスティ（メレディス・ハグナー）が新婦の介添人で、彼女のパートナーとして参列していたのですが、洞窟を潜ってからはタイムリープを繰り返すようになってしまいました。
その後、ナイルズはサラに、自分はタイムリープを数え切れないほど繰り返していて、現実がどうなっているか、何年経っているかもうわからないことを告白します。
だからサラのように強い脱出願望がある時期を脱し、現実に戻るのが怖くなっている。それで式場スタッフやゲストたちと肉体関係を持ったりしながら、孤独を埋めていたのでした。
そんなとき、洞窟を潜ったサラが、タイムリープのナイルズに仲間入りします。
でもサラは、ほかの人たちは先に進んでいるかもと焦りを感じ、何とか現実に戻ろうと試行錯誤を繰り返します。頑張ってみたものの結局のところ効果はなく、半ば自棄になってナイルズと共に、自堕落でやりたい放題の時間を過ごすのでした。
ナイルズとサラの事情（ネタバレあり）
タイムリープを繰り返すことになった直接的なきっかけは、洞窟を潜ってしまったから。でもそれ以前から二人は、それぞれ現実に後ろめたさを感じていました。
サラの事情
・酒と男好きで、だらしのない性格（と本人は感じている）
・続かない結婚をして離婚。家族の中で居場所のなさを抱えている
・妹・タラとの関係も複雑（母は継母）
・ナイルズとは肉体関係はないと思っていた
・妹の夫、エイブ（タイラー・ホークリン）と肉体関係を持っていた
ナイルズの事情
・ガールフレンドのミスティは浮気をしまくり。二人の愛は冷めている
・タイムリープを繰り返すうち、節操のない刹那な時間を過ごすようになった
・サラには肉体関係はないと話したが、それは嘘。実はサラとは、サラ自身がタイムリープになる前に、何度も関係を持っていた
・矢を持って追いかけてくる男・ロイは、やはり結婚式のゲストで実は……
謎の男・ロイの正体（ネタバレあり）
ロイは結婚式のゲストです。タイムリープを繰り返すナイルズが近づいた一人でした。
ナイルズとロイは、パーティで意気投合。酔ったロイが「最高の夜だ、一生ここで暮らしたい」と口にした言葉を真に受け、ナイルズはロイを洞窟へ連れて行きますが、ロイは後悔して、ナイルズをつけ狙うようになっていたのでした。
ただ、ロイの自宅は式場から近く、たまにしか現れないのですが、あるときナイルズがロイの自宅を訪ねると、ロイは妻と子供達に囲まれ「家族の一番いい時間」を過ごしています。
以前はナイルズに怒りを感じて追いかけていたロイでしたが、サラに車で轢かれて病院のICUに入れられたときに眠れず、どうやら違う時間軸に入り込んでしまったようでした。
そんなロイは言います。子供の成長を見れないのは悲しいけれど、今は家族が一番いいときだと。以前、ロイは、妻が家を出ていったと話しているので、その後に起こる最悪の事態を知りつつ、この瞬間に留まることを受け入れて、楽しむようになっていたのでしょう。
また、やがてわかりますが、ロイとナイルズは、実は親子の関係です。あまり詳しくは触れられませんが、ナイルズの母はロイとゆきずりで関係を持ってナイルズを妊娠していました。同じ結婚式に親子が出席してたのですから、世界は案外狭い（？）
彼らに未来は訪れるのか（ネタバレあり）
ナイルズがタイムリープを繰り返すなかで、それ以前にナイルズと関係を持っていたことを知らされたサラは、ナイルズから距離を起き、量子力学を学び、脱出する術を模索します。
洞窟内で爆弾を爆発させ、ループから抜け出す計画を立てたサラは、やっとナイルズに会いに行き、一緒に帰ろうと誘います。
その頃にはナイルズはサラを愛していることを自覚していましたが、現実に戻れば、死をはじめ、あらゆる苦痛が待っているから不安がある。加えて、どの時間に戻るかもわからないので、このまま留まりたいとナイルズは主張します。
でもサラはここにいても意味はないという考え。だからナイルズに一緒に来て欲しいけれど、独りで戻ることを決めます。
ナイルズは散々迷いますが、すでにサラと同じ時間軸を生きられないのなら、ここにいる意味はないことを悟り、慌ててサラの後を追いかけるのでした。
タイムリープ自体は、同じ時間の繰り返しでしかないのかもしれないけれど、人は必ず心を動かし経験を重ねて、少なからず成長し変化している。
それに人は誰でも独りなのですが、一緒に歩むことはできる。
たとえば現在のようなコロナ禍で、制限が多く変化が少ないと、似たような日々を繰り返しているような気持ちになりがちですが、どんな一日であっても、現実は動いて心は成長を続けている。
そんなことを考えさせられ、一味違うタイムリープ映画として楽しむことができました。
ファッション、ジュエリーがかわいい
舞台が結婚式当日なこともありますが、女子たちのファッションがかわいいです。
とはいえ、派手派手ではなく、あくまでもさりげない。華奢なリングやピアスを重ね付けしているのが今らしくて素敵でした。
ぜひチェックしてください！
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※本記事の情報は2021年１０月時点のものです。 最新の配信状況はサイトにてご確認ください。
それではまた。のじれいか でした。
