こんにちは。 のじれいか(@noji_rei)です。
『Red』は島本理生による小説が原作、妻夫木聡と夏帆の主演による恋愛映画です。
何不自由ない暮らしをして一見して幸せそうなのに、実は全く満たされていない専業主婦が10年前に別れた男と偶然再会する。
かつては男性側が婚姻状態にあったけれど今は男は離婚して独り身。やがて二人は抑えが効かなくなり、激しく求め合う。
主演の二人による官能的な場面に圧倒される映画でした。
ストーリーについて、感じたことについてネタバレありでご紹介します!
よろしければお付き合いください。
【映画】『Red』
作品情報
2020年 123分
監督:三島有紀子
原作:島本理生
キャスト
夏帆、妻夫木聡、柄本佑、間宮祥太朗、片岡礼子、余貴美子
予告
ストーリー
専業主婦の村主塔子(夏帆)は、商社勤務の夫・間宮真(間宮祥太朗)と、一人娘の三人で、真の実家で同居生活を送っている。
立派な家に住み、豪華な調度品に囲まれて、恵まれた環境だが、実際には夫と姑と娘に一方的に尽くすだけの存在で、空虚な日々を過ごしていた。
そんなある日、塔子はパーティで偶然、昔の恋人・鞍田秋彦(妻夫木聡)と再会する。
塔子と鞍田は、10年前に塔子が学生時代に不倫関係だった。だが現在鞍田は離婚していた。
日頃から満たされなさを抱える塔子は、かつて自分が学び仕事にしたインテリアの仕事に再び就くことを鞍田から勧められる。やがて鞍田が籍を置く設計事務所に勤めるようになった塔子は、真や姑から否定的に思われながらも少しずつ解放されていく。
塔子と鞍田は、仕事を通じて接点が増え、どうしようもなく引かれ合うのだった。
やがて塔子は、自分と別れてからの鞍田が重い病で入院していたことを知る。家にいても心の休まることがない塔子は、遠方での出張先で積雪で足止めにあって帰れなくなるが、そのとき延泊を許さない夫に対して限界に感じて……。
立場で生きる男、存在を認められたい女
10年前に塔子と鞍田が不倫関係だったとき、どのような経緯で別れることになったのか、詳しいことは映画では触れられません。
ただ鞍田は、塔子が自分の勤める設計事務所で採用が決まったとき電話を寄越すのですが、そのとき塔子は「あなたが酷い人だってことを忘れそうになる」と答えている。ことからも一度はかなり嫌な別れ方をしていることがわかります。
今は立場が逆で、しかも鞍田は病気をして先々の不安は大きいはずですが、守るべきものはないし、怖いものは何もない。
恋愛はタイミングといいますが、この二人が再会したとき鞍田も結婚していたら、間違いなく鞍田は塔子を求めなかったはず。
男は状況や立場で恋愛をするものだな、としみじみです。
もちろん男女の関係は相手が受け入れなければ成立しないのですが、塔子は不幸せな状況なので、二人の需要と供給がぴったり合ってしまった。寝ている子どもを起こしてしまった状態だったと言えます。
言葉遣いがエロい
再会したばかりの鞍田と塔子は、海沿いの道を鞍田が運転する車で走ります。
鞍田は経営していた事務所をたたみ、現在は友人の設計事務所で仕事をしていることなど、ぽつりぽつりと近況を語ります。
そして、ふいに「あのデザイン画、覚えてる? 笑ってしまうほど下手な線だったな」と10年前に塔子が描いたデザイン画について触れる。
「笑っちゃうほど」ではなく「笑えるほど」でもない。
「笑ってしまうほど」なところが上品でエロく、しかもそこで妻夫木聡は本気でタバコを吸っていて、鼻からも煙を出すのですが、そこがすごくよかった。
また、この世界観を後押ししているのが、鞍田の愛読書である谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』。これを意識しているのでしょう、昭和初期の言葉遣いを意識する遣り取りがありました。
マザコン夫が最悪(ネタバレあり)
間宮祥太朗の演じる一見して爽やか、実は身勝手なマザコン夫が、気持ちが悪かったですね。
確かに村主家は裕福なのですが、なぜか二世帯住宅ではなくてキッチンは一つ。それを時間別で使っているなど、相当居心地が悪いであろうことは、同居を経験したことがない女性でも容易に想像がつくでしょう。
そんな家に妻を置いておいて平気というか、むしろ安心とすら感じるのが塔子の夫。彼のように、自分の妻と子は自分の親とセットでいることが望ましく、それが自分にとっての家族と、勝手に思い込む身勝手な男は多い。
なので塔子が仕事を始めるときも「おふくろに相談してから」と言い出すなど、気持ち悪い場面が散見していました。
この手の夫は、最初にはっきりしておかないと、勘違いに気づかないままになってしまいます。
けれど塔子は自分が複雑な環境に育ったことがコンプレックスらしく、夫に本音でぶつかれないし、誰かと深く関係するのをするのを避けたがる。それが悪循環になり余計にコミュニケーションが取れなくなっていったのかもしれません。
堕ちていく女は幸せに見える(ネタバレあり)
塔子は、夫から雪で身動きできなくなった出張先から電話をすると「絶対に今日中に戻れ」と言われてしまい、もう自棄になって「わかった、帰る」と宣言します。
そのとき、塔子は夫との関係に限界を感じて「私が我慢すればみんなうまくいく」(だから何も言わなかった)と初めて夫に自分の気持ちを吐露すると、指輪を外して電話ボックスの電話機の上に載せます。
「私が我慢すればみんなうまくいく」という言葉は、わりとよく聞いた言葉だったので現実味のある遣り取りでした。でもそれを口にした時点ですでに我慢していないんですよね。
言葉にしなければ、幸せは維持できているけれど、言葉にせずにいられるものなのか。結局は誰だって自分のために生きているので、自分を殺して生きるなんて不可能なはずです。
原作では塔子は夫と復縁しますが、映画では破綻したかのように見せています。
一般的に家族を捨てて女として生きる女は、世間から色々と言われがちですが、その背景までは見えないことがほとんど。そんなことを感じてしまいました。
最後に、塔子がずっと着けている結婚指輪(マリッジリング)について。
一見してエンゲージリングのようでもある、フラワーモチーフのリングは、おそらくティファニーのビクトリアリングだと思いますが、エンドロールにはヴァンドーム青山の表記が…。リングは私物かもしれません。
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※本記事の情報は2021年10月時点のものです。 最新の配信状況はサイトにてご確認ください。
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それではまた。のじれいか でした。