キレイなトイレ調査研究所

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メリル・ストリープ&ソダバーグ「レット・ゼム・オール・トーク」がじわじわくる【ネタバレあり】

&2020年にアメリカで配信されたドラマ「レット・ゼム・オール・トーク」。


主演はメリル・ストリープ、監督はスティーブン・ソダーバーグの豪華な作品です。
主人公の友人役に、キャンディス・バーゲン、ダイアン・ウィーストらの有名女優が出演しているところも見どころです。

個人的な感想としては、最初はあまりピンとこなかったのが、見終わって時間が経つとじわじわくるお話でした。

簡単な物語の概要と、感じたところをネタバレありでご紹介します。

 

ちなみにこちらのドラマ、日本未公開です。

 

ざっくりストーリー

 

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有名作家のアリス・ヒューズ(メリル・ストリープ)は、授賞式出席のため、豪華客船のクイーンメリー2に乗船し、イギリスへ向かうことになった。

 

 

高齢のアリスは、甥のタイラー(フレッド・ヘッキンジャー)を同行させ、ほかに友人のロバータ(キャンディス・バーゲン)と、スーザン(ダイアン・ウィースト)も船旅に誘う。


でも三人が最後に会ったのはなんと30年も前のこと。喧嘩別れをして、それきり疎遠になっていたからだ。

そんなロバータとスーザンは、アリスからの唐突な誘いに戸惑いながらも、各人の事情や思いもあって、三人は船上で再会を果たす。

アリスたちの乗る船には、アリスを担当する出版エージェントのカレン(ジェンマ・チャン)が、アリスに隠れて乗船している。カレンは、アリスの新作小説の内容を探る目的で甥のタイラーと接触。タイラーはカレンに惹かれていく。


そんな中、アリスの部屋を、謎の男性(ジョン・ダグラス・トンプソン)が出入りしているのを知ったタイラーは、男性がアリスがアバンチュールを楽しんでいる? と思いながら見守る。


ロバータとスーザンも豪華客船の旅を楽しむが、彼女たちはアリスの本意はわからぬまま。特にロバータは、昔アリスの小説のモデルにされたことで、自分の人生が変わってしまったと、アリスに恨みを抱いていた。


船旅を人生に見立てた物語

 

最初、アリスは、エージェントのカレンから表彰式への出席を促されますが、自分は飛行機嫌いだからと、イギリス行きを断ります。

そこでカレンから船旅を提案されてイギリス行きを決意、そして何故か、昔の友だちを船旅に招待する。閉ざされた空間で女同士の友情が復活するのか? それとも女のドロドロが露呈するのか? 船上で殺人事件? などと思っていましたが、そこまで極端に物語は展開しません。

ただ淡々とした行動や言動の中に、各人の人間性が滲み出てきます。たとえば、作家のアリスは、おそらく他人に対して鈍感なところがあって、小説に利用された友人が傷ついたことを、あまりよく理解できていないところはありそうです。

そしてアリスは、ロバータとスーザンに、自身が尊敬している小説家の著書を手渡し、下船したらこの作家の墓参りに行こうと誘います。

三人の中で、スーザンは夫に死に別れているけれど、弁護士(たぶん)として、やりがいのある仕事をしているようなので、一応は心穏やかでいられますが、ロバータはよほど金に困っているのか、世間に対する不審感からか、アリスの言動に対してよそよそしさがあります。

 

 

そんなロバータが、アリスの小説によって、どれほど人生に悪影響を与えられたかについて、さほど詳しく描かれません。ロバータは、現在ランジェリー売り場の店員で、金銭的に裕福ではないこともアリスのせいと思い込んでいる。そして、だんだんとロバータがアリスの小説のモデルなった事実を、自分の人生が上手くいかないことへの言い訳に利用しているように思えてきます。船内でも金持目当てに男漁りをしますが、うまくいきません。

スーザンはまだ若いときに夫と死に別れ、現在は中年の息子がいる。まずまずの人生でしょうか。そんなスーザンは、過去のお盛んな行為をあれこれ思い出し、一人ニヤニヤが止まりません。

そして夜な夜な、客室に男性が訪れるアリスは、アバンチュールに浮かれているかといえば、思い悩んでいる様子です。するとやがてアリスには、ある秘密があることがわかってきます。


船の乗客達は、暇な時間、もの思いに耽り、悩み、恋をして、失恋して、昔のアバンチュールの相手と再会してと、いろいろあります。なんとなくですが、人生を船旅に例えているような、そんなふうに思えるところがありました。

 

 

人生に極端なものを求める人たち(ネタバレあり)

 

船旅を終えた、アリスとタイラー、ロバータ、スーザンの四人は、イギリスのホテルにチェックインします。

アリスが望んでいた作家のお墓参りをする目的もあったのですが、残念なことにお墓参りは叶いませんでした。夜ベッドに入ったアリスは目覚めることはなかったからです。

ここで実はアリスが難病に冒されていて、夜な夜な通っていた男性は医師とわかるのですが、アリスは亡くなる直前、ロバータと言い合いをしていました。

その二人の言い合いが、大変興味深く、えっ?マジで? と驚いてしまう。どうしてかといえば、アリスは本気で友情の復活を望んでいたからです。だけどロバータのもくろみはまったく別で、昔と同様、今度も自分をネタにした小説をアリスに書かせ、原稿のロイヤリティを受け取ろうというものでした。

そこで、アリスは、旧友が自分の願いとはまったくすれ違っていたことを知らされ、当然ながらショックを受けます。

その後アリスは亡くなってしまいますが、ロバータとの一件が死因かといえば、決してそうではないみたいでした。

ただ、社会的にも思考も真逆といえる二人は、実はよく似ていると思います。アリスはロバータの苦労に理解を示さず、自分の気持ちだけで行動する鈍感な人。30年も会っていなかった友人に対して唐突に友情の復活を望むのは相当強引に思えます。無論、自分が病気で、やり残したという後悔があったためなのでしょうけれど、何にせよ、相手に期待しすぎています。

またロバータも、自分の人生を嫌悪して、長い年月アリスを恨んできました。上手くいかないからアリスを憎むのか、アリスを憎むから上手くいかないのかわからないほどに。きっと不幸な人生の原因の一端は、アリスにもあったのでしょう。でも人生は本来、自分だけのもので、自分の生きた証なはず。それなのに、ロバータはアリスに上手くいかない人生を責任転嫁してしまう、自分の人生を生きていない人、他人に期待しすぎている人です

二人とも人生に極端なものを他力本願で求めている。そういう考えから不幸は始まるものなのかも。などと、自分のことは棚に上げつつ、上から目線で考えてしまいましたー。