映画「水は海に向かって流れる」を見ました。
原作は田島列島による漫画で、2023年6月に実写版映画が公開されました。
ストーリーと感想を書きますので、よかったら参考にしてください。
※途中ネタバレも含まれますので、ネタバレを避けたい方にはおすすめできません。。
一言でいうとこんな話
精神的に自立した純粋な男子高校生が、
だらしのない大人たちに囲まれながら、
現実や恋を知っていく話。
キャストと関係性
熊沢直達:高校生(演:大西利空)
榊千紗:26歳 OL、シェアハウスの住人(演:広瀬すず)
歌川茂道:漫画家・直道の叔父、シェアハウスの住人(演:高良健吾)
泉谷 颯:直道の住むシェアハウスの同居人、占い師(演:戸塚純貴)
泉谷 楓:茂道のクラスメイト(演:當真あみ)
成瀬賢三 大学教授 シェアハウスの住人(演:生瀬勝久)
熊沢達夫 直達の父(演:北村有起哉)
ざっくりストーリー
高校生の熊沢直達(大西利空)は、叔父・歌川茂道(高良健吾)の家に同居することになった。
だが、当日、直達が茂道の迎えを待っていると、現れたのは見知らぬ女性(榊千紗=広瀬すず)。
最初、直達は、千紗を茂道の恋人? と思ったが、やがて重道と千紗はシェアハウスの同居人の関係とわかる。茂道は家族に隠れて漫画家になり、金銭的な事情からシェアハウスに住んでいたのだ。
自動的にシェアハウスの住人になった直達は、クラスメイトで直達が住むシェアハウスの住人が兄である、泉谷 楓と接近する。
楓は直達に恋心を抱いているが、直達は、無愛想だけどどこか影のある千紗に心惹かれはじめている。
だが、驚くことに、千紗の母(坂井真紀)は、10年前、直達の父(北村有起哉)とW不倫の後、駆け落ちをしていた。千紗は直道が母の不倫相手の息子なことを知りながら接していたのだ。
母が家族を捨てて恋に走ったことで「恋愛はしない」とまで言い切る千紗と、そんな千紗の気持ちに寄り添いたい直達は、不思議な絆で結ばれていくように。
やがて、自分のことを一生懸命考えてくれる直達に対して、千紗も信頼を寄せるようになっていくのだが。
いい子じゃなくていいから半分持ちたいです
直達は率直で素直ないわゆる「いい子」と呼ばれる少年です。
だから、千紗も直達に対して複雑な感情を抱きますが、親のことと直達とは関係がないことも頭ではわかっています。
それに、互いの親がW不倫していたのだから、傷つくという意味では、千紗と直達は同じ立場にある。ただ直達はまだ子どもだったから気づかなかっただけ。
高校生になって親の不倫の過去を知った直達は、思いがけない過去に触れ、戸惑いますが、自分のことより以前からそのことで苦しんできた千紗を放っておけないと思うようになります。
そして「いい子じゃなくてもいいから、ボクも半分持ちたいです」と千紗に気持ちを打ち明けます。
責任だけじゃない、そのときすでに千紗への恋心があるのはわかるのですが、だらしのない親たちと比べて、心の示し方が率直。
女としては嬉しくてたまらない言葉を言ってくれるなーと好感度が高かったですね。
過去を守る女、女を守る男
26歳のOL、榊千紗は、母親への怒りを糧に生きてきた女性。「恋愛はしない」と公言しているだけあって、他人との関わりを制限しているところがあります。
千紗の母親は、直達の父親と駆け落ちしましたが、結局、直達の父は家族の元へ帰り、母だけそのまま帰りませんでした。千紗は自分の母親の本脳的な行動が許し難いのでしょうが、千紗の言葉に直達も「だったらボクも恋愛しません」と公言するところがかわいい。
そんな直達の言葉に千紗も「ばっかじゃないの」と大人ぶっていますが、直達の言葉をある程度本気で捉え「きみのことを好きになる子もいるだろうから、その子のためにも」そんなことを言うなよーと、諭すところが面白い。
若さっていいですね。
二人の恋の行方は?
直達は、千紗の心を軽くするために、母の行方を探して再会をセッティングします。
最初は「もうなにもなく暮らしたい」と嫌がった千紗でしたが、直達は「もっと怒りをぶつけていいし、怒ったっていいじゃないか、みんなおかしいじゃないか」と涙ながらに千紗に訴えます。
やはり直達も、千紗と同じように大人に対して怒りを感じていたのです。
千紗は直達の涙に見せられ、母親に会いに行くことを決める。
怒りに行ったところで、現実は変わらない。もう時間は動き出しているし、変わってしまったことは変えようがない。
だけど、過去の感情を誰かにぶつけなければ、千紗も直達も前に進めない。特に千紗は10年前から時間が止まってるので、自分の人生を生きるためにも母に会う必要があったのでしょう。
母との再会のあと、紗はある決断をしますが、直達はどうするのか??
恋の行方も少しだけ描かれるラストです!
自分が大切と感じている相手には、逃げずに向き合いたいなと思わせてくれる映画でした。