映画『ボディガード』は、ケヴィン・コスナー演じるイケメンボディガードが、国民的エンターテイナーを危機から守り抜くという、サスペンス恋愛映画です。
ヒロインの歌手役は、80年代から90年代にかけて一世を風靡したホイットニー・ヒューストン。没後ドキュメンタリー『ホイットニー~オールウェイズ・ラヴ・ユー』が上映されましたが2022年にもドキュメンタリー映画の公開を控えているみたいです。
本作は久しぶりに観ると…色々感じるところが多い映画でした。ストーリーと感じたことをネタバレありでご紹介します!
ボディガード(1992)
作品情報
アメリカ 135分
監督:ミック・ジャクソン
キャスト:ケヴィン・コスナー、ホイットニー・ヒューストン、ビル・コップス、ゲイリー・ケンプ、ミッシェル・ラマー・リチャード、マイク・スター
ストーリー
ホイットニー・ヒューストン演じる、国民的人気の歌手、レイチェル・マロンに脅迫状が届くようになり、レイチェルの身を案じたマネージャーが、ケヴィンコスナー演じる敏腕ボディガードのフランク・ファーマーに仕事を依頼します。
レイチェルは幼い息子と姉のニッキー(ミシェル・ラマー・リチャーズ)、スタッフやお抱え運転手たちと、ビバリーヒルズのお城のような大豪邸に暮らしています。
▼こちらはハワイの「ロイヤルハワイアンホテル」ですが、テイストは近い。とにかくレイチェルの自宅はすごい家です
ハワイアン雑貨 インテリア キャンバス 栗山義勝氏 パネル絵(ピンク・パレス/ロイヤル ハワイアン ホテル)ハワイ イラスト 雑貨 お土産
フランクは元シークレットサービスですが、レーガン大統領暗殺未遂事件当日に非番だったことに責任を感じて退職、その後は流しのボディガード業をこなしていました。
レイチェルは元々気まぐれで身勝手な性格なのと、マネージャーたちの気遣いで脅迫状の存在を知らせていないことも手伝い、最初はフランクを軽んじ、必要ない邪魔だからと追い出そうとします。
なのですが、その後、何者かに追跡されたり色々あって、レイチェルも身の危機を感じるようになりフランクを頼りにするように。で、レイチェルはフランクをデートに誘い、フランクも無愛想にしてますが、本当は満更でもないので気持ち優先で関係を持ってしまいます。でもフランクはクライアントとの関係を後悔してレイチェルに素っ気なくし、女のプライドが傷つけられたレイチェルとの間には隙間風が。せっかく良くなった二人の関係は再び悪化します。
見どころはバブル期の豪華さとホイットニーの歌
映画が公開されたのは1992年、バブル景気の時期とはちょっと異なりますが、とにかく色々お金がかかっていてゴージャス。
レイチェルの自宅もすごいですし、本当のスターの暮らしを垣間見せてくれるのはいい。(その割に警備は手薄ですが)
ホイットニーは撮影当時、30歳手前くらいだっはたず。すでに大スターの貫禄は十分にありますが、同時にかわいさもある。ちょうど同年にホイットニーは結婚、翌年に娘が生まれている。まさに最も輝いてた時期だったのでしょう。
サウンドトラックも売れに売れた、この頃、ジェイファー・ロペスが頭角を現すより前で、ホイットニーかマライア・キャリーかといった歌姫合戦が音楽界を賑やかせていたはず。
一家に一枚、とまでは言いませんが、『ボディガード』のサントラを持っている人は多かったですね。
そんな歌姫を守るケヴィン・コスナーもかっこいいです。今は風貌も変化しましたが、この頃のケヴィン・コスナーは頼れる助っ人感が出ていて素敵。やはりケヴィン・コスナーもこの前後、『ダンンスウィズウルブス』『JFK』の頃が最も輝いていたんじゃないでしょうか。
強い男に体を張って守られて悪い気がする女はいません。たとえ仕事でもこんなボディガードがいたらそれは惚れますよ。ただし守る方は、相手がホイットニーだから本気になってしまったんでしょうけどね。
サスペンス要素も少々
物語の核は女性歌手を脅迫する犯人探し。なかなか姿を現しませんが、本丸らしき人物は想像できる。
中盤まで、なかなか姿を表さないので焦れますが、後半へ向かって盛り上がるための演出ですかね。前半はレイチェルに振り回される元シークレットサービズのイケメンと二人の恋の駆け引きといった感じです。
あと笑えるのは、フランクとレイチェルがデートして、サムライ好きなフランクが日本映画を専門に上映しているらしい「アタシ」という映画館で、大好きな時代劇(62回観た)映画を観に行くのですがタイトルは『燃える朝日』。モノクロ画面で三船敏郎みたいなサムライが刀を振るっていました。
残念なのは、冗長ぎみで・展開が読める
ショービジネスの風景を見せてくれるので、個人的には見飽きませんが、飽きる人も出てきそうです。
喧嘩して離れて、またくっつく、というのは、恋愛映画の鉄則ですが、それにしてもありがちだった気が。この映画は135分ですが半分くらいは恋愛。でもそこがいいのね、きっと。
ラストはどうなる、犯人は(ネタバレあり)
フランクの父が住む湖畔の一軒家に、レイチェルたちが滞在したときボートが爆発したことでフランクは、愉快犯や普通の脅迫ではないと気づきます。
レイチェルの姉、ニッキーは付き人としてレイチェルと同居していましたが、ニッキーも音楽での成功を目指した時期がありながらレイチェルがメキメキ売れてしまい、自分は成功を諦めた。スターの妹を持つ姉は影で強い嫉妬を感じていて、脅迫状が届き始めた時期を利用し、酒場で出会った男にレイチェルの殺害を依頼していたことがわかります。
そのニッキーは、フランクの父の家で犯人らしき男に拳銃で撃たれて絶命。ショックで落ち込んでいたレイチェルでしたが、アカデミー賞のノミネートに出席するため、フランクを伴い式に参加。
レイチェルを見守るフランクは、バックステージでかつての同僚、グレッグ・ポートマン(トーマス・アラナ)と一緒になり、彼とは以前もレイチェルのパーティで一緒だったのですが、ポートマンが嘘を吐いたことがわかり、犯人がポートマンと気づきます。
会場で受賞に喜ぶレイチェルにポートマンは発砲、それに気づいたフランクはレイチェルの危機から救います。
任務を終えたフランクはレイチェルと別れを迎え、強く抱き合い別れを惜しみつつ、それぞれの道を生きていくのだった。
ラストに涙した理由
仕事を終えたフランクは、レイチェルの元を去ります。愛し合っていても住む世界が違う二人は同じ環境にいることはできないからです。
空港で小型機に乗って何処かに向かうレイチェルを見送りに現れたフランク。一度別れて動きだした飛行機ですが、レイチェルはそれを止めさせ(強引)フランクの元に駆ける。そして抱き合いキスをする。鳥肌が、そして泣けました。
もうそれは、映画の世界を超えた(メタフィクション)世界ですが、その後のホイットニー・ヒューストンの人生を思うとたまらない気持ちになるから。ホイットニーもこのままフランクにボディガードを頼んでいたら、ボビー・ブラウンと結婚しなかったかもなどと、想像してもどうにもならないパラレルワールドな世界を作り上げてしまいます。
映画の中でレイチェルに届いた脅迫状には「お前はすべて持っている」と書かれているのですが、まさにホイットニー・ヒューストンの存在そのもの。これほど恵まれ、何もかも手にしながら、どうしてあんな亡くなり方をしなければいけなかったのか。考えると切なく胸が痛みます。
あ、ボビー・ブラウンは20代の人はまず知りませんよね。コスメのボビィ・ブラウンしか思いつかないと思いますが、そういう人気シンガーがいたんですよ。(ボビー・オロゴンではありません。念のため)
それではまた。 のじれいか でした。