映画『森の学校』は、2002年に上映された、文部科学省 特別選定・厚生労働省 推薦・環境省 推薦と何やらお堅い作品な雰囲気が漂っているなーと感じつつ鑑賞……よい作品でした、泣けました。
主演は三浦春馬。少年時代の三浦春馬が自然や家族と触れ合う姿に癒されます。ぜひ観てほしいなと思える映画でした。
作品を見て感じたことを書きます。これから観る方の参考になればと思います。
【映画】『森の学校』三浦春馬と自然に癒される【ドリパス上映】
作品情報
2002年 108分
監督:西垣吉春
原作:河合雅雄 『少年動物誌』
キャスト
三浦春馬
神崎愛
篠田三郎
小谷力
登坂絋光
久保山知洋
小阪風真
小阪明日桂
織本順吉
日向明子
小峰怜奈
みやなおこ
公式サイト
森の学校Website
ストーリー
昭和10年代の丹波篠山、豊かな自然に囲まれて暮らす河合家の8人家族。
父の秀雄(篠田三郎)は自宅で歯科医を営み、母の静子(神崎愛)は夫の仕事を手伝いなががら、6人の子供達を育てる。6人の子供たちは全員男の子、自然と戯れながら自由に伸び伸びと日々を過ごしている。
見てきたでござるよ #森の学校 #三浦春馬 pic.twitter.com/BT3vQbKLbn
— noji_rei (@noji_rei) April 4, 2021
三浦春馬演じる三男の雅雄は、喧嘩も強くて活発な男の子だけど、体が弱くてすぐに寝込んでしまう。大きな病気はないが一度寝込むと長期で学校を休むため、勉強が遅れがちになり、友だちからも忘れられてしまったのではと焦りを感じたりもしている。
子供は全員かわいいが、とくに手のかかる雅雄を両親も祖母(雪代敬子)もかわいくて仕方ない。でも雅雄にとっては、無償の愛を重荷に感じてしまうことも。
そんなとき東京から美代子(小峰怜奈)という転校生がやってくる。美代子の父は戦死し、美代子の母(日向明子)は実家に美代子を預けにきたのだった。母は仕事を探しに東京に戻り、美代子は祖父(織本順吉)らと丹波篠山で暮らすことに。東京育ちの美代子は虫を怖がるが、虫や動物が好きな雅雄と触れ合ううち、だんだんと自然を受け入れるようになっていく。
また雅雄は、友だちが憲兵隊長の息子にいじめられることが度々あり、見兼ねていじめっ子と喧嘩に。相手をやっつけた雅雄だが、父が学校に呼び出され騒動に発展する。
でも父は決して雅雄を責めず、むしろよいことをしたと褒め、むしろ相手が素手ではなかったことを指摘して雅雄を擁護する。
無事に開放された雅雄だが、頭を下げて場をとりなした祖母につらく当たってしまう。父に叱咤され反省した雅雄だったが、その後、祖母が倒れたと報せがあり……。
2000年代の映画とは思えないリアリティ(ネタバレあり)
昭和初期の風景やしつらえに徹底的に拘り、丁寧につくられた作品なこともあり、知らないで見たら昭和の映画だと普通に思ったでしょう。それほど世界観にブレがなく徹底しています。
この作品で描こうとしたのは、幼少期における自然とのふれあいが、人の成長にいかに大切かということ。
子供は自然の中で、大人からすれば危険に見える遊びをすることもあるけれど、そうして自然と触れ合ううち、心身共に成長する。劇中でそのような場面が繰り返し登場するのですが、いつの間にかいい大人になっていた自分自身のことを振り返らせてくれるサブミナル的な効果もあると感じました。
丹波篠山の風景が満載。篠山城跡、春日神社などで少年三浦春馬が弟や友人と過ごす宝物のような時間が流れていく。
自然から学ぶ生死感(ネタバレあり)
物語の後半で、憲兵隊長の息子と雅雄は喧嘩になってお互いを傷つけますが、息子は木刀を持っていて、雅雄は素手だった。
父はそのことを指摘して相手に謝ろうとしない。雅雄の面子が立たないし、悪くもないのに謝ることを息子にさせたくはなかったからでしょう。
そして、父は雅雄を思って頭を下げた祖母を注意しますが、雅雄が祖母を責めることは許しませんでした。
祖母の行為は愛あってのこと。擁護された立場で避難できるものではない。
物置小屋に閉じ込められた雅雄を想い、祖母は母親に言います「雅雄の悪いところ(体の)私が死ぬとき全部持っていくから」と。
その後、雅雄は父に抱きついて和解しますが、すぐに祖母が倒れてしまいます。
祖母の死で河合家の子供達は、みんな誰でも死ぬんだなと、おそらく初めての身内の死に悲しみと不安と感じるように。
祖母に詫びられなかった雅雄はその中でも落ち込んでいますが、そんな雅雄を見た母はやさしく言葉をかける。
「命は繋がっている、おばあちゃんの命がお父さんに、その命が雅雄にというように。だから、おばあちゃんには、ご苦労様、ありがとうという気持ちでいるのよ」と。
少年は生命の循環を実感し、これまで虫や自然と戯れるとき、命を粗末に扱ったことを悔いて成長します。
子供を自然に触れさせるということは、生命の誕生と死を理解することに繋がる。そんなことも言いたい映画なのかもしれません。
三浦春馬とクリスチャン・スレイター
この映画を観た前日、スティーブン・スピルバーグ監督の『太陽の帝国』を観たのですが、偶然にも舞台になった時代設定や主人公の少年の年齢などに共通点が多く記憶に残りました。
『太陽の帝国』は上海で生まれ育った裕福な家庭のイギリス人少年が、第二次世界大戦勃発の混乱で両親とはぐれてしまい、捕虜収容所に送られながらも逞しく生き抜くという話。戦争の勝敗は別として、この『森の学校』の主人公、雅雄はイギリス人少年より遥かに幸せに生きている。
『太陽の帝国』の主人公の少年役を演じたのはクリスチャン・スレイター、子役デビューながらその後スター俳優になったところは、三浦春馬と似ている。
以前『週刊文春』で三浦春馬のお母さんのインタビュー記事を読みましたが、母親から見て息子の大きな飛躍になったと感じる作品として『森の学校』をあげていましたね。
確かに三浦春馬の演技は素晴らしく、ずっと見ていると、これは演技ではなく現実ではないのか?と変な気持ちになるほどでした。
父親役の篠田三郎は、昔のイメージの怖い親父ではなく、細かいことは気にしない大らかな人物を公演していましたが、成長した三浦春馬と比べてみると、親子役としてはなかなかいい線いっているように思えました。
また雅雄と仲良くなる転校生の美代子(小峰怜奈)はその後女優業から遠のき、元KAT-TUNの田口淳之介と交際、大麻取締法違反で逮捕されました。当たり前ですがこの映画の中でそんな予兆は微塵も感じさせません。
ドリパスで観よう!
私が今回『森の学校』を観たのはドリパスです。
すでにご存知のが多いと思うのですが、『森の学校』はDVD化されていないため、リクエスト形式で上映イベントを募るサービスを利用しないと観れない映画なんですよね。
ドリパスは『森の学校』のように隠れた名作映画や、劇場のスクリーンで観たいときに、作品の上映リクエストができる仕組み。
登録は無料ででき、リクエストした上映がランキングに入ると、その作品がドリパスのサイト上で販売されます。
前回『森の学校』のチケットを取っていたのですが、コロナによる緊急事態宣言のため開催中止になったので、今回リベンジ購入したのですが、念願かなって観ることができてよかったっす。
それではまた。
のじれいか でした。