【映画】『ビバリウム』カッコウの習性と不気味不動産の関係は?【4つもポイント】
こんにちは。 のじれいか(@noji_rei)です。
映画『ビバリウム』(Vivarium)は、
新興住宅街を案内されたあるカップルが、やたらと不気味な一帯で置き去りにされる
閉塞感のあるスリラー映画です。
好きな人はハマる、ダメな人はダメかもな作品かも。
今回はこちらの映画『ビバリウム』に登場する3つのポイントについて
ネタバレありで考察してみました。
よろしければお付き合いください!
作品情報
2019年 ベルギー、デンマーク、アイルランド 98分
監督:ロルカン・フィネガン
出演:ジェシー・アイゼンバーグ、イモージェン・ブーツ、ジョナサン・アリス・ダニエル・ライアン、モリー・マキャン、セナン・ジェンイングス
予告
ストーリー
小学校教諭のジェマ(イモージェン・ブーツ)と恋人のトム(ジェシー・アイゼンバーグ)は、家を買うため、不動産屋を訪れる。
最近、宅地開発された家を見に行こうと考えていたのだ。
そしてふたりは、不動産屋・マーティン(ジョナサン・アリス)の車に先導され「ヨンダー」という住宅地「9」の家に案内された。
「ヨンダー」に建っているのは同じ家ばかり。
内見の途中で、不動産屋は消えてしまい、トムとジェマは帰ろうとするが、何度挑戦しても同じ場所に戻ってきてしまう。
帰ることができず、仕方なく家に留まることになった二人が滞在する「9」の家の前に、翌日、箱に入った赤ちゃんが届けられた。
箱には「この子を育てたら解放される」とあり、二人は仕方なく赤ちゃんを育てることにするのだが。
4つのポイント
不気味さが漂う物語なのですが、解釈によっては現代の風刺などとも言われています。
ストーリーの中で、登場するポイントについて考察することで、ストーリーのテーマや意味するものについてについて見えてくるものがありそうです。
① カッコウの習性が意味するもの
話の冒頭で、いきなりカッコウのヒナが登場します。
カッコウという鳥は、自分が産んだ卵をほかの鳥に育てさせる托卵の習性があるのですね。
具体的には、自分より小さな鳥をねらい、親鳥がいない隙に巣で産卵して頭数を合わせるため巣にある卵を一つ持ち去るというもの。
しかもよその鳥の巣で孵化したカッコウのヒナは、巣にあった卵やヒナを巣から落としてしまい、自分だけが餌を与えられ続けるという、なかなか残酷な行動をとります。
ジェマとトムは、放課後、地面に落ちて冷たくなっているヒナ鳥を見つめている生徒と一緒に、ヒナを土に埋めてやります。
それから家を見に不動産屋を訪れることに。
カッコウの姿は、その後、自分たちが、得体の知れない赤ん坊を育てることになる未来を予想させ、土に埋められるヒナはジェマとトムたち自身(?)かもと不気味な連想をさせられる例えでした。
② 赤ん坊は何者?
トムとジェマが育てることになった赤ん坊は、ものすごい速さで成長します。
そして、二人の言葉を聞き真似するなど、行動は極めて不気味です。
要求を通すために叫び声を上げるので、それでなくても隔離されている二人の精神状態はいよいよ追い詰められていき、トムは子供を避けたり、車に閉じ込めようとします。
ジェマは子供から「ママ」と呼ばれると「ママじゃない」と言い返すのですが、箱に書いてあった「育てれば解放される」という言葉を信じるしかないのと、教師という職業柄もあるのか、すごく嫌だけれど仕方なく育てていくのでした。
赤ん坊は成長して成人になります。具体的に何者かはわからないのですが、人間ではないのは確か。
つまり、異星人(?)がカッコウの習性のように、人間が子育てをする習性を利用して自分たちの子供を育てようとしているのだと考えられます。
③「ヨンダー」とはどこなのか?
幸せの象徴するような家族をイメージした看板がそびえる「ヨンダー」には、無数の家が建っていますが、住民はいません。
ジェマとトムは、あらゆる手を使って脱出を試みますが、どんなに頑張っても不動産屋に案内された「9」の表札の家に戻ってきてしまう。
屋根に昇って見渡しても限りなく「ヨンダー」が続く姿を見たトムは、やがて庭を掘りはじめます。
やがてジェマは、育てていた子供が成長し、地面の下の隙間にからだを滑らせるように逃げるのを見て、慌てて追いかけます。
もしかしたら逃げ道があるのではと、ジェマは僅かなの望みを託したのでしょうが、地下を潜った先にあったのは、自分たちと同じヨンダーの住宅。
つまり、拐われた自分たちに逃げ道はなく、同じ経験をした人間は自分だけではないということを見せています。
「ヨンダー」は、人間の姿を真似て、不動産屋を装っているマーティンらが、作り上げられた世界だとわかります。
④ 子供が見ていた映像は?
「ヨンダー」には携帯電話の電波は圏外、テレビはありますが番組を見ることはできません。
閉じ込められている、社会から遮断されている環境なので、まあ当然といえば当然なのですが、子供は頻繁にテレビを見て何かしています。
画面から流れるモノクロでサイケな映像と電話のベルに近いノイズは、子供が宇宙との交信をしていると予想できます。
個人的感想(不動産屋には気をつけろ)
映画『ビバリウム』をインターネットで検索すると、「不気味」「怖い」などがよく出てきますし、実際、イメージするところは、得体の知れなさだと思います。
ただ、冒頭でいきなり、カッコウの托卵の場面が登場し、その後もカッコウの巣について触れることもあり、家を買おうとするカップルが、自分たちにとって謎の存在である何者かに同じような目に遭わされることが、わかりやすく描かれていると感じました。
また、彼らが拉致られる、新興住宅地「ヨンダー」は、新しいこともありますが、幼稚でチープな世界です。不動産屋として人間を送り込んでいる異星人からすれば、人間はこういう環境を与えれば、自然と子育てするはずと、認識されているところがも白かったですね。
トムとジェマに育てられた、子供は成人して、二人を簡単に捨てて街に戻ります。
一方、トムとジェマを案内したマーティンは、同じ店にいるのですが劣化して生命の終わり(死を)を迎えようとしている。
そんなマーティンを見た成人した子供は、マーティンを人間にしたのと同じようにチャック付きのビニール袋に入れてしまいます。
生まれて生きて死んでいく。
どんな生き物であっても、命の繰り返しは同じ。そんなふうに輪廻転生がクールに描かれた映画という印象的でした。
不動産屋さんに物を見に行くときは気をつけよう、なんて冗談めかして少し考えていまいました。
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※本記事の情報は2021年9月時点のものです。 最新の配信状況はサイトにてご確認ください。
▼こちらもスリリング。
それではまた! のじれいか でした。