アマゾンプライム・オリジナル『アンダン〜時を超える者』は、3Dモデリングを使ったアニメーション・ドラマ。
アラサー女子がタイムリープをして、過去を変えようとする話です。タイムリープなのですが普通のタイムリープとは少し違う。サスペンス的な要素もある。
不満はあるのに自分から現実を変えようとはしない女が、交通事故がきっかけで現在と過去の区別をなくした不思議な能力を持つことになる。
物語の不思議な展開と3Dモデリングの映像が相まったユニークなドラマです。
ラストを含むストーリー展開をネタバレありで解説。また「シーズン2」はあるのかについて考えます。
アンダン〜時を超える者(undone)
Undone (An Amazon Original Series Soundtrack)
2019年・シーズン1(全8話) 22 分〜24分
キャスト:ローサ・サラザール、アンジェリーク・カラブル、コンスタンス・マリー
おもな登場人物
・アルマ/28歳独身。皮肉やでネガティブ。父・ジェイコブの死を自分のせいと責めるなど繊細な一面がある。
・ジェイコブ/アルマの父。理論物理学の教授だったが、アルマが子供の頃、ハロウィンの夜、自動車事故で亡くなった。
・サム/アルマの恋人。アルマが事故に遭う前に別れていたが、事故でアルマが別れた事実を忘れたのを利用してしれっと復縁する。
・ベッカ/アルマの妹。アルマとは本根の付き合い、アルマのことを心配している。金持ちのリードと婚約できて嬉しいはずが、実は満たされずバーテンダーとの浮気を繰り返す。
・リード/ベッカの婚約者でお金持ち。
・アルマの母/ジェイコブを亡くして女手一つで姉妹を育てあげた。
・ファルナズ/ジェイコブの教え子。ジェイコブと同じ車に乗って事故死した。
・チャーリー/企業の経営者。ジェイコブの研究に給付金を払っていた。
ストーリー
28歳保育士のアルマは、同じことが繰り返されるだけの毎日に嫌気がさしていた。アルマには一緒に暮らす恋人のサムがいるが、結婚する気になれない。
妹のベッカは恋人のリードと婚約。アルマは精神を病んだ祖母の存在、父の死が原因して、結婚に対して懐疑的。ベッカに心から祝福の言葉をかけることができない。
悩んだ末にアルマはサムと別れる。またアルマはベッカと口論になり、感情的になった挙句、運転を誤ったアルマは自動車事故を起こしてしまう。
昏睡状態のアルマの意識の中に、亡き父・ジェイコブが現れる。ジェイコブは幽霊ではなくアルマの意識に登場している。
生前「時間を並び替える研究」をしていたジェイコブは、時間を行き来できるようになったアルマに、時系列を並び替えさせ、過去を変え、自分を生き返らせてほしいと頼むのだった。
ジェイコブが亡くなった理由
アルマの父、ジェイコブが亡くなったのは事故死ですが、ジェイコブは自分の死の記憶が曖昧で、何者かによって殺められたと思っている。
ハロウィンの夜、幼いアルマとジェイコブは連れ立って出かけ、途中でジェイコブは一人で研究室に戻り、アルマ置き去りにされた。その後、ジェイコブは亡くなっていた。
過去を彷徨ううち、アルマはジェイコブがチャーリーという男から助成金を受けていることを知る。ジェイコブはチャーリーが研究結果を独り占めしたくて、自分とファルナズを殺害したと確信する。
チャーリーはかつては確かに、ジェイコブの研究に価値を感じていたが、それは一時のこと。すぐにジェイコブの研究には価値がないと手を引いていた。
ジェイコブの妻は、身勝手すぎるジェイコブを見放し、離婚を決意。
ジェイコブの研究を手伝っていたファルナズも、研究対象の先住民の遺物を盗み、娘のアルマや子供たちを実験材料にジェイコブを大学に報告すると言い出す。
すべてを失って絶望したジェイコブは、ファルナズと無理心中を図っていた。
ジェイコブとアルマが生前最後に一緒だったハロウィンの夜に戻り、当時の自分と意識を入れ替えたジェイコブは、アルマを置き去りにせず、ふたりで仲良く歩き出す。
それがもし現実に置き換えられいれば、ジェイコブは死なず、過去は書き換えられるはずなのだが。
PTSDに疑われるアルマ
アルマは父親のジェイコブと話しているのですが、家族や友人たちから見れば独り言をいっているようにしか見えないので、母親は精神科に通わせて薬を飲ませようとします。それは恋人のサムも同じで、アルマはかなりやばいと思っている。
アルマは、かつて家族で旅をした思い出の場所であり、同じ血が流れているメキシコに行き、時間のリセットを図ろうとする。
歯切れの悪いラスト
メキシコの洞窟の前で一人、現実が書き替えられるのを待つアルマの前に、ベッカが現れます。母から連絡を受けて心配してアルマを追いかけてきたベッカは、結婚したばかりでしたが、浮気を打ち明けて結婚を無効にされていましたが後悔はない様子。
そんなベッカにアルマは語ります。「現実は変わるはず」と。
アルマとベッカは、自然に囲まれて一夜を過ごしますが、朝になっても現実は変わっていない。
アルマは一人、洞窟からジェイコブが現れるのではと歩き出す。
すごく歯切れの悪いラストに唖然です。
ベッカが自然の中で過ごしながら「現実だって悪くない」と話すのですが、その言葉が示すようにたぶん現実が変わっていない。
なのでおそらくジェイコブは生き返らないのでしょう。過去に起きたことを深い視線で見つめることは現実と未来に大きく役立つ。だからジェイコブが研究した「時間を並び替える」ことは叶わなかったと結論づけられそうです。
アルマが父と会った体験そのものが、幻だったのかもしれない。そんなふうに思えます。
シーズン2は作られる可能性は?
すごく歯切れが悪い終わり方をしていて、続きがありそうに思えるのものの「時間を並び替える」ことが不可能だとすれば、すでに結論は出ていて物語は完結している。
なので「シーズン2」が製作される可能性は低いと思われます。
もしも現実が変化して、アルマの父が生き返っていたのなら「シーズン2」は可能かもしれませんが、だとしたらまったく違った話になっていきそう。
▼「シーズン2」が待たれるのはこちらです!
それではまた。
のじれいか でした。