映画『きみがぼくを見つけた日』(The Time Traveler's Wife)
タイムトラベラーになってしまった青年と、幼い頃から彼を知る女性との深い愛が描かれる、切ないけれど心温まるSF映画です。
ロマンチックSFの本作品の好きなところ、ヒロインのジュエリー、ストーリーで残念に感じたところなどをネタバレありでご紹介します!
きみがぼくを見つけた日
※本記事の情報は2021年6月時点のものです。 最新の配信状況はサイトにてご確認ください。
作品情報
アメリカ 110分
監督:ロベルト・シュヴェンケ
キャスト:エリック・バナ、レイチェル・マクアダムス、アーリス・ハワード、ロン・リビングストン、スティーヴン・トボウスキー、ブルックリン・プルー
脚本は『ゴースト/ニューヨークの幻』『ディープ・インパクト』『ジェイコブス・ラダー』『デッドリー・フレンド』などを手がけたブルース・ジョエル・ルービンが担当
製作総指揮はブラッド・ピット!
▼ディープインパクトはこちらです!
ストーリー
図書館司書のヘンリー(エリック・バナ)は、6歳のクリスマスイヴの夜、母の運転する車で交通事故に遭い、自分では抑制できないタイムトラベラーになってしまう。
事故で母を亡くし、演奏者だった父は荒む。28歳の青年に成長したヘンリーは「移動体質」が影響して恋人のいない孤独な日々を送っていた。そんなヘンリーの前にクレア(レイチェル・マクアダムス)という20歳の女性が現れる。
ヘンリーはクレアを知らないが、クレアはヘンリーをよく知っている様子で、幼かったクレアの前にヘンリーが頻繁に現れていたことを説明。クレアはヘンリーが現れるところも消えていくところも目の当たりにしていた。
やがてヘンリーはクレアに心を許し、またクレアもヘンリーを深く受け入れる。二人は恋に落ちる。
「失いたくないものを持たないつもりでいた」一瞬先に消えてしまうかもしれないヘンリーは将来に対して消極的だったが、クレアと出会ったことで人生をみつめるようになる。
ヘンリーとクレアは困難を乗り越え結婚を決意するが、ヘンリーの体質は変わらず、自分の意思と反した「時間移動」は続くのだった。
ここが面白い! 移動するのは肉体だけ
ヘンリーは自分の気持ちとは関係なくタイムトラベルを繰り返しますが、空間を移動するのは体だけ。一糸まとわない真っ裸です。
どこに移動するかわからないけれど、移動後はとにかく服を探すことから始めなければならないという現実的な困難を抱えています。
ここが大変! ヘンリーに付き合う困難
どこに行くのかわからないヘンリーと付き合うのは大変。
目の前のヘンリーが、別の空間から移動してきたヘンリーかもしれないので、どの時間軸のヘンリーなのか、観ている方もわからなくなってしまいます。
実際、結婚してからヘンリーが消えてしまい2週間も戻らず、さすがのクレアも怒ってしまうのですが、機嫌を損ねたクレアにヘンリーは未来で知った500万ドルの当たりクジをプレゼント。それで夫婦は豪華な住まいを手にします。
悪いことばかりじゃない。いいこともあるということなのでしょう。
ここが切ない! 同じ時間を生きられない?(ネタバレあり)
「突然消える夫」
結婚してある程度年月が経過すると、クレアは「移動体質・夫」ヘンリーに対してストレスや不満を感じるようになります。同じ時間に生きているようでいてそうではない不安定な感覚がずっと続くので無理もない気がします。
クレアとしても本意ではないのでしょうが、あまりにも頻繁に消えてしまうこと、そして妊娠と流産が続き、それはもしかしてヘンリーの「移動体質」を受け継いでいるためではなど、あらゆる考えが浮かび、時には言葉で辛くあたってしまい、ヘンリーとクレアの仲は距離ができてしまいます。
ヘンリーは流産を繰り返すクレアを案じて自分が避妊手術を受ける。そんなクレアの元に手術前のヘンリーが現れて復縁、クレアは妊娠します。
クレアの妊娠がわかってすぐにヘンリーは、「移動」した先で、少女になった娘のアルバと出会います。
つまり娘は無事に生まれ、成長していたということです。
ここが好き! 登場人物が魅力的
「夫婦役もいいけど友だちもいい!」
誠実にただひたすらクレアを愛するヘンリーも、ヘンリーを受け止めるクレアも素敵ですが、二人を支える友人がいい。
クレアの友人・ゴメス(ロン・リビングストン)は、最初、ヘンリーの事情を知ってクレアの身を案じて「結婚は絶対やめろ」と言いますが、全てを受け止めてからは、何かと二人を支えます。いい味出してました。
ヘンリーの母(ミッション・ノルデン)も知的美人、落ち着いていてよかった。
それに娘のアルバも利発そうで安定感があっていい子に育っている雰囲気が出ていました。
自分の未来を知る切なさ(ネタバレあり)
クレアが妊娠中、タイムトラベルで成長した娘のアルバと言葉を交わしたヘンリーは、娘が無事に生まれて成長していることに深く安堵する。
そしてヘンリーはアルバから、アルバ自身もタイムトラベラーの血を受け継いでいること。しかも時代や行き来がコントロールできることを知ります。
また、アルバが5歳のとき、ヘンリーは亡くなっていることも聞いてしまうのです。
でも妊娠中のクレアの元に戻ったヘンリーはそのことを黙っている。ヘンリーの未来は以前、血塗れのヘンリーが自宅にいるのを目撃したこと、40歳半ば以降のヘンリーが現れないことで、クレアは不安がっていたからです。
どんなことも隠さず(隠しようがない)に打ち明け、それを受け止めていたクレアですが、だからこそヘンリーはクレアにそのことを打ち明けることができなかったのでしょう。
母の指輪をクレアに贈る・ブランドは?
「時間移動」をした先の電車内で、ヘンリーは亡き母と遭遇します。
ヘンリーは歌手だった母に「あなたの歌が好きです」と声をかけ、二人は言葉を交わす。
時代はヘンリーが3歳当時。母は幼い息子の話もする。ヘンリーは自分に好きな人ができたことをさりげなく報告。母はもちろん目の前の男が自分の息子とは気づかないけれどやがて何かを感じていた様子でもある。
クレアとの結婚を決意したヘンリーは、父に報告して母の指輪を贈りたいと言います。父は息子の体質を知っているので結婚に必ずしも賛成はできないのですが、それでも母の指輪を手渡します。
オーバルのダイアモンドを横置きにセッティングしたリング。優しい雰囲気が素敵ですよね。
ずっと気になっていたのでエンドロールを確認したのですが、どうやらブランドではないみたい。
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残念に感じたところ(ネタバレあり)
とにかく頻繁に時間移動を繰り返すヘンリーですが、だんだん現在の時間がどこなのかわからなくなります。
また「移動体質」になったのは6歳からなのに、少年時代のヘンリーは登場せず、28歳あたりから出てくるのが、よく考えれば不自然かも。クレアが少女の頃に会っているのも成人してからのヘンリーばかりなんですよね。
それとクレアがヘンリーから名前を聞き、時間移動について協力を仰げるのではと期待を寄せた「ケンドリック博士」は、ほとんど本編に影響を及ぼしません。博士の存在はあった方がいいと思いますが、ちょっと残念に感じました。
ラストはどうなるの?(ネタバレあり)
「時間移動」した先の動物園で、娘のアルバからヘンリーはアルバが5歳のときに亡くなったことを聞いていた。
また別の時に部屋で血を流して苦しむ自分の姿を目にしたヘンリーは、自分の死期を悟っていました。
別れはヘンリーの母が事故で亡くなったときと同じ、クリスマスの夜に訪れる。
友人たちや家族が自宅に集まるなか、自分の最期を察したヘンリーはクレアに別れを告げる。ヘンリーとクレアは抱き合い涙する。
気づけばヘンリーは雪林にいる。
林で狩猟をしていたクレアの父の発砲した銃弾が、ヘンリーに当たる。
撃たれてすぐにクリスマスの自宅に戻ったヘンリーは、腹部を撃たれており、やがて絶命するのだった。
しかしヘンリーは亡くなっても、過去の時間軸に存在するヘンリーが空間移動を続けている。そしてヘンリーはある日、自宅の裏山で遊ぶアルバの前に現れる。そこにクレアが駆け寄り、二人はほんの束の間の再会を果たすのだった。
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それではまた。
のじれいか でした。