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【映画】『イカとクジラ』タイトルが意味するものと、おかしな共感力

イカとクジラ


イカとクジラ (字幕版)

変なタイトルですが、別に漁業の話でもなければ、自然環境保護の話でもありません。

ノア・バームバック監督自身の体験を映画にしたもので、1980年代のニューヨークを舞台に、両親の離婚によって暮らしが分断されてしまう子供たちの姿を、コメディタッチに描いた作品です。

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イカとクジラ

 

 


作品情報

 

製作年度

2005年

上映時間

80分

監督・脚本

ノア・バームバック

キャスト

ジェフ・ダニエルズ、ローラー・リニー、ジェシー・アイゼンバーグオーウェン・クライン

その他

第71回NY批評家協会賞 脚本賞/LA批評家協会賞 脚本賞

 


4人家族が「3人×2」に。疲れる子供たち

 1986年のニューヨーク、ブルックリンで暮らすバーグマン家の4人は、父バーナード、母ジェーン、共に作家というインテリ一家。

バーナードはかつては売れっ子作家だったけれど、現在は落ちぶれてしまっている。
一方でジェーンは出版が決まるなど登り坂を迎えようとしているところ。

ある日、夫婦は以前から考えていた離婚を16歳のウォルトと12歳のフランクに切り出します。
作家として父を崇拝するウォルトは母に冷たく、フランクは母親にべったり。
離婚後は両親の家を公平に行き来する生活を送ることになり、多感な少年期の2人の心は揺れまどう。

バーナードは作家だけあって知性的な男性ですが、収入は十分とはいえず、家事能力だって高いとはいえない。かつての栄光にすがり、理屈っぽく批判的、プライドを捨てきることができません。
それを傍で見ているジェーンは、同業者としての目線もあってバーナードを受け止める余裕はなく、苛立ちから色々な男と浮気をしてしまう。
バーナードは浮気をしたジェーンを訴えることもできたのに、それをしなかったのはやはり愛情が残っているからなのでしょうが、復縁は無理な感じです。

 

離婚後の夫婦はどちらかが親権を取るのではなく、夫婦で持つことに。つまり2人の子供は父母の家を行ったり来たりすることに。
4人家族が3人×2になるので、子供たちはたまったものではありません。

しかも母の住む家は、元家族の家ですが、元夫の影を消したいのか模様替えされてしまっている。
父の住む家はブルックリンの安い地域の安い部屋、明らかにランクダウンしています。

両親の家を行ったり来たりしながらの日々、落ち着きがない暮らしをする子供たちですが、案の定、長男ウォルトは母と衝突して、さほど好きでもない女の子と好奇心から恋愛の真似事をしつつ、実は父の教子に恋をしたりと、心の拠り所を求めるようになっていきます。
一方で、まだ幼さの残る次男のフランクは、ストレスからおかしな行動をするように。

 

両親も息子たちに負担をかけていることは重々わかっているのですが、では息子たちが成人するまで夫婦関係を維持しよう、などという考えは彼らには更々なく、結果みんなで苦しみを分かち合うことになってしまう。すごく面倒臭い家族ですが、子供に対してもある意味平等だとは言えそうです。

 


イカとクジラ』タイトルが意味するもの

 

それは長男ウォルトの幼少期、博物館で見たイカとクジラが闘う巨大模型を見て母親に泣きついて恐怖した小さなトラウマでした。
大人になる前の少年がふと立ち止まった先に見えたのは、母との優しい思い出だったけれど、ウォルトの現実から遠く離れた過去のノスタルジーになっていました。

両親との思いを過去にしてしまうには、ウォルトはまだ若過ぎたかもしれませんが、 いつまでも親離れ子離れできない関係よりは、お互いのためになるのかもしれず、そう考えれば息子たちは逞しく生きてゆけるだろうなというのが素直な感想です。

 

さいごに

 

ノア・バームバック監督『イカとクジラ』について書いてきました。

誰でも少なかれ現実を受け入れ、過去を忘れながら生きていくもの。
このドラマで登場する家族は全員クセが強くて個性的。そして誰もが間違っているとか正しいという価値観で生きている人ではないところが魅力です。
気取っているのに妙に人間的なところもあり、不思議と共感できる話でした。


大家族で両親の離婚などとは縁遠く育った人からすれば、もしかすると共感できずに、退屈に感じるかもしれませんが、離れた家族のことを想いながら見るのもいい気がします。 

 

おすすめPOINT


ノア・バームバック監督作品、感情描写が巧み


・そんなに幸せとはいえない家族のリアルな日常が描かれて、大げさな感じやわざとらしさがない


・時間がコンパクト(80分)だらだらと無駄なシーンがない


・台詞が知的でセンスがいい 

 

それではまた。
のじれいか でした。