映画『インターンシップ』 。
仕事を失った二人の中年男が、未知のIT業界へ乗り込む
しかもGoogleのインターンシップに挑むというお話。
行き詰まっているときに見れば楽しめて、グーグル社員たちの日常も垣間見れたりもするコメディ映画です。
「何かを新しく始めたいけど自信がない」
「もう●歳だから無理」
そんなネガティブな感情に囚われたとき、ぜひ見てほしい映画『インターンシップ』をネタバレありでご紹介します。
感動して、泣いてしまいましたわ
インターンシップ
作品情報
製作年度 |
2013年 |
上映時間 |
115分 |
監督 |
ショーン・レヴィ |
キャスト |
ヴィンス・ヴォーン オーウェン・ウィルソン ローズ・バーン マックス・ミンゲラ ディラン・オブライエン ティヤ・シルガー ジョシュ・ブレナー トビット・ラファエル アーシフ・マンドヴィ |
予告
失業ですべてを失うオジサンは夢を諦めない
時計の卸の営業をしているビリー(ヴィンス・ヴォーン)とニック(オーウェン・ニルソン)は同僚であり親友、毎日楽しく働いていたのですが、ある日、自分たちの会社が営業終了したことを顧客から聞いて焦りまくる。
無職になって家を差し押さえられたビリー。仕方なくベット屋のセールスを始めるもうまくいかないニック。
そんなときビリーがグーグルのインターン面接の話を持ってくる。インターンになれればグーグルで働けるかもしれない、一緒に夢を追わないかと誘う。
「未来は待ってくれない」(ビリー)
「未来はやって来るもの」(ニック)
今の仕事を失いたくないとニックは考える。ここでの二人の遣り取りは、同じ人間の内面で起きる葛藤のように思えたり。
結局、ニックはビリーと一緒にグーグルのインターンシップに挑むことに。
意気込みは素晴らしいのですが、あまりにもITに疎く、勢いとトークだけで乗り切ろうとするも、オンライン面接では面接官は困惑しまくりです。
正直このあたりは見ていてかなりイタい。当然不合格……のはずが、なかのマネージャーのライル(ジョシュ・ブレナー)が、「グーグルは多様性を重んじるはずじゃ?」と思わず発言したため、状況は一変して採用が決まる。
いいですね。
このあたりの流れ。そして二人はカリフォルニアのグーグル本社へ、大勢の仲間たちと、インターンシップが始まります。
正規採用は全体の1パーセント
優秀な仲間に囲まれて、インターンシップが始まります。
「インターンシップ」は体験就労みたいなものですが、ここでは具格できれば正規採用されるというからさすがグーグルです。
ただし正規採用されるのはわずか1パーセント。
しかも大学を出た若い連中に囲まれて、年寄り扱いを受けるわ、セミナーでは田舎のオジサン感万歳で、NG発言を繰り返してしまう。このままではインターンシップ期間いられるかも危うい。
また、チームワークを大切にするグーグルでは、インターンシップの活動のためインターン同志で自由にチームをつくるのですが、当然二人は誰からも声をかけられずにあぶれます。
見かねたグーグルのマネージャー、ライルが助け船をだし、あぶれた連中で仲間をつくってくれる。(やさしさが切ない)
ライルが面倒を見ることになったチーム・ライルは総勢6名。あぶれた面子なので、よくいえば個性的、悪く言えばバラバラな印象。
チーム・ライルのメンバー 6名はこんな人たち
ライル:グーグルのマネージャー、4年目で7つのプロジェクトに参加している頼まれると断れない性格
ニック:夢を追いかける中年
ビリー:夢を追いかける中年
ヨーヨー:真面目で規則を重んじる、ストレスで眉毛を抜く癖がある
ネーハ:イケ女のコスプレイヤー、派手な外見だが実は遊んでいない
スチュワート:スマートフォンばかり見ている、ネット収集力に優れてるいるが、辛辣なところも
「チーム・ライル」の前途は多難
あぶれた仲間でライルが世話をする「チーム・ライル」でしたが、プログラムのバグ探しをすることに。
ビリーとニックは、「バグ(虫)はつまりハエだから、ザ・フライ」▷「ジェフ・ゴールドブラム」(俳優)と連想ゲームを始めてしまう。
二人とも映画好きなのね(80年代ものばかり見てる)
どんどん連想を発展させますが、コード探しをしているチームの仲間からは、当たり前だけど邪魔扱い。
とにかく二人を片付けたいメンバーは、二人を追い払いたい。ビリーとニックはプログラマーはここにいる誰かで人間なのだと一理あるような、まったくの妄想のようなことを口にし続ける。
メンバーは「プログラマーを探してくれば?」と「プログラマーは遺伝学の大学の教授のはず」とていよく追い払われますが、その後、バグのチャレンジはほかのチームが見つけ出し、チーム・ライルのチームワークは最悪な雰囲気、ダダ下りになります。
クィディッチでの勝負で絆が深まる
プログラムのバグ探しの次は、クイディッチでの勝負が待っています。
クイディッチとは『ハリーポッター』で出てくる魔法界のゲーム。ホウキを手してゴールにボールを入れるもの。2005年に正式なゲームになっているそうです。
ハリポッターも懐かしいっス
3つの輪にボールを入れた方が勝ちという単純なルール。
結局、ゲームには破れてしまうのですが、これでチームワークが築かれます。
ビリーがメンバーに語ったのは、なぜか、映画『フラッシュダンス』のワンシーン。
「勝利を得るにはマニアックさも大切」
知らない人はきっと意味不明だと思う。知っていても意味不明。納得しているのはニックだけ、ほかは全員ぽっかーんです。
『マニアック』は映画『フラッシュダンス』の挿入歌。マイケル・センベロって名前がキテる
映画『フラッシュダンス』は尊敬するエイドリアン・ライン監督の作品。光と影の捉え方が素晴らしい!
そんなジェネレーションギャップはあれど、若いメンバーたちは、時折、ビリーとニックの言葉に耳を傾けるように。
また、ビリーとニックの中年世代は、今の若い連中は一流大学を卒業した優秀な人材であっても、仕事に就くのは簡単ではない現実も理解する。心がないわけではない、それだけ大変な思いをしてきたのだとわかる二人。そして彼らは互いの個性に気づくようになる。
絆が深まったチーム・ライルは、夜の街に繰り出して大暴れ、いい思い出をつくります。翌日にはチーム・ライルがつくったプログラムのダウンロードがトップの数字を出すなどだんだん波にのってくる。
ITの知識が皆無だったニックは、メキメキと知識を深めていき、ビリーも頑張っていきく。でもそこでゴールと簡単にはいかないのがこのお話。
チームワークの責任を痛感する
みんなとも仲良くなり、徐々によい成果をあげていくチーム・ライル。
ニックはCSSやHTMLに詳しくなり、ビリーも遅ればせながら健闘する。もともと人柄もよい二人なので、周囲からもだんだん親しまれていくようになります。
ニックはグーグルで働く、ダナ(ローズ・バーン)と打ち解け、デートを楽しみ、ビリーは夜遅くまで勉強。そんなビリーはグーグルの孤独な男、アンダーソン(ジョシュ・ギャレット)から「知らないことは学べばできること、君はみんなから好かれている、それは稀に見る才能」と言われる。
本当にそうかもしれない。この話のテーマは、優秀な人材でなければ知識は得られないわけではない。人を愛せる能力があれば、努力で知識は得られるということ。
ただしそう簡単に話は終わりません。
コールセンターの試験で開始ボタンを押し忘れたビリーは、ログを残さないで試験を受けてしまいます。そのことでチームが失格扱いに。
ビリーの気持ちが浮ついたのは、ライバルのグレアム(マックス・ミンゲラ)から、「お前はきっといつか失敗する」とネガティブな暗示をかけられていたことも影響している。
責任を感じたビリーは自分がチームの足を引っ張ってしまった、優秀なみんなを巻き添いにしてしまってと頭を下げる。ここは思わず泣いてしまいました。
チームで動くことの責任を痛感。
結局ビリーは、IDカードを外して地元に帰ってしまいます。
それでいいのか。いい訳がないっス。
「なぜか80年代の話が出てきて、教訓もめちゃくちゃだが団集心を教わった」
そんなメンバーの言葉に後押しされて、ニックはビリーを迎えに行くのでした。
インターンシップの最終日(ネタバレあり)
広告掲載を取ることになり、ビリー不在で、ニックもビリーを迎えに行ってしまったのでチーム・ライルは苦戦を強いられます。
ニックの説得で戻ったビリーは、ピザ店でトーク力を炸裂。
人気のピザ店の店主は、変化を恐れて現状維持でいたのが、変化が怖い気持ちはわかるが、地元の人気が高まる今後を想定して前を向こうとのビリーの言葉に、広告を出すことを決意します。
実はグーグルサーチの責任者だったアンダーソンから、チーム・ライルこそグーグルネスの持ち主だと絶賛され、チームは正規の採用が決まります。
逆にライバルのグレアムは悪意が露呈、みんなから嫌われ、当然、採用もされませんでした。
さいごに・共感できる部分多し
成功を手にできたチーム・ライルのメンバーたちでしたが、現実がそんなに簡単じゃないことくらいわかります。
全編を通じてグーグルが大切にする考え方が登場しますが、ここで言っていることはすごく正しいと思える。知識は学べばついてくるが、人間性はそう簡単にどうにかできるものではない。チームを大切に、人と情報を繋げること。ほんとに真実だと思う。
とはいえ、むちゃくちゃ優秀な面子が揃うグーグルへの入社が安易とできるわけがない。いい夢を見させてくれてありがとう、そんな映画でもあります。
もちろん人間性が豊かだとしても、何もしなくてオッケーなわけじゃない。何をするにしろ、明さと前向きな考え、仲間を大切にする心、それに積み重ねは欠かせないのよってことでもありました。
映画としてはコメディだし、結局は採用されて終わるんだよね、という白けた見方もできるのですが、そこに至るプロセスは、笑いを取りつつも考えていたより丁寧。映画として見ごたえがありました。
おすすめ!
1980年代映画を知らないと意味不明なところが出てきそうですけどね。
▼『フラッシュダンス』みたいな、1980年代映画といえばこちらも名作です
それではまた。
のじれいか でした。