映画『タクシードライバー 奔放な女』はドイツの映画。面倒臭い人間関係から逃れてタクシー運転手として働く女の話。
相当好き嫌いの別れる作品という印象。
ミニシアターで上演されるヨーロッパ映画好きな方には、オススメできる映画かも。
タクシードライバー 奔放な女
作品情報
タクシー運転手の映画は色々あるけれど
ドイツハンブルク。
若く美人なアレックス(ロザリー・トーマス)は、保険会社で働いていたが辞めてしまい、気軽なタクシードライバーへと転職する。
アレックスは賢い女性ですが、細かいことが苦手で、言いたいことをあっさり口にする性格なこともあり、一期一会のタクシー運転手の仕事を選んだ様子。
その性格をアレックス自身は「人間関係が苦手」と称している。
アレックスは同じタクシー運転手で芸術家の男、ディートリヒ(スタィぺ・エルツェッグ)と恋人関係になるが、実はアレックスは彼を愛していない。愛していないから付き合えている。
彼女は二十代でまだ若いのに、恋愛に嵌った怖い経験があるのでしょうね。深入りしてしまうとヤバいことになると、自ら予防線を張っている様子。
タクシー運転手を主人公にした映画はたくさんありますが、多くは刹那的で流れるように生きることを選んだ主人公たち。こちらの作品もその点では同じでした。
奔放ではなく正しくはツンデレ女子
男に命令されず自由に生きたいアレックスでしたが、タクシーの客で乗せたマーク(ピーター・ディンクレイジ)に強く惹かれる。アレックスと彼は以前会ったことがあり初対面ではない。アレックスは彼が車内におき忘れた財布を届けるのを口実に部屋に入り、関係を持つようになります。
マークを演じるピーター・ディンクレイジは、『ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛』でトランプキンを演じた俳優。『ゲームオブスローンズ』にも出演している人。彼を主人公にしたドキュメンタリ映画もあったはず。
🏆現在発表中の✨第70回 #エミー賞✨ドラマ部門の助演男優賞に「#ゲームオブスローンズ」に出演している😆ピーター・ディンクレイジが受賞しました👏おめでとうございます👍#Emmys #Emmys2018 pic.twitter.com/mkomuL1oj3
— ワーナー海外ドラマシリーズ (@WBTV_JP) September 18, 2018
アレックスの自由で奔放な感情はマークに対する気持ちに表れている。他人の価値観に囚われていないことが伝わってきます。
マークは株で儲けていてお金持ち、それに芸術家気取りのディートリヒみたいに面倒臭い奴ではないので、彼に惹かれる気持ちもわかる。
だけどアレックスはマークに自分の欲求を訴えながらも心を隠してしまうので、マークを混乱させてしまいます。
普通にツンデレで自己表現が下手な女性。過去の傷が忘れられないことも関係しているみたいですが。
時代を考えれば納得できそう
この作品の時代設定は1986年で、ドイツは東西統一がされていなかった頃の話。当時のドイツを想像すると、主人公のアレックスがタクシー運転手の仕事を選んだことや、奔放に生きようとしたことの背景が見えてくる気がします。
性別に囚われるのが嫌だった主人公のアレックスは、男女を問わないタクシー運転手の仕事を選ぶ一方、性に自由でありたいと奔放な関係を繰り返す……という映画なのでしょうけれど、そこまで奔放ではない(と思う)し、結果的に愛を手に入れるので、タイトルは当時の感覚で捉えたものと考えれば納得できる気もします。
ディートリヒや彼の友人たちみたいに、フェミニズムの持論をだらだら語る男なんてウザイだけですが、当時はこんな奴がヨーロッパにもゴロゴロしていたのでしょう。
「これからはコンピュータの時代だ、これで一攫千金」と乗客が話していて、ドイツ(西ドイツ)も当時はITバブルに備えていたんだろーなー想像するのも楽しかったですね。
映像や音楽はおしゃれ
アレックスは夜の街を流すので、風景や音楽なんかもいい感じです。あと夜の街っていうとバイオレンスな匂いがしますが、スリリングな場面はありません。念のため。
こちらは案外バイオレンスでした
それではまた。
のじれいか でした。