映画『ミッション:8ミニッツ』
列車の爆発事件して、その犯人を突き止めるため、8分後に爆発する列車に繰り返し転送される、気の毒なお話です。
『月に囚われた男』のダンカン・ジョーンズ監督作品。
タイムリープ映画のようで、実はちょっと違う。普通のタイムリープ映画とは何が違うのか、また観ていて感じたことについて書いていきます。
ミッション:8ミニッツ
作品情報
製作年度 |
2011年 |
上映時間 |
93分 |
監督 |
ダンカン・ジョーンズ |
キャスト |
コルター・スティーヴンス(ジェイク・ギレンホール)
コリーン・グッドウィン(ヴェラ・ファーミガ)
ラトリッジ博士(ジェフリー・ライト)
デレク(マイケル・アーデン) |
予告
8分後に爆発する電車に繰り返し乗る男
男はシカゴへ向かう列車内で目覚める。どうしてこんな場所にいるのか理解できない男の名前は、コルター・スティーヴンス大尉(ジェイク・ギレンホール)。
電車の向かいに座っているクリスティーナ(ミッシェル・モナハン)が、知り合いらしく「ショーン」と話しかけてくるが、スティーヴンスは知らない女。しかも鏡に写った自分の顔は、自分ではない別人だった。
やがて電車は爆発してしまう。
スティーヴンスはシェルターの中で目を覚ます。そこは軍の基地で、モニターごしから話しかけるのは、グッドウィン大尉(ヴェラ・ファーミガ)。自分はヘリコプターに乗っていたと記憶するスティーヴンスは、自分の部隊が気になって仕方ない。
だがグッドウィンは、ただシカゴ行きの列車が爆発されたこと、その犯人を突き止めるようにという指示を出すばかり。
仕方なくスティーヴンスは車内に隠されている爆弾を探したり、クリスティーナだけでも途中下車をして救出したりと、8分間でできることを試みる。
何度繰り返しても電車は8分後には爆発。だんだんおかしい(最初からおかしいけど)と感じるようになったスティーヴンスは、事件そのものや、乗客全員が命を落とした現実は変えようがないのだと知らされます。
同じ場面が繰り返されるのは『オール・ユー・ニード・イズ・キル』に似た話ではあるのですが、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』はちょっとゲーム感覚なところがありましたが、これは違う。
それに、やはりこの映画はタイムリープではないんですよね。そして複雑な話でもありません。
「ここに来て2ヶ月」が指す意味・ネタバレあり
電車爆発を繰り返すうちに、スティーヴンスは疲弊していき、グッドウィンに説明を求める。そしてスティーヴンスは衝撃の現実を聞かされる。
スティーヴンスは ラトレッジ博士(ジェフリー・ライト)の研究「包囲された城計画」に選ばれたことがわかります。
<包囲された城計画とは>
らトレッジ博士は人間の死後の脳について説明します
・脳の活動は死後も一定の時間、活動をしている
・また脳は死後も一定時間の活動状態が保存される
・その時間は8分間
<包囲された城計画>とは、この脳の神経回路の活動と記録と一体化したプログラムでのこと。過去ではなく未来を変えるためだけに存在しています。つまりそこで誰かを助けたとしても、既に亡くなっている人は助けようがない。
スティーヴンスが経験していることは、現実ではないので、タイムトラベルやタイムリープではないのです。
また、事故で亡くなったショーンとスティーブンスは、性格や体格などが近かったため、プログラムのなかで転送しただけ。たとえ転送されても、乗客からはスティーヴンスはショーンに見えています。
やがてスティーヴンスは、自分をショーンと思っているクリスティーナに、友人のスティーヴンスの行方を探していると持ちかけたところ、アフガンで2ヶ月前に亡くなっていることがわかる。
つまり自分は2ヶ月前に亡くなっていたのでした。
現実にはスティーブンス大尉の肉体は死んでいて、脳の機能の一部分だけでプログラムの活動をしていた。
グッドウィンが生存者の救出に意味はないと言っていたのは、そういうことでした。
既に発生している事故の現実を変えられないのも理屈でわかる。そこに似た人がいて転送された意味も察しがつきました。でもスティーヴンスが亡くなっていたというのは、薄々予想できましたが、少し気の毒に思えました。
ラトレッジ博士は、この研究がうまくいけば、犯罪抑制に大いに役立つと考えている。でも転送される脳の持ち主は、既に死んでいるのだから、働く意味なんてない。国への奉仕です。「やりたがっている者は多い」と博士は言っていましたが、何度も爆発されるような過酷なことを繰り返しやりたがる人がそんなにいるのでしょうか。疑わしい気がします。
ラストに疑問・ネタバレあり
いろいろとわかってきてつらいスティーヴンスですが、犯人が下車したときに、わざと残した身分証明によって、犯人が何者かわかる。
現実で警察が動き、第2の爆発を防ぐことができたことで、スティーヴンスは役目を果たしたのだから、自分の生命維持装置を切って、再度、爆発する列車に転送してほしいと頼むのでした。
グッドウィンによって再び転送されたスティーヴンスは、今度は犯人を捕まえて、列車を爆発させることなく、無事に列車をシカゴに到着させる。クリスティーナとスティーヴンスは、仲良くシカゴの街を歩きますが、スティーヴンスはやがてショーンに戻っていて、スティーブンスは消滅する。
現実の世の中でも、プログラムのはずなのに、スティーヴンスが犯人を確保したことで、列車の爆発事件自体が起こらなかったことになっている。スティーヴンスが列車内でグッドウインにメールを送り、グッドウィンだけがスティーヴンスの行動によるものだと理解していた。
爆発を止めてメールを送ったスティーヴンスは、軍のカプレセルで眠っている。現実が変わったというより、ラストはパラレルワールドでした。
キャストについて
8分という短い時間で何ができるのかということから、日常の何気ない時間を大切にすることについて考えさせられるよい話だと思います。
ただキャストについては、これはまったくの個人的趣味ですが、ジェイク・ギレンホールって『ナイトクローラー』の印象が強すぎて、もうどうにもこうにもあそこから脱出できない。
相手役のクリスティーナを演じた、ミッシェル・モナハンは1974年生まれ。クリスティーナは28歳の役(と出てくる)ちょっと無理があるんじゃないかなと、アップになるたびに思ってしまいました。『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』のときはカッコ良かったので、このクリスティーナの役ってピチピチ女子のイメージで、ミッシェル・モナハンみたいな大人女優には、ちょっとしっくりこなかったように思えます。
▼好きなタイムリープはこちらに。
それではまた。
のじれいかでした。