キレイなトイレ調査研究所

外出先で使えるキレイで安心トイレの調査をやってるブログ。おすすめ商品や心の保ち方、映画レビューなどを書いてます。

【映画】『空に住む』タワマンにひとり暮らす多部未華子【ネタバレ・感想】

両親を突然亡くした28歳の独女が、タワマン暮らしを始めて、新しい日常と出会いを経て新しい自分と出会う。

タワーマンションは憧れの住居でありながら、どこか不安定なイメージもつきまとう。独特な閉塞感と疎外感のある空間でもあります。

一人になっても泣けない、だけど悲しさや虚しさに包まれている、そんな主人公の心理が繊細に描かれます。


主演は多部未華子、岩田剛典。寂しさを感じていたり、人間関係に悩む人に、おすすめしたい映画です。

ストーリーのご紹介、好きだったところ残念に感じたところを書きます。よろしければ、お付き合いください。

 

 
現在(2021年5月)アマゾンプライムで配信されています!


Amazonプライム・ビデオ

 

空に住む

f:id:noji_rei:20210514170500j:plain

※本記事の情報は2021年5月時点のものです。 最新の配信状況はサイトにてご確認ください。 

作品情報

2020年 118分

監督:青山真治
キャスト:多部未華子、岩田剛典、岸井ゆきの、三村里江、鶴見慎吾、大森南朋、柄本明、永瀬正敏、岩下尚史

 

予告

www.youtube.com

 

ストーリー

 小早川直実(多部未華子)は、両親を交通事故で亡くして49日を終え、叔父の小早川雅弘(鶴見慎吾)が投資用に所有するタワーマンションの一室に越してくる。


同じマンションの41階には、雅弘と妻である叔母の明日子(美村里江)が暮らしていて、直実をそばに置くのは、子供のいない雅弘夫婦の希望によるもの。


両親の位牌と黒猫を連れて越してきた直実の仕事は、弱小出版社の文芸部編集者。重い心と体を誤魔化すように仕事を開始させる直実だが、なかなか心がついていかない。

ある日、直実はマンションのエレベーターで俳優の時戸森則(岩田剛典)と出会う。時戸も同じマンションの住民で、たびたび顔を合わせるようになった二人は…。

 

好きなところ・感情が出せない主人公(ネタバレあり) 

 

f:id:noji_rei:20210514175138j:plain

 

冒頭から、転居したばかりの直実の部屋から始まるので、それまでの暮らしは台詞の中だけ。部屋は引っ越したばかりとはいえ、家具や調度品は叔父の雅弘によって完璧に揃えれており申し分のない暮らしです。


叔父夫婦は善意の人ではあるけれど、姪が心配という名目で自分たちの寂しさを誤魔化すために直実を呼び寄せたことは薄々感じられます。

直実と両親はあまり密接な親子関係ではなかった。父は仕事人間、母は父ばかりに目を向け、自分には無関心だったと話します。直実は冷静な性格で、一見ほわっとしていますが、本当はとても強い人。誰かに頼りながら生きてきた女性ではない。

そんな直実は、両親の葬儀で涙しなかった自分を最低だと感じている。悲しかったかどうかもよくわからないとも。

まだ49日だから実感が湧かないのもある。自分の身に起きた出来事が本当なのかもよくわからないのかもしれない。

でもあるとき直実は、時戸から感情と外側が一致していない」指摘される。 


役者の時戸は「芝居」という「嘘の世界」の住民。その立場から時戸は言います。

「芝居は嘘の中に、いかに本当を作るかということ。でも直実ちゃんはその逆。本当のことがわかっているのに嘘を吐いているように見える」と。


悲しいけれど泣かなかった。というか泣けなかった自分を、きっと直実は時戸の言葉にあて嵌めたのでしょうね。男女の心理的なやりとりがある場面があるところは好きですね。

好きなところ・難あり女たちの存在感(ネタバレあり)

直実の性格はふわっとしているように見えて本当は強い人。彼女の周囲には、逆の性格の女が集まります。 

・叔母の明日子

叔父の雅弘は不動産投資以外にも働いている様子で、昼間は叔母の明日子はひとり。元CAで当時はブイブイいわせて遊んでいたらしいのですが、今は何もない自分に気づき呆然としている。

仕事に戻る熱意はなく、子供が欲しいと話していますが、そこまで本気で望んでいるとは思えず、ワインをがぶ飲みしては姪の部屋を勝手に訪れて過干渉します。

直実と時戸森則はやがて深い関係になっていくのですが、時戸が部屋を訪ねているときにインターフォンを鳴らし、出なければ合鍵で部屋に入ってくる。なかなか濃いキャラで一歩間違えればホラーかも。


・後輩の木下愛子

岸井ゆき演じる、出版社の直実の後輩、木下愛子もかなりキテます。木下は妊娠しており、婚約者と結婚式を間近に控えている身。でも子供の父親は婚約者ではなく、直実たちが勤務する出版社で賞を受賞した作家の吉田理(大森南朋)

妻子がいる吉田との結婚は無理だと判断した木下愛子は、婚約者の子供と偽って妊娠時期をずらし結婚→出産を強行しようと目論む。何やらレディコミにありそうな展開です。

個人的に興味深かったのは、木下愛子の秘密を知る直実が、愛子の選択を尊重しているところ。多くの女性は「夫くんがカワイソ〜」と言い出しそうですが、直実は「私は愛子の味方だよ」と真実を受け入れるのはすごいと思いました。

それも甘ったれた一時の感傷から口にしたのではなく、愛子がこれから一生背負う十字架を重々理解してのこと。逆にそのくらい覚悟してるんだろうなー、だったら味方するってことです。


最低な人間だっていいじゃないか、という考え方。強いですね。

 

好きなところ・恋の終わらせ方(ネタバレあり)


同じマンションの住民同士から始まった直実と時戸森則の関係。

時戸はわりと最初から、愛や恋、人間関係の面倒臭さを直実に説いていて、その気持ちは親の葬式で泣けなかった直実自身にも通じるところがある。

人間関係は始まってしまえば遠ざかることもあっても、相手の存在はずっと覚えているし、離れられないものだと時戸は感じている。透かしているようで案外真面目だなという印象ですね。

時戸に惹かれながらも、時戸に何も押し付けてこない直実という女性は、時戸からすれば気を使わずに済む相手だったのでしょう。直実の方は、もちろん時戸に惹かれていた。だから時戸に他の女性との関係を報道されたり、マンションで見かけたと聞けば、それは堪えてしまうし、苦しみもする。

けれど最終的には、直実は時戸との関係を、時戸の本心を語る本を出版することで清算させようとします。

そして直実は編集者として完全に復活し、前を向いて歩き出すことができそうという流れですかね。

 

好きなところ・愛猫の死(ネタバレあり)


直実がタワマンに引っ越してきたときには、ハルという黒猫と一緒でした。15年間一緒の猫のハルは、唯一過去の直実を引き受ける存在だった。猫は直実の思い出そのものでした。

でもあるときハルが突然体調を崩し、闘病の末に死んでしまう。

直実はこれまでの時間を失ったような深い絶望を感じ、自暴自棄になる。

ハルをペットの埋葬業者(永瀬正敏)に依頼して荼毘に伏すのですが、そのときに永瀬正敏演じるペット業者の言葉がいい。

地上にいるときは平行線で決して交わらない互いの存在が、亡くなって星になり、宇宙をいくといつか交わる…そんな話をします。

その話を聞いた直実は、初めて少しだけ涙する。

この作品の主演が多部未華子で本当によかった。一歩間違えたら軽薄な映画になってしまった気がする。さすがの多部未華子です。素晴らしい。

 

noji-rei.hatenablog.com

noji-rei.hatenablog.com

 

残念なところ(ネタバレあり)

 

ホテル住まいみたいに地に足が着いていない雰囲気を出したかったのでしょうが、マンションの室内で全員が靴を履いていて、ちょっと芝居かかり過ぎな気がしました。

時戸の本を出すため、インタビューをする直実ですが、あんなに簡単に終わったら本は出版できないじゃんと。時間の経過があまりなくあっさり感がありすぎです。

また物語の後半の展開が強引な感じも。バラバラに繋げた印象が残りました。それとエンディングテーマがEXILEというのも…。

一番がっかりしたのはラストの展開ですね。おそらく直実はタワマンを出て一人でやり直すのだろうと予想したところそうではなかった。

結論をいえば直実はタワマンは出ません。まだ地に足が着いていないのか。それとも地に足の着かない暮らしが気に入ったということでしょうかね。

 

▼高層マンションが登場する映画はこちらにもあります!

noji-rei.hatenablog.com

 

 

それではまた。
のじれいか でした。