こんにちは。 のじれいか(@noji_rei)です。
映画『さくら』は、西加奈子による小説の映画化。
外からは見えない家族の無秩序で理不尽な関係性を、兄弟の愛として描いた物語です。
兄弟を演じたのは、北村匠海、吉沢亮、小松菜奈、と超豪華。
ストーリーについて、感想をネタバレありで書きます。
よろしければ、お付き合いください!
【映画】『さくら』
作品情報
監督:矢崎仁司
原作:西加奈子
2020年 119分
<キャスト>
・長谷川薫(北村匠海)
・長谷川美貴(小松菜奈)
・長谷川一(吉沢亮)
・長谷川つぼみ(寺島しのぶ)
・長谷川昭夫(永瀬正敏)
・溝口先史(加藤雅也)
・大友カオル(小林由依)
・須々木原環(山谷花純)
ストーリー
長谷川家の三兄弟の次男・長谷川薫は、大学に通うため実家を出ていたが、家を出ていた父・昭夫から「久しぶりに帰宅する」という手紙が届き、久しぶりに帰宅する。
実家では、母のつぼみ、妹の美貴が、愛犬さくらと一緒に、薫の帰りを待っていた。
父も交えて食卓を囲むうち、薫は2年前に亡くなった長男の一がいたときのことを思い出していた。
好きなところ
キャストがすごい(長谷川家の関係性)
主人公は、北村匠海演じる次男の薫で、ほぼ薫の視線から物語は語られていきます。
北村匠海、吉沢亮、小松菜奈の兄弟役というのがすごい。
この三人が育った長谷川家が、どういったものかについて触れておきます。
父はトラックの無線係、配車を担当しています。
母は明るく能天気ところがある女性で夫を大変愛していますし、子供たちも愛情深く接しています。
この両親から生まれた3兄弟が、
長男・一(吉沢亮)
次男・薫(北村匠海)
長女・美貴(小松菜奈)
でした。
長男・一は、容姿端麗で頭脳明晰。兄弟の先頭に立って、弟と妹を守ってくれるような頼もしい存在です。
長女・美貴は、夫婦待望の女の子だったこともあり、甘やかされて、わがままで頑固に育ちました。自分の価値観を疑うことを知らず、欲望に忠実、それによって他人が被ることになるかもしれないといった想像力に欠ける鈍感さがあります。
次男・薫はやはり優秀で、兄一を心から尊敬しています。兄には何でも話すし一緒にお風呂にも入ったりするような仲の良さがあります。両親も妹も愛してはいるけれど、どこか傍観している立場でもあります。
原作に忠実(ネタバレあり)
とくに邦画はここ数年オリジナルの作品が少なく、原作の映像化が大変多い気がします。理由としては、既に発表されている作品の方が映画化したときの収益が想像しやすい事情や、企画が通りやすいといった事情があるようです。
『さくら』も西加奈子の小説ですが、オリジナルに大変忠実な印象です。
ただビジュアル化してみると、兄一は圧倒的な存在で、それは吉沢亮で間違っているというわけではないのですが、弟役が北村匠海だと美しい二人になってしまい、小説の印象とはやや違う気がしました。
他人には見えない家族の歪み(ネタバレあり)
長谷川家は一見すると、少し変わっているけれど仲の良い円満な家族に見えるのでしょう。
確かに家族仲はよく、幸せそうではあるのですが、長女で三子の美貴は、兄一を異性として愛するようになってしまう。
やがて、一にも恋人ができますが、美貴はそのことが面白くない。そこまでだったら普通にもある話かもしれません。でもここで美貴は兄の恋路の邪魔をして、結果的に一を徹底的に不幸に追い込むことになります。
それは絶対に許されることではなく、一歩外を出たら絶対にタブーなことですが、家族がそれを隠してしまう。
結果的に長男の一は亡くなってしまうので、母は娘に対して鈍感力をもって守ろうとするし、何もかも知っている父は一緒に暮らすことができずに逃げてしまいますが、それによって娘を守ることを選択します。
これが好きなところかと言えば、決してそうではないのですが、外からは見えない家族の歪みや理不尽さがよく出ています。
残念に感じたところ
何も変えるつもりがない(ネタバレあり)
娘は身勝手で自分の満足のためなら他人はどうなっても仕方ないという性格。なので兄の恋人の存在に焦れている。
けれど兄の恋には困難が待ち受けていました。彼女のカオルが、家の事情で遠方に転居して簡単には会えなくなってしまったのです。
そして離れ離れになった二人は、手紙と電話で繋がろうとしますが、その手紙を黙って隠し続けたのが美貴でした。
やがてカオルからの連絡がないことに焦れた一は、精神的に不安定になって、夜出かけた先で交通事故に巻き込まれ、顔半分の神経と、下半身の神経を失います。
一は大学に入学して家を出ていたけれど、一人では暮らせない身体になったために家に戻り、美貴は兄と一緒にいるため進学も就職もしないことを選択します。
ただ、妹の美貴からすれば喜ばしいことであっても、兄にとってはあり得ない災難でそしかなく、突然の不幸に立ち向かう気力を失い、生きる意味を失った兄は命を絶ってしまいました。
それでも家族は、美貴を守ります。さすがにすべてを知らされた薫は妹に手を上げますが、起きてしまったことは起きてしまったこととして受け止めているとことがある。
ラストで美貴は少しは反省したかもしれないけれど、
誰も何も変わらないだろうし、何も変えるつもりもないのがわかります。
家族という閉鎖された関係だからこその、馴れ馴れしさや無秩序さが出ているのですが、誰もが一度は見ておきたい家族愛の作品かといえば、正直違いますね。
さくらは犬の名前
さくらは妹がつけた犬の名前です。
かわいくて爽やかでほんわか温かい、そんなストーリーを期待してしまいがちなタイトルではありますが、全然そうではありません。
▼北村匠海、吉沢亮の出演作品だこちらにもあります!
それではまた。のじれいか でした。