映画『リメンバー・ミー』。
兄を亡くした悲しみから立ち上がれず苦しみもがく青年が、母を亡くした女と恋におちる話。
『トワイライト』でおなじみ、最近では『TENET』にも出演した、ロバート・パディントンが、主人公のニューヨークに住む大学生を演じています。
恋愛映画なのか、それとも家族愛を描いた作品なのか。
映画『リメンバー・ミー』を、ネタバレありで書いていきます。
リメンバー・ミー
作品情報
製作年度 |
2010年 |
上映時間 |
113分 |
監督 |
アレン・コールター |
キャスト |
タイラー・ホーキンス(ロバート・パディントン)
アリー・グレイグ(エミリー・デ・レイヴィン)
グレイグ警部(クリス・クーパー)
キャロライン・ホーキンス(ルビージェリンズ) |
予告
恋愛というより、家族復活の物語のようにも
2001年のニューヨーク
大学生の聴講生、タイラー(ロバート・パディントン)は兄を亡くして悲しみから立ち直れず、暗く虚無の日々を過ごしている。
タイラーは、繊細な性格なからか学校でイジメを受ける小学生の妹、キャロライン(ルビー・ジェリンズ)を心から愛しているが、弁護士として成功している父(ピアース・ブロスナン)に対しては、強い反感を抱いている。
ある夜、タイラーはルームメイトのエイダン(テイト・エリントン)と、夜の街で起きた喧嘩を止めて警察に捕まってしまう。
真相を知ったクレイグ警部(クリス・クーパー)は、タイラーたちを釈放しようとするが、タイラーが警部に食ってかかったことで逮捕されて投獄。
クレイブ警部の娘アリー(エミリー・デ・レイヴィン)が同じ大学にいると知ったエイダンは、テイラーにアリーとの接触するよう勧め、タイラーはアリーに接近。心を通わせるようになります。
やがて、アリーはパーティーで泥酔して外泊。娘を心配する父のクレイブ警部と喧嘩になって家を出て、タイラーの家で一緒に暮らすように。
タイラーとアリーは恋人になります。
タイラーは兄を自死で失っている。音楽を目指した兄を、父が強引に自分の仕事の後継にさせようとしたことが原因だと、タイラーは思っている。
傷を抱える者同士だから愛し合えるわけではありませんが、もともと惹かれ合っていた二人。
アリーも子どもの頃、暴漢に襲われて母を亡くした過去があり、心を通わせるようになるのは自然な流れではあります。
タイラーと父の関係は??
タイラーは父親に対して憎悪に似た感情を抱いている。父もタイラーも兄の死から立ち直れていないのがわかります。
父親は決して子供を蔑ろにしているわけではないのですが、わかりやすいコミュニケーションが苦手。
キャロラインより仕事を優先させた父をタイラーは許さず、父と息子は激しく口論になってしまいます。
なんだろう。タイラーは若く、幼い妹もいるから、家族に対して複雑な感情を抱えているのはわかるのですが、22歳の誕生日を迎えながらあまりにも人生に投げやり。もう少し自分の人生を考えるようにした方がいい気がしました。
あと、ときどき流れる音楽が好きです。なぜか1970年代ポップスが緩く流れ、感情的な登場人物たちを宥めているようにも感じられます。
別離を経て復活する二人・父親とも修復の兆し
タイラーは両親は離婚してそれぞれ再婚していますが、父は弁護士、母は大学教授というお坊ちゃま。
一方のキャロラインは、母を亡くした警官の娘。遊ばれているに違いないと勝手に想像を膨らませたキャロラインの父が、娘を案じてタイラーの元を訪ね、その流れでキャロラインは、タイラーが自分の父から逮捕されたことがあることを知ってしまいます。
キャロラインは怒って部屋を出てしまうのですが、ルームメイトのエイダンや、タイラーの妹のキャロラインによって復縁し、愛は深まります。
タイラーと父の関係は、 キャロラインが酷いイジメにあってしまったことで、父が立ち上がり弁護士としての才覚をやっと発揮させたことで、なんとなくいい感じに修復の兆し。
なのですが……。
家族愛でもなく、恋愛でもなかった・ネタバレ
ここまで、さらーっと、出来事を書いてしまったのですが、オチがとんでもないです。
この話は、感動できれば、ラストに大泣きする。
でもそうではない人だって、もちろんいる。
私は後者だったんですよね。
ただ人生は予想だにしなかったことが起こるもので、そのことを描きたい映画であったことはよく伝わりました。
この話は、主人公が兄を亡くし、ヒロインが母を亡くしているように、人生はままならないことがあるということを前段で伝えている。
そこから立ち直る話のようでいながら、後半になって、立ち直るはずの本人が、あることに巻き込まれて話は終わります。
気をつけていれば避けられていたかもしれないこと。
気をつけていても避けようがなかったこと。
そもそも危険を感じるはずのない状況であっても、突然の事態が降りかかることだってある。
この映画は人生の理不尽さを描いたもの。
生かされていれば、それでも生きていく。
それが見終わったときの率直な感想した。
それではまた。
のじれいか でした。