映画『オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主』。
死者が見える主人公が事件を解決するお話です。
こちらの作品、おおむね高評価なのですが
「高評価の理由がわからない」
「つまらない」
という感想も結構見かけ、評価がかなり別れている印象を受けました。
その理由を探るべく『オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主』を見てみました。
高評価の理由、評価が割れる理由について考え、よいと感じたところ、つまらないと感じたところをネタバレありで書いていきます。
オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主
『オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主』をU-NEXTで観る
作品情報
製作年度 |
2013年 |
上映時間 |
96分 |
監督・脚本 |
スティーヴン・ソマーズ |
キャスト |
オッド・トーマス(アントン・イェルチン)
ストーミー(アディソン・ティムリン)
ググ・ンバータ=ロー
ニコ・トルトレッラ
バットン・オズワルド
ウィレム・デフォー |
予告
入り口はコメディタッチの『シックスセンス』という印象
カリフォルニアの街のあるダイナーで働くオッド・トーマス(アントン・イェルチン)は変わり者と思われている。
その理由は、死者の霊が見えるため、挙動不審な行動があるからなのですが、街の住民の多くはそのことを知りません。
霊が自分の前に現れると、オッドは霊の態度から理由を探り、犯人を捕まえる。
街の警察署長(ウィレム・デフォー)と、オッドの恋人ストーミー(アディソン・ティムリン)の2人は、オッドの特別な力に知っています。
死者が見えるということで、単純に『シックスセンス』を連想しましたが、こちらは大きな事件に繋がります。
『シックスセンス』は小さな事件でしたが、こちらで扱う事件は大量虐殺事件になりそう。しかも事前にわかっているので、阻止するためにオッドは立ち上がるという展開です。
事件の予感からはちょっとゴタゴタ感・ネタバレあり
ある日、オッドは、霊のなかでもタチの悪い「ボダッパ」という透明でエイリアンみたいな死神が大量にいるのを発見します。
「ボダッパ」は、普通の死ではなく、邪悪な犯罪や大量死があるとき現れる。
事件を予感したオッドは、街にいる怪しい人物を調べるようになります。
ボダッパが取り巻いているキノコみたいな頭だからキノコ男(シュラー・ヘンズリー)とオッドとストーミーが呼ぶ男を怪しいと睨み、オッドは男の家に潜入します。
するとキノコ男の家にあったカレンダーから「15日」だけが切り取られ、その日大きな事件が決行されることが窺える。
オッドとストーミーは大量殺人事件が起こるのを阻止しようとしますが、キノコ男から追われて、逃げ切ったと思ったら、友人のリゼットが野犬に襲われて亡くなります。
しかも自宅にいた署長も、命は助かりましたが、何者かに撃たれます。
オッドが家に帰ってみると、なんとオッドの部屋でキノコ男が死んでいる。
先ほどオッドの前に現れたのは、キノコ男の幽霊でした。
誰かが自分に罪を被せようとしていることに気づいたオッドは、キノコ男の遺体を隠した後に、手がかりを求めて再びキノコ男の家に。しかしキノコ男の霊に襲われて命からがら逃げ出します。
この辺りの主人公の行動や心理は、理解できませんでした。
以前も潜入した家になぜまた行く必要があるのでしょう。(しかもちょっとグロいです)
救いなのはオッドの彼女、ストーミー役のアディソン・ティムリンが可愛いところ。
オッドとストーミーが一緒にいる時間は長く、2人が本当に愛し合っていることは伝わってきました。
キノコ男は誰に?・ネタバレあり
15日に起きる事件の犯人は誰なのか。
結論からいえばキノコ男は事件の犯人ではありますが、死んでいる。
キノコ男がいなくなっても「ボダッパ」が消えない。つまり、事件は終わってはいないことを意味します。
キノコ男には仲間がいました。
キノコ男の体に彫ってある「POD」というタトゥーが、以前、ストーミーと話していた一見さわやかな警察官(ニコ・トルトレッラ)の腕に彫ったタトゥーと同じことから、警官がキノコ男と同じカルトに属していることがわかります。
もう一人警官も加えた4人で大量殺人を計画していることにオッドは気づくのでした。
オッドの家にキノコ男の遺体があったのは、仲間の仕業。
犯人をドットに仕立て、事件から目を逸らせることが狙いだったのです。
テンポもいいしスリルもあり、映像もいいと思いました。
ただちょっと引っ張りすぎかも。
冒頭から少しして、ウィレム・デフォーが登場した時点で、絶対にコイツが何か企んでいると疑いの視線しか向けられなくなりましたが、それは制作側の意図的な狙いでしょうか。
軽いタッチの『シックスセンス』のような始まりで、『コンスタンチン』のような雰囲気になっていきますが、カルト信者が犯人であっても、起きているのは現実世界の設定です。
また大きな事件が起こることが比較的最初の方でわかるのに、なかなか事件に繋がらないので長く感じるかもしれません。
事件は起きてしまうのか?・ネタバレあり
タトゥーの件で犯人が複数人存在することがわかったオッドは、ショッピング・モールへと向かいます。
するとモールには、オッドの店の同僚、ヴィオラ(ググ・バサ=ロー)がいる。
ヴィオラは自分が死んだ夢を見ており、不安をオッドに打ち明けていました。
夢の内容が、15日の事件に関連していると感じたオッドは、ヴィオラから詳しい話を聞き、とにかく街から離れるようにアドバイスをしてヴィオラは街を離れたはず。
店内にはたくさんの「ボダッパ」がうごめき、トッドはモールで事件が起こることに気づきます。
そしてモールでは彼女のストーミーが働いている。
入り口が封鎖され、猟銃が撃ち込まれる。格闘して彼らを倒すオッドでしたが、それ以外にも地下の駐車場に時限爆弾が積まれた駐車場があることがわかり、オッドはトラックごと店を出て犯人と格闘。爆発寸前で脱出します。
スリルもアクションもあります。
ただもし、オッドが大量殺人が起こる場所として最初からモールを怪しんでいないのが不思議。ヴィオラの話をよく聞いていれば、見当がつきそうな気もします。
スタジアムとボーリング場が怪しいと考えていましたが、勘のよい人なのに最後のツメが甘いかもです。
また一番危険な場所に、最愛のストーミーを置いておくのはどうかしています。
事件は終わって・ネタバレあり
オッドは犯人との格闘で倒れ、病院で目ざめます。
ストーミーに付き添われて、日に日に回復するオッドは、街のヒーローになるのですが、事件の概要を聞くのを避けたがり、ストーミーと一緒に部屋で過ごすようになります。
その後、ストーミーはモールで撃たれて亡くなったことがわかる。最愛の女性の死を受け入れるのを恐れたオッドは、真実から目を背けていたのでした。
感動するラストです。
銃撃戦がひと段落したときの雰囲気で何かを予感させられ、もし普通に事件を解決できたのならオッドが落ち込む理由がないので、突然のバッドエンドというよりは、ラストは意外というよりは、察してしまう流れでした。
この映画は本国ではあまりヒットしなかったんですね。というかコケていると言えるのですがどうしてでしょうか。
主人公のオッドを演じたアントン・イェルチンは『スタートレック』の印象が強かったのですが、この映画が公開された2年後、27歳で亡くなっています。
難病とも闘っていたそうです。
まとめ・好きだったところ、残念だったところ
『オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主』について、面白いのか、つまらないのかを考えながら見つつ、感想を書きました。
好きなところ・残念だったところをまとめます。
好きなところ
- 設定は面白い
- 役者もいい(個人的趣味)
- 恋愛映画としてもいい(ラストのオチを含む)
残念に感じたところ
- 犯人が複数人いるカルト集団オチのため話がごちゃっとした印象
- 詰め込みすぎた感じがする
- オッドの思考や行動がたまに理解できない
- ちょっとグロい
映画は好みのあるもので、つまらないと感じる人もいて当然ですが、私はよくできている映画だと思いました。
結論は「決してつまらなくはない」。
それではまた。
のじれいかでした。