息子の嫁が、気に入らない姑。
自分で呼んでおきながら、会うたび嫌いなところ探しにご執心な姑。
でも姑は気づいていない。
自分が嫌う相手からは、それ以上に自分が嫌われていることに。
そして、嫌いな相手の伴侶である愛する息子からも……。
厄介な姑との関わりから、何もしないことで開放された嫁の話です。
姑の主宰する食事会に呼ばれ続け
姑(60)は毎月、食事会と称して息子家族を自宅に呼んでいました。
息子(32)と嫁(28)は2人とも会社員。
息子夫婦は小学生の女の子と3人で暮らしています。
息子を定期的に家に呼びたい姑は、食事会を思いつきました。
息子家族を呼びつけること5年。
最近の姑の不満は、食事の支度をするのも片付けるのも姑だということ。
息子家族は「ごちそうさまでしたー」と言いながら仲良く帰っていく。
食事会は週末なのだし、もっと嫁が率先して手伝ってもいいのにと、姑は不満をつのらせるようになりました。
母の気持ちを知らない息子は、嫁に「自分の家だと思って寛ぎなよ」と優しい。
本当は息子に「お前も母さんを手伝え」と言って欲しいのに、家族3人仲良くしているのが面白くありません。
「いいわねえ、いつも、お客さんで〜」
嫁に向かってちくりと言葉を刺しますが、聞こえていないのか、嫁は知らんぷりです。
姑、弟(叔父)に愚痴る
我慢できなくなった姑は、自分の弟(息子にとって叔父)にそのことを愚痴りました。
『親族巻き込み』作戦です。
弟は、必要とされるのが好きな単純な性格で、余計なお世話を喜んでするタイプ。
そのままだとインパクトに欠けると感じた姑は「キツイ嫁に虐げられている、大切にされていない」と話を盛ったのでした。
思ったとおり、弟は、詳しいことを何も知らないのに、甥(姑の息子)に連絡を取ると、「嫁がキツすぎる、お母さんが気の毒だ、もっと親を大切にしろ」と一方的に叱咤しました。
息子が聞いた母の本音
叔父の言葉に驚いた息子ですが、叔父とはいえ関係ない人から自分の妻を悪く言われて、いい気分のはずはありません。
しかも叔父から叱咤された内容は、まるで言われのないこと。発信元は訊ねるまでもないこと。
息子家族の家は、実家から車でおよそ1時間半、往復で3時間はかかる所です。
小さな娘を連れて、毎回結構大変な思いをしながら帰省していました。
息子の電話があり、喜んで出た姑(母)。
しかし息子の口調は冷たく不機嫌。
「どうして叔父さんに嫁子を悪く言ったの?」と言われ、悔しさがこみ上げました。
「お母さんは、あなたたちが来るのをいつも楽しみにしているのに。呼んだときしか来ないじゃないの」
息子の方は、忙しい所、遠くから会いに行っているのにと、自分たちの努力を伝えますが、母(姑)は冷静さを失い感情丸出しになります。
「嫁のせいで、孫が自分になつかない」
「嫁が母(自分)を尊敬していない」
嫁が台所を手伝わず、食事会への積極的参加に欠ける、と「いろいろ言いたくなっちゃうのー」と息子に感情を吐き出してしまいました。
実母の本音を聞いた息子は、自分の嫁にそれほど悪意を持っていたことに驚きます。そして、当分の間、食事会は止めた方がいい言い出し、姑は行きがかり状、仕方なく受け入れることになりました。
なんとも破滅的な解決ですが、食事会はなくなったので、姑は嫌いな嫁のために食事を作らなくて済みますし、嫁は貴重な週末を家族で過ごせるようになりました。
いいことだらけかも。
嫁は何をしていたのか
妻は姑にうんざりしていました。
夫は知りませんでしたが、子育てへの口出し、家の相鍵を貸すようにと迫られたりなどなど、これまで数えきれないほど嫌な思いをさせられてきて、正直限界でした。
食事会にしろ、面倒な思いをして会いに行っても嫌味グチグチ。
百害あって一理なしです。
姑が自滅するまでの間、嫁は何をしていたのか。
本当に何もしていませんでした。
したことは2人への根回しだけ。
嫁の根回し・舅
舅はほぼ空気ですが、専業主婦で働いた経験のない姑は、舅に対して負い目があるのか、最終的は判断は舅に委ねている。その関係性を空気で感じ取た嫁は、舅に「いつも何もしないで、ほんとにすみませんー」と姑がいないときに毎回言いつつ親しく接触。
舅が良ウトで、さりげなく味方に引き込むことに成功します。そうすれば姑の爆走を諫めてくれるなどのことも期待できると、舅を姑の前に置くイメージで接していました。
・舅一番
・姑サイゴ
実は舅は家事のできない人ではありませんでした。
それに呼んでいるのは自分ではなく自分の妻。
忙しいのに妻の呼び出しに応じてくれるだけでも感謝しなければと「いいよいいよ」と笑顔で頷いてくれました。
嫁の根回し・夫
妻は、以前、夫に実家に行きたくないとゴネました。
夫は「何もしないでいいから行ってくれ」と言いました。
妻は「本当に何もしないよ、それでいいの?」と念を押します。
何もしなくていい、いるだけでいい。
そして、嫁は娘の世話をするだけ、という約束を交わしました。
夫が何か要求するのではと疑っていましたが、約束どおり夫は嫁に何も求めませんでした。
そのうち絶えきれなくなった姑が自爆してくれたわけです。
まとめ
一般的に息子と母親の絆はかたい絆で結ばれていることが多いものです。
だから、息子が結婚することで、息子を他人に取られたと考える母親は多く、怒りの矛先は自然と嫁に向かいます。
息子にしても、自分の母親が一番とどこかで思っているものです。
母は絶対に自分の見方だと信じているので、まさか母親が自分の妻に悪意を抱いているなどと想像できない場合がほとんどなのです。
「まさかママが、僕のお嫁ちゃんを嫌うなんてこと、あるはずがない」
母親を人間として見ていないのです。
母親を人間として見れるようになると、立ち位置が変化して、視野も広がるんですけどね。
マザコンな息子を、上手に目を覚まさせるのは妻の腕の見せ所かもしれません。
今回の夫は、自分の母親が非常に人間らしい人だと気づき、見る目が変わったそうですが、大人として成長したということでもあります。
それではまた。
のじれいか でした。