こんにちは。 のじれいか(@noji_rei)です。
『mellow』は、今泉力哉監督が手がけたハートフルコメディ。
郊外のゆったりとした日常を舞台に、田中圭が演じる主人公の花屋がモテまくるといったお話です。
・ハラハラドキドキはないが安心して観られる
・花が好き
・田中圭が好き
という方は、特に楽しめる映画だと思います。
今回は『mellow』のストーリーについて、また感じたことについて書きます。よろしければお付き合いください!
【映画】『mellow』
作品情報
2020年 105分
監督:今泉力哉
田中圭が告白されるドラマっていうと、アレを思い出してしまうわ
「好きです!」笑
キャスト
夏目誠一(田中圭)花屋『mellow』の主人
古川木帆(岡崎紗良)父に代わりラーメン屋を営む
浅井宏美(志田彩良)mellowの客、中学生
水野陽子(松木エレナ)中学生、先輩の彩良に想いを寄せている
佐藤ゆいこ(竹中涼乃)夏目の姪、小学生で不登校気味
古川左近(小市慢太郎)木帆の父
青木麻里子(ともさかりえ)夏目の客、主婦
予告
ストーリー
花屋『mellow』の店主の夏目誠一(田中圭)は、花を愛する平和な男だ。
夏目の姪で小学生のゆいこ(竹中涼乃)は、学校に行きたくないときがあって、そんなときは夏目と一緒に店を手伝っている。
近所のラーメン屋の店主、古川木帆(岡崎紗良)は父に代わってラーメン店を営んでいる。夏目と木帆は付き合いが長く親しい間柄だが、恋人というわけではない。
『mellow』にはいろいろな客が訪れる。あるとき夏目は、定期的に花を届ける、青木麻里子(ともさかりえ)から夫の目の前で告白されて仰天。そんなふうに夏目に思いを寄せる女性は多い。
実は、木帆も夏目を好きなのだが、木帆は店を閉店し海外留学することを考えていた。離れてしまうのに告白するのはエゴだと考える木帆は、夏目に気持ちを打ち明けないつもりだった。
また、木帆は、客に閉店を告げるつもりはなかったが、閉店を夏目に打ち明けたとき、お客さんには知らせた方がいいとアドバイスされ木帆の気持ちは動く。そして夏目のいうとおり閉店を告げることを決め、夏目には気持ちを綴った手紙を書こうと思う。
夏目がモテるのは主婦と中学生…(ネタバレあり)
夏目はモテモテですが、相手は主婦と女子中学生と、まったく現実的ではない相手ばかり。
店によく顔を出す、浅井宏美(志田彩良)は、夏目のことが好きですが、宏美はまた、後輩女子たちから思いを寄せられるモテ女子です。
宏美は中学生なので、夏目が自分の気持ちを受け入れるはずがないとわかっているのですが、自分が後輩の水野陽子(松木エレナ)から告白され、やはり自分も夏目への気持ちを打ち明けたいと考えるようになります。
このあたりは、生っぽくないほんわかした百合の展開ですが、相手が人妻となれば話は別です。
夏目はある日突然、客の青木麻里子(ともさかりえ)から告白されます。麻里子とは花屋と客としか接点がなかったので、夏目は仰天します。
しかも、夫がいる前で。
このあたりはコメディ要素が大きいかも。ただ、夫婦は秘密を持ち続けても平和を維持するものなのか、たとえ傷ついても真実を知りたいか、といったテーマが覗いています。麻里子の夫は、彼女を愛しているからこそ、真実を知りたいと考える人らしいです。
このあたりの流れは、ついつい『おっさんずラブ』を思い出してしまいましたね。
出会いと別れがテーマ(ネタバレあり)
木帆は父が倒れたとき、父のラーメン屋を引き続きましたが、本当は木帆自身は建築の勉強がしたかった。しかしやがて父がやがて亡くなってからも、店を守るかたちで店を続けてきました。
その後、木帆は店を辞めることもできたが、それをしなかったのは、もちろん父親への思いが大きかったし、続けることで父との場所を守りたかったのでしょう。
でもそれ以外に、自分の中で、自分のやりたいことに進む覚悟ができていなかったこと、店を続けることを人生の逃げ道にしてきた部分もありました。
イタリア料理のシェフだった木帆の父がつくるラーメンは評判だったらしく、当時は人気店だったけれど、見様見真似で続ける木帆がその味に追いつけるわけはなく、店は客離れが進んでいった。
そんな木帆の支えになってくれていたのが、夏目でした。
木帆は夏目への感謝が愛に変化していくのを自覚しつつ、同時に甘えすぎていると思うようにもなっていた。だからこそ店を閉じて街を離れる決意をかためたのかもしれません。
愛の告白が前面に出ているけれど、実は出会いと別れ、そして自立が描かれる、前向きで少しだけ切ない映画でした。
告白は気持ちを確かめることだけが目的ではない。先へ進むための手段でもある。つまりすれ違っていく瞬間を捉えているのかも。そんなことを考えさせられました。
なぜなら告白をした人たちは、それぞれ別の道を歩み出しているから。同じ場所に止まってはいないし、好きだからこそ離れることも大切と思わせてくれる。そんなことを教えてくれる、清々しい映画でもありました。
▼ 今泉力哉監督作品はこちらにもあります!
それではまた。のじれいか でした。