憂うつになったときは明るい映画を見る。それで暗い気持ちが吹き飛んでくれたらよいのですが、明るい映画を観て余計に落ち込んでしまうこともある。
そんなときは気持ち同様、憂うつな映画を見ることで「つらいのは自分だけじゃない」と気持ちが楽になれることもあると思います。映画によっては抱えている問題について、何かしらのような光を照らしてくれることがあるかもしれません。
憂うつなときにこそ観たい、おすすめ映画5選ぶをご紹介します。
憂うつなときに観たい、憂うつな映画10選
メランコリア(2011)
ジャスティン(キルステン・ダンスト)の結婚式が姉クレア(シャルロット・ゲンズプール)と夫ジョン(キーファー・サザーランド)の自宅屋敷で開かれる。盛大で優雅な式だというのにゲストも新婦のジャスティンもどこか憂うつそう。やがてジャスティンは式の最中だというのに奇行に奔りだす。そんな彼らの頭上では、巨大惑星「メランコリア」が静かに地球へと接近していた。
人は恐怖や取り除けない不安があるとき、どういう行動を取るのか。世紀末感漂うSF映画です。
製作年度 |
2011年 |
上映時間 |
102分 |
監督 |
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キャスト |
シャルロット・ゲンズプール アレキサンダー・カスカルスガルド |
ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000)
舞台は1960年代のアメリカ。子供とふたりでアメリカに移住し、質素だが小さな幸せを守りながら暮らしている主人公のセルマ(ビョーク)。セルマがアメリカに来たのはセルマ自身も持っている先天性の視力の病気の治療を息子にさせるためでした。
そんなセルマを次々と不幸が襲います。非情なまでの不幸、それに飲み込まれていくセルマはどうなっていくのか。
『メランコリア』同様、うつ監督トリアーが描く絶望の世界がすごい。
製作年度 |
2000年 |
上映時間 |
140分 |
監督 |
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キャスト |
ジャン=マルク・バール ウラディカ・コスティック |
マッチ工場の少女(1991)
地味で何も持っておらず、誰からも愛されていないマッチ工場で働く女イリス(カティ・オウティネン)。給料を母に取られ、義父には殴られたイリスはディスコで出会った男とチークダンスを踊るのだが……。
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のように絶望感漂うストーリーなのですが、この話は徐々にコメディに振られていくのが面白い。
最悪の事態を受け入れるだけでは人生はつまらないというオチに少しだけスカッとできるフィンランド映画です。
製作年度 |
1991年 |
上映時間 |
70分 |
監督 |
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キャスト |
カティ・オウティネン エリナ・サロ エスコ・ニッカリ ヴィサ・ヴィエリッコ |
イージー★ライダー(1969)
薬物売買で大金を手にしたワイアット(ピーター・フォンダ)とビリー(デニス・ホッパー)は、カリフォルニアからニューオリンズまで謝肉祭に行きたくて、オートバイに乗って旅に出ます。気ままな旅を楽しむつもりでいたふたりは、行く先々で嫌な思いをするようになり、アメリカの現実を肌で感じるようになります。
だんだん絶望していくふたりは、結局のところ自由など何処にも存在しないことに気づいていきます。アメリカンニューシネマのなかでも圧倒的な閉塞感と絶望感のある映画です。ピーター・フォンダの美しさとデニス・ホッパーの雰囲気がいい。
製作年度 |
1969年 |
上映時間 |
94分 |
監督 |
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キャスト |
アントニオ・メンドーサ カレン・ブラック
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普通の人々
この話自体が直接憂うつになる映画ではないのですが、主人公のコンラッドの気持ちになれば、兄が亡くなり、その兄を溺愛していた母からは一線を引いて扱われる。どうしても愛せない母の憂うつになるお話です。
公平であってほしいと人は願うけれど、現実には公平などあり得ない。愛は不確実で不公平なものなのです。愛されないことを嘆くより、それを受け入れて乗り越えていくことを選んでいく話でもあります。
製作年度 |
1980年 |
上映時間 |
124分 |
監督 |
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キャスト |
ジャド・ハーシュ |
マシニスト(2002)
不眠症になって1年間が経過している機械工の男(クリスチャン・ベイル)が、不気味な張り紙を自宅で見つけてから、誰かが自分を陥れようとしていると疑心暗鬼になっていきます。追い詰められて苦しみもがく男は果たして救われるのか。不気味なミステリー、サスペンス映画です。
これを観てしまうと「ちょっとの不眠症くらい何よ」って楽な気持ちになれるかもしれません。
製作年度 |
2002年 |
上映時間 |
102分 |
監督 |
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キャスト |
アイタナ・サンチェス=ギヨン ジョン・シャリアン ラリー・ギリアード・Jr
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パンズ・ラビリンス(2006)
内戦のスペイン、再婚して妊娠中の母親と少女オフェリアは、母の再婚相手の大尉に引き取られ、森の中の砦に移り住む。大尉はオフェリアを疎んじ、オフェリアはどんどん孤独になる。やがてオフェリアの中に別の迷宮の世界が生まれ、オフェリアはその世界の中に居場所を得るように。 だが現実は一層、過酷なものになっていくのだった。
自分の中に別の世界を築き上げながら、オフェリアはなんとか現実の世界を受け止めます。美しくそして悲しい、ダークファンタジーの代表作品的な映画です。
製作年度 |
2006年 |
上映時間 |
119分 |
監督 |
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キャスト |
イバナ・バケロ |
ガタカ(1997)
遺伝子操作で、すべてが優れている適正者と、そうでない不適正者に区別されられてしまう世界。主人公のヴィンセント(イーサン・ホーク)は不適正者として生まれてしまい人生の選択肢を狭められてしまう。ヴィンセントの夢は宇宙飛行士になることだが、不適正者になれる職業ではなかった。
絶望したヴィンセントだが、DNAの仲介業者によって、元水泳選手だが脚の事故で自由を失ったジェローム(ジュード・ロウ)を紹介される。ヴィンセントはジェロームとして宇宙飛行士になるため、訓練を受けることになるのだが。
生まれ持った優劣がさらに厳しくなった世界です。努力で乗り越えられるものとそうではないものは現在だってあまりにも多いですが、ジェロームは現在よりもさらに厳しい世の中に生まれました。けれど諦めることなくわずかな可能性を信じて、自分の命を燃焼させるように生きようとする。その姿に何かを感じることができるかもしれません。すばらしいSF映画です。
製作年度 |
1997年 |
上映時間 |
106分 |
監督 |
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キャスト |
COMET(コメット)(2014)
すい星を観る会で、デル(ジャスティン・ロング)とキンバリー(エミー・ロッサム)は出会います。ふたりは恋に落ちるのですが、別れ話が出たり、実際に別れてしまったりとすれ違っていきます。
恋がはじまるときには恋の終わりも予想もしないもの。ときに妄想もあったり精神的に不安的になったりしながら、恋を終焉に向かわせ、それを認めてゆく心模様が繊細に描かれています。
製作年度 |
2014年 |
上映時間 |
91分 |
監督 |
サム・エスメイル |
キャスト |
エリック・ウインター セイラ・セルヴィ |
幸福の鐘(2002)
ただ歩いている男の話です。勤務先の工場が閉鎖されて、呆然としながら歩く男(寺島進)は、歩く先々でいろいろなことに巻き込まれます。ときに不思議な現象だったりもするのですが、男はそれを淡々と受け入れているように見える。
ただ歩くというスタンスを変えずに歩き続けた男の先にあったものは? また男はどこに向かうのだろう。帰る場所はあるのか?これは孤独と向き合う男のロードムービーです。
製作年度 |
2002年 |
上映時間 |
91分 |
監督 |
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キャスト |
白川和子 |
さいごに
憂うつなときに観たい、憂鬱な気分の映画10選をご紹介しました。一生懸命観なくてもいい、ぼんやり眺めているだけでも少し救われるかも。そんな感じでちょっと楽になれたらいいなと思い選んでみました。
それではまた。
のじれいか でした。