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【映画】『君は永遠にそいつらより若い』闇を見つめる人、闇を知る人、きっと何かが伝わる【ネタバレ・感想】 

こんにちは。 のじれいか(@noji_rei)です。 

映画『君は永遠にそいつらより若い』は、児童福祉士としての採用が決まった大学4年生の主人公が、周囲の人たちが経験した現実を知っていく話。

共感できるか否かは、人それぞれかもしれない。でも、見た人それぞれに、きっと何かが伝わる。そんな映画でした。

ストーリーについて、感想をネタバレありで書きます。

よろしければ、お付き合いください!

 

 

▼津村記久子の原作はこちら

 

 

【映画】『君は永遠にそいつらより若い』

 

作品情報


監督:吉野竜平
原作:津村記久子
2021年 118分 
<キャスト>
・堀貝佐世(佐久間由依)
・猪乃木楠子(奈緒)
・吉崎壮馬(小日向星一)
・穂峰直(笠松将)
・岡野あかり(森田想)
・安田貴一(葵揚)

予告

www.youtube.com

 

ストーリー


大学4年生の堀貝佐世は、児童福祉士の採用が決まり、大学最後の時間をぼんやりとゆるく過ごしていた。

堀貝は、卒論で使うアンケートを友人たちに頼んでいるのだが、その交換条件として一限の授業のノートが必要になり、同じ授業を履修する3年生の猪乃木楠子と出会い、親しくなる。

一方で堀貝は、同級生の穂峰直という男子を特別な存在と思っているが、その穂峰が突然亡くなってしまう。穂峰と親しい友人の吉崎は、なぜか急に堀貝との接触を断ちたがるのだった。

 

 

好きなところ

 

主人公・堀貝の個性と魂がよい


堀貝は男性経験がない(処女)のですが、隠してるわけでもなくポップな呼び方にして欲しいと「ポチョムキン」と自虐し、笑いに変換しています。


そんな堀貝なので、人との関わりが築けない訳ではなく、むしろ男女分け隔てなく接することができるユニセックスな雰囲気のキャラです。また、あまり公にはしていませんがレズビアンなところもあります。

また堀貝は、同級生の穂峰くんに対し、異性の好意とも少し違う、特別な感情を抱いていて、酔って結婚を申し込んだりしています。穂峰くんはそんな堀貝を「面白い人」と思っていました。

穂峰くんが思うように堀貝はユニークで面白い女性ですが、堀貝自身は自分を欠陥人間だと心底感じて悩んでいました。

自分が処女なのは、他者に対する無知さ故であり、人が普通にできることが自分にはできないので、こんな欠陥だらけの人間が、他者の人生に入り込む資格はないのではないか。けれど児童福祉士は他者の人生に関わるのが仕事なので、自分に許されるのだろうかと思い詰めています。


実は、堀貝が児童福祉士を職業を希望した理由には、十数年前に起きた児童行方不明事件がきっかけになっている。事件が気になり少年の身を案じ、その子を自分が助けられたらという願いが込められていました。

痛ましい事件が起きた報道を目にすると、事件が頭から離れなくなる気持ちは共感できる。たとえ自分の一方的な思い込みだとしても、堀貝という女性は、現実に逃げることなく、自分と世の中を深く見つめている人なのだと思います。

 

猪乃木楠子さんの過去(ネタバレあり)


堀貝と同じ大学の三年生・猪乃木楠子さんを演じているのは奈緒。レトロカジュアルなファッションのかわいい女の子です。堀貝と猪乃木はノートの貸借りをきっかけに出会い、ご飯に行って酔った堀貝を猪乃木さんが連れ帰ったりするうちに親しくなります。

堀貝と猪乃木さんはどちらも両親が離婚していますが、二人の絆が深まるのは、堀貝が自分の欠陥を猪乃木さんに打ち明け、そんな堀貝の素直さに触れた猪乃木さんが堀貝に心を開いていくため。

猪乃木さんは精神的に大人びていて、どこか影が感じられる。実は中学生のとき暴漢に襲われ、それが原因で両親は離婚、祖母に育てらたという過去があります。しかもその際、耳に目立つ傷を負ってしまいました。

多感な時期に被害者になり両親からは棄てられながら、PTSDなど精神障害を負うことなく普通に暮らせているのは猪乃木さんの心の強さからです。

これまで猪乃木さんは自分を奮い立たせるように生きてきたけれど、胸の中には過去が浄化されず深い傷になって残っている。すべてを聞いた堀貝は、猪乃木さんが背負っていたものに気づかなかった自分を責めます。

猪乃木さんの耳の傷に、どうして私は気づかなかったんだろう。猪乃木さんは周囲に傷が見えないように髪で隠してきたので、わからないのが普通だと答えます。

でも、堀貝は言います。たとえ猪乃木さんが頑張って隠してきたとしても、気づけなきゃいけなかったのにと。

堀貝のその言葉は、これまで一人で闘ってきた猪乃木さんの心の傷を癒すのでした。

同級生・吉崎の複雑な心境(ネタバレあり)

 

堀貝の同級生・吉崎は気の良い仲間でした。吉崎は亡くなった穂峰直と親しく、亡くなった前日も一緒に飲んでいました。

最初、穂峰はバイクの事故死と聞いていた吉崎でしたが、実は事故ではなく自死であったことを彼の弟から聞かされ、亡くなった前日に一緒にいながら何も気づかなかったことに苛立ちを感じていました。

穂峰くんは亡くなる前日に堀貝の話をしていた。吉崎は急に堀貝に冷たく接するようになりますが、その心理は、堀貝の顔を見たり喋ったりすると、穂峰くんのことを思い出してつらかったためと、後に吉崎本人が告白しています。

それ以外にも、薄っすらと堀貝に対する嫉妬みたいな感情があったのかも。堀貝にとって猪乃木さんが特別な人であるように、もしかすると吉崎にとって穂峰くんは特別な存在だったのかもしれません。

また、穂峰くんの部屋の下階にはネグレストに遭っている子供がいて、その子を自分の部屋に避難させて警察沙汰になったことがあるのですが、穂峰くんと堀貝は魂が似ている。男女の恋愛とは違う心の繋がりがあったのが窺えます。

 

堀貝のバイト先の後輩・安田の悩み(ネタバレあり)


堀貝は清酒メーカーで検品のアルバイトをしているのですが、就職が決まってバイト終了が近づき、後輩に仕事を引き継ぐことになります。

おしゃべりで陽気な大学生の安田は、堀貝と適当に楽しく仕事をしています。何の悩みもなさそうな安田は、いい感じになった女の子について堀貝に色々と話して聞かせます。

しかしある日、安田が女の子とうまくいかなかったこと、その理由について堀貝は聞かされることになってしまう。

それは、性の悩みで、結論をいえば堀貝と同じ状況なのですが、彼の場合は肉体的コンプレックス。笑ってしまうのですが、本人にとっては大きな問題なのは、堀貝と同じです。

 

舞台が京都から東京に(ネタバレあり)

 

原作は京都が舞台ですが、大学で出会い、就職で別れていくことになる設定なので、東京を舞台にした方が伝わりやすい気がしました。

堀貝と猪乃木さんは、府中に住んでいる設定です。

 

 

猪乃木さんが暮らすのは元店舗の一軒家。親戚から格安で借りていると話していました。街並みは住宅街だからなのか、ピントがぼかしてあることが多いこともあり、撮影場所はわからなかったのですが、府中の駅チカらしき場所がちらっと出ていました。

残念に感じたところ

 

堀貝役の佐久間由依がかわい過ぎ

主人公の堀貝という女性は背が高くて処女、卒業後は児童福祉士になることが決まっている。イメージするとちょとモサい人で、少なくともそこまでかわいいくはない女性をイメージします。

ですが、佐久間由依は当然ながら、やたらとかわいいので、このカジュアルな役柄は似合っているのですが、それにしてもかわい過ぎました。

個人的に、佐久間由依で思い出してしまうのは『時空探偵おゆう 大江戸科学捜査』これも面白い役だったなぁ。




▼佐久間由依の出演映画はこちらにもあります!

noji-rei.hatenablog.com

 

 

それではまた。のじれいか でした。