こんにちは。 のじれいか(@noji_rei)です。
『かしこい狗は、吠えずに笑う』は、女子高生の「怖い友情」を描いた物語。最初はヒューマンドラマのようで、やがてじわじわ恐怖が迫る劇場型のサスペンス。
友情か依存か。(のようで、実は異なる切り口が見えてくる。)
この映画のサブタイトルは、「友達をどこまで許せるか?」なのですが、孤独だった女子高生に友達ができ、その友達の真実が徐々に明かされていきます。
今回は『かしこい狗は、吠えずに笑う』のストーリーについて、また感じたことについて書きます。よろしければお付き合いください!
【映画】『かしこい狗は、吠えずに笑う』
作品情報
2013年 94分
監督:渡部亮平
製作品150万円でつくられたことでも話題に
監督の渡部亮平は、本作で第34回ぴあフィルムフェスティバルでエンタティメント賞と映画ファン賞を受賞。現在は、脚本家やドラマやCM制作家としても活躍しています!
こちちらの作品の監督でも
キャスト
熊田美沙(mimpi*β)女子校2年生
清瀬イズミ(岡村いずみ)女子校2年生
黒川マリナ(もりこ)
西尾アヤ(瀬古あゆみ)
栗田保(石田剛太)高校の非常勤講師
予告
ストーリー
女子高生の熊田美沙(mimpi*β)は、ブルドック顔をしていると、周囲から見下され友達がいない。
そんな美沙は、ある日、クラスにいる、清瀬イズミ(岡村いずみ)と言葉を交わすようになる。
美沙は、カワイくて愛くるしいイズミは自分とは違うと思っていたが、実はイズミもかわいいことでイジメられていたことを知る。
友達のいない美沙とイズミは急接近。やがて親友になっていく。
一方、クラスではイジメグループの一人、西尾アヤ(瀬古あゆみ)が行方不明になり、周囲は騒がしい。
美沙は、イズミと親友になれたことで楽しい日々を送っていたが、やがて、イズミの押し付けがましく有無を言わさない言動に、脅威を感じるようになる。
素朴な友情を見せながら…
美沙は「ブルドッグ」に似た醜い容姿。それもあってクラスからハジかれ、友達はいません。
毎回、生理痛に苦しめられている美沙は、同じクラスのイズミから生理痛を改善する方法を教わったことがきっかけに、言葉を交わすようになっていきます。
イズミは、自分と違いカワイイのでリア充のはず。そう思っていた美沙は、イズミから友達がいないと聞かされて意外に思う。やがてふたりは、民家のみかんを盗みどりするなど、普通によくある女子高生らしい交流をしていきます。
美沙とイズミの会話のテンポは秀逸。それに、ほのぼのとした女子の場面にほっこりしもさせられます。
でもそのバランスが微妙に崩れていく…。
すぐ親しくなれるのは素敵なことですが、相手をよく知らないことはある意味リスクでもあるのかもしれない。
やがて美沙は、イズミの別の顔を知ることになります。
小動物を愛でる美沙にイズミは?
美沙は小動物が好きで大切にしています。というか、何処か自分が人間であることを憂いているようでもある。
そんな美沙は、学校では金魚を世話し、家ではセキセイインコを飼っていますが、あるときイズミが、水槽を割ってしまい魚を死なせてしまう。
そのことを事後報告で知った美沙は、すぐに助ければ死ななかったはずと、イズミに疑いの目を向けるようになる。
やがて美沙の気持ちに気づいたかのように、イズミは美沙に対して荒々しい面を見せるようになります。美沙は飼っていたセキセインコをイズミに強引に奪われてしまうのですが、その頃からイズミを恐れるようになります。
美沙はイズミを恐れつつも突き放すことができない。それは美沙にはイズミしかいないから。その気持ちはわからないでもないのですが、イズミの言動はますますエスカレートしていきます。
人を動かすことは恐怖と利益(ネタバレあり)
わかりやすく言ってしまえば、イズミはサイコです。
高校の非常勤講師、栗田保(石田剛太)は、女子トイレの隠し撮りをしていたのをイズミにばれ、イズミは栗田の行為を黙っている代わりに、テストを事前に知らせるなどの利益を得ていました。
あとイズミは、自分を虐めていたアヤを栗田の部屋に軟禁していた。美沙はそれを知っても通報しませんが、その後、ますます爆発したイズミは、栗田とアヤを手にかけてしまうのでした。
ブサイクですど、信じて貰えますか(ネタバレあり)
壊れた内面を曝け出したイズミは、栗田とアヤを殺めてしまい、「一緒に逃げよう」美沙を誘います。拒絶した美沙はイズミと揉み合ううちに……。
残された美沙は、裁判で正当防衛が認められます。面会をする弁護士に向かって美沙の投げかける「私、ブサイクですけど信じて貰えますか」という一言が、スパイスのよう利いてました。
友情のようでいて、物語の本質はコンプレックス。なるほどーな映画でした。
▼邦画のサスペンスはこちらにもあります!
それではまた。のじれいか でした。