こんにちは。 のじれいか(@noji_rei)です。
映画『恋する遊園地』(JUMBO)は、内気なフランス人女性が、遊園地のアトラクション(遊具)に恋をするファンタジー。
恋愛の対象が「人」ではなく、「物」という主人公は、家族や周囲からの理解を得られず葛藤します。
ストーリーについて、感想をネタバレありで書きます。
よろしければ、お付き合いください!
【映画】『恋する遊園地』
作品情報
監督:ゾエ・ウィトック
2021年 94分 フランス、ベルギー、ルクセンブルク
<キャスト>
・ジャンヌ(ノエミ・メルラン)
・マーガレット(エマニュエル・ベルコ)
・マルク(バスティアン・ブイヨン)
・(サム・ルーウィック)
ストーリー
フランスの地方都市に母親と暮らすジャンヌは、ミニチュア制作が好きな内気な女性。
男好きな母とは違い、人付き合いが得意ではないジャンヌは、子供の頃から足繁く通っている遊園地で働くことになる。
そしてジャンヌは運命的な出会いを果たす。その相手は「ムーブ一イット」というアトラクション。
すぐにジャンヌはムーブイットを「ジャンボ」と呼ぶようになり、恋心を抱くのだが、それを理解できない周囲は、ジャンヌの感情を尊重せず、無理に矯正しようと考える……。
好きなところ
珍しい「対物性愛」の物語(実話がベース)
物好きだという人は多くいますし、何かに強いこだわりを持つ人もいます。
一般的にはそういう人は、コレクターやマニアと呼ばれていますが、そこまででなくても、大切にしている愛用品があったり、物にこだわりがあったりするのは、誰でもあることだと思います。
ただ、この物語のジャンヌが遊園地のアトラクションのジャンボに抱く感情は、「所有欲」とか「萌え」といった感情を超え、物を性的な対象として捉えているところです。
ジャンヌのような人は、「対物性愛」(Object sezuality)と呼ばれています。
この話は実話が元になっているそうで、そういえば、エッフェル塔や、ベルリンの壁と結婚したというネットのニュースを目にした記憶が蘇りました。
▼駅と結婚した女性もいるんですね
理解不能なものに対する視線がテーマ(ネタバレあり)
遊具に恋をした主演のジャンヌを演じるノエミ・メルランが、フランス人のダサめな女子を上手に演じています。
ジャンヌは人付き合いが苦手なミニチュア好きの女性ですが、現実逃避をするため対物性愛になったわけではない。
やがてジャンヌは、油まみれになりながらジャンボとの愛に溺れます。理解できない人にはまったく理解できなくても、本人にとっては恍惚となる一時なことがわかります。
またこの物語は、対物性愛の主人公だけではなく、彼女の周囲の人たちの感情も核になっている。
自分が理解できない価値観(性癖)を持つ相手に対して、どのように接するのかというところが見どころになっています。
残念に感じたところ
フランス人もマイノリティが苦手?(ネタバレあり)
ジャンヌのような対物性愛者は、マイノリティな個性を持つ人だと言えます。
けれど誰に迷惑をかけているわけでもなければ、誰かを傷つけているわけでもないので、普通に受け入れられていくのではないかと個人的には思います。
でもこの話では、男好きなジャンヌの母や、従業員仲間の男性は、ジャンヌの気持ちを矯正させようとします。
何かと同じ価値観を求められがちな日本とは違い、個人主義のフランスだったら、もうちょい自由なのかと思いましたが、そうではないんだなとがっかりしました。
ママの彼氏がキューピッド(メタバレあり)
ジャンヌの母親や、ジャンヌに好意を抱く同僚は、ジャンヌの対物性愛を異常だとみなし、徹底的に否定、決して認めようとしません。
けれど、母親の彼氏が、ジャンヌは変わっているけど、誰も止めさせる権利などないと反論することで状況が一変します。
それまで大反対だったママの気持ちが翻り、ジャンヌはジャンボと結婚します。
たとえ変わっているように見えようとも、本人の感情が一番優先され、尊重されるラストに一安心でした。