『イン・ザ・カット』はメグ・ライアン主演の官能サスペンス。
1970年代から90年代にかけてラブコメの女王として君臨したメグ・ライアンが、初めて挑んだサスペンス映画です。
主人公の女教師の近くで事件が起こり、事件を追う刑事との情事の先に何が起こるのか?
ストーリーと感想をネタバレでご紹介します。
イン・ザ・カット
作品情報
製作年度 |
2003年 |
上映時間 |
119分 |
製作国 |
アメリカ |
監督 |
ジェーン・カンピオン |
キャスト |
メグ・ライアン、マーク・ラファロ、ジェニファー・ジェイソン・リー、ケヴィン・ベーコン |
真面目そうな教師が生徒と?
高校教師のフラニー(メグライアン)は、生徒のコーネリアス(シャーリーフ・パグ)と待ち合わせをしている。二人が入ったのはバー『レッドタートル』というバー。
フラニーは作家でもあり、作品の取材目的で会っているのですが、フラニーはすぐに化粧室へと立つ。
粧室に向かうフラニーの視線の先に、暗闇にもつれあう男女の姿。女の指先は青く、男の手の甲には♠︎(スペード)の3のタトゥーが掘られている。官能的な場面に出くわしたフラニーは、思わず見入る。
席に戻るとコーネリアスは消えていて、会計を済ませて一人店を出るフラニー。
後にフラニーが高校で教壇に立つ場面もあるのですが、ヴァージニア・ウルフの『灯台へ』を宿題に出した後、フラニーの元に現れたコーネリアスは、昨日はフラニーが戻らなかったので先に帰ったと告げます。なぜ先に帰ったのかよくわからない。この話の登場人物は、行動が共感できない人が多い印象です。
フラニーにしても、昼間とはいえ生徒と会うのにバー? しかも店で男女があんなことこんなことをしているのくらいのかなり怪しい店になぜと違和感を覚えます。
が、その日フラニーが『レッドタートル』に入ったのが事件の始まりでした。
セクシー刑事登場
翌日、帰宅したフラニーの元に、マロイ刑事(マーク・ラフォロ)が訪ねてくる。近くで事件があったこと。被害に遭った女性は、フラニーが入ったバー『レッドタートル』の客だったと聞かされる。
フラニーはあの日、化粧室の前で見た光景を思い出し、マロイの手の甲にも同じスペードのタトゥがあることで、刑事のマロイが事件に関与しているのではと疑いを持つが、密かにマロイに心惹かれていたフラニーはそのことを黙っている。
さらに翌日、マロイは同僚のロドリゲス(ニック・ダビチ)とフラニーを訪ね、事件の詳細を話し、ついでにフラニーをデートに誘う。
まだ事件が始まったばかりなのに、いきなり刑事が参考人をデートに誘うところもアメリカ的。日本の映画やドラマでは考えにくい展開でした。
主人公フラニーの環境と思考
フラニーは高校の英語教師で欲望を閉じ込めて生きているというほど禁欲的ではありませんが、感じるがままに生きているわけではない。オープニングで流れるドリス・ディの『ケセラセラ』はフラニーという女性の心情を表しているはずで、人生の不確かさ、男女の恋の先行きの不明なところが現れています。
フラニーには仲の良い異母姉妹のポーリン(ジェニファー・ジェイソン・リー)がいる。彼女たちの父は女癖が悪くて結婚を5回も繰り返しており、親の生き様を見てきた姉妹は結婚して幸せになりたいと願うが、ポーリンは妻子ある男性を好きになり傷つけられてと悲しい立場にいる。
ポーリンはフラニーにチャームのついたブレスレットを贈ります。『結婚への憧れ』という名前のついたブレスレットはチャームに結婚によって手に入るアイテムが下がっていて、そこにはベビーカーと赤ちゃんも。 この場面は好きでした。
▼こういうタイプのブレス
デートに誘われたことをポーリンに打ち明けると、ポーリンは自分の服をフラニーに貸しフラニーはポーリンのキャミソールドレスを着て、マロイとの待ち合わせに向かうのだった。
フラニーという女性はメモ好きで、電車内で広告の文面に目を止めるのが好き。気になる文面を書き留めますが、時折彼女が書き留める文面が雰囲気づくりに役立っているのと、本編の先々を想像させる上で役立っています。フラニーとポーリンはストレートな描写で会話をしますが、それはここで扱われる事件と当事者になってしまう女性たちの心理の表れでもあり、なかなか深い部分もありました。
また最初からフラニーをずっと尾行している男、医大生のジョン・グラハム(ケヴィン・ベーコン)とは以前は会っていたけれど、現在はフラニーの気持ちは完璧に離れてしまっている。ニューヨークという街でフラニーという女性は、男たちに見守られているのか、狙われているのか。危うさが描かれています。
フラニーとマロイは深い関係に
ポーリンのドレスを着たフラニーはマロイとデートでいい雰囲気に。ところが途中でマロイの同僚刑事のロドリゲスが乱入して雰囲気は台無しに。自分から誘っておきながらマロイはフラニーを構わず、マロニーは店を出てしまう。
ここもまったく気持ちが理解できませんでした。誘っておいて同僚と談笑?帰るのに放置なのか意味不明です。
で仕方なく小雨降る夜の街をひとり歩いていたフラニーは、何となく想像できますが、暴漢に襲われ、逃げ切ったところをタクシーにぶつかって負傷してと散々な目に遭う。
警察官として迎えに来たマロイとフラニーは結ばれます。
恐怖心からの欲望の方が燃える……といった狙いなのでしょうが、展開的には共感できませんでした。フラニーは翌日もショックを引きずっているし、それどころじゃない気状況のはずなので。
この映画が注目されたのはメグ・ライアンはニックダビチとの絡みの場面で、惜しみなく裸体を見せているところ。そこが映画の見どころでもあるのですが、肉感的なタイプでもないので、意見はいろいろあるでしょうが、ここはチラ見に留めた方が想像力が沸いたように思えました。
怪しい4人の男たち・妹ポーリンも犠牲に(ネタバレあり)
フラニーはマロイに惹かれながらも、やはりスペードの3のタトゥーはマロイに間違いなく、レッドタートルで見たのはマロイだと確信している。
マロイは離婚したが幼い子供がいて、その子のことはすごく可愛がっている様子。やがてマロイはフラニーに婚約しないかと匂わせるが、フラニーは妻と離婚したことも信じられない。
そんなことをしているうちに事件の犠牲者は増える。医大生の女性が犠牲になり、やがてフラニーの妹のポーリンまでが犠牲に。
怪しいのは次の4人。全然別のところから犯人が涌いてくる破綻した物語もたまにありますが、この話はそうではありません。
・マロイ刑事(子持ちバツイチ)手の甲にスペードの3のタトゥーがある
・ロドリゲス刑事(マロイの同僚)酒癖が悪い、妻にDVを働いた過去がある
・コーネリアス(フラニーの生徒)つかみどころがない
・ジョン・グラハム(医大生)フラニーをつけまわす。元彼?
正直全員あやしいですね。
男性の登場人物で気になったのは、フラニーの回想として登場するフラニーとポーリンの父親の若き日を演じる俳優。回想なのでセリフはなく笑顔でスケートを滑っているのですが、婚約者を連れながらフラニーの母に一目惚れをして、婚約者が返した婚約指輪をフラニーの母にプレゼントして結婚を迫ったというエピソード。
「ロマンチックね」と彼女たちはうっとししながら話しているのですが、どこがロマンチックなのか。かなりひどい男ですが、場面は美しい。
テロップによれば Micheal Nuccioという俳優です。
https://resumes.actorsaccess.com/one_page_resume.cfm?custom_link=michaelnuccio
さいごに(好きなところ)
メグ・ライアン主演、サスペンス映画『イン・ザ・カット』をご紹介しました。登場人物があり得ない行動を取るので、正直相当戸惑いながら見た印象が残る作品でした。
よかったのは、映画全体の雰囲気。色彩や街を捉える視線も好きでしたし、手振れのように撮影して恐怖感や不安定さを与える演出も嫌いではない。詩的な描写もあり、退廃的な美しさはよく出ていると思いました。オープニング、エンディングで流れる『ケセラセラ』も出来事とは別で人生を悟る姿勢が表現されていました。
この作品、ニコール・キッドマンが製作を手がけていますが、当初は主演もニコールで話が進んでいたとか。どういった事情でメグ・ライアンになったかは不明ですが、ニコール・キッドマンといわれると何となく納得できるのと、そう思って見続けるうち、メグがニコールに見えてきたりもするので不思議。美人は似ていると言いますからね。
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※本記事の情報は2021年3月時点のものです。
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美人が登場サスペンス映画はこちらにもあります
それではまた。
のじれいか でした。