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【映画】『ホテルローヤル』波瑠のホテルのお客は岡山天音【ネタバレ・感想】

映画『ホテルローヤル』は桜木紫乃の短編小説の映画化。

北海道の湿地にぽつんと佇むラブホテル「ローヤル」を舞台に、経営者家族の事情、従業員たちの心情、そしてホテルを利用する客たちのことが淡々と描かれる。

その場所にあったものは、それなりの理由があってそこに生まれた。そして終わるのにも理由がある。人の心は時間と共にどうしようもなく変わっていくもの。

派手さはないのですが、なかなか沁みるドラマでした。

映画のストーリーをネタバレありで、また感じたことを書きます。 

 

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ホテルローヤル

 

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※本記事の情報は2021年5月時点のものです。 最新の配信状況はサイトにてご確認ください。

作品情報 

2020年 104分
監督:武正晴

キャスト
波瑠、松山ケンイチ、余貴美子、原扶貴子、伊藤沙莉、岡山天音、夏川結衣、安田顕

予告

www.youtube.com

ストーリー

 

舞台は北海道の釧路湿地の高台に建つラブホテル「ローヤル」。

美大受験に失敗した田中雅代(波瑠)は、実家で経営する「ローヤル」を仕方なく手伝う。雅代は、アダルトグッズの営業・宮川(松山ケンイチ)に密かに想いを寄せるが、宮川はほかの女性と結婚してしまう。
 

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「ローヤル」の社長は雅代の父、田中大吉(安田顕)だがやる気がなく、実質の経営は妻のるり子(夏川結衣)が仕切っている。「ローヤル」には創業当時からの従業員の能代ミコ(余貴美子)太田和歌子(原扶貴子)がいるが、ミコは息子が逮捕されるなど大変だ。


やがて、ルリ子は家を捨て若い男と逃げてしまい、またまた仕方なく雅代がホテルを経営することに。僻地にある「ローヤル」にはあらゆる客が訪れる。高校教師の野島亮介(岡山天音)と生徒の佐倉まりあ(伊藤紗莉)は互いに絶望し「ローヤル」の一室で心中。心中事件でマスコミが押し寄せるようになった「ローヤル」は客が入らなくなり経営難に陥り、大吉も病に倒れてしまう。

他人の非現実に付き合い続けてきた雅代も、自分の人生を見つめようと思うようになっていった。

演出の面白さ・好きなところ(ネタバレあり)

 

物語の冒頭。廃墟になった「ローヤル」を若い男女が訪ねます。

貴史(丞威)は投稿ヌードの撮影場所に「ローヤル」を選び、美幸(冨手麻妙)を連れてきた。最初は随分前に廃業したラブホテルでの撮影を嫌がる美幸でしたが、貴史の本気さが伝わってだんだん本気に。

 

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貴史が暗闇でシャッターを切ると、まるで心霊写真のように往時が蘇り、ミコや和歌子が掃除をする姿が浮かび上がって当時の物語が動き出す。その演出が面白く、思わず引き込まれました。  

また「ローヤル」を廃業した雅代が車で去っていくのと入れ替わり、若き日の大吉とるり子が入ってくる。若い二人は夢と希望に溢れている。私たちはその先を見てきたことになるけれど、悪いだけではない、いいときだってあった。離婚する夫婦だっていいときだって当然あったし、そこに嘘はない、そんなことが伝わってきます。

 

雅代の脇役感・好きなところ(ネタバレあり)

 

物語の主人公は、波瑠演じる雅代ですが、雅代には主役感がありません。地元の連中からは「ラブホの娘」と呼ばれるのが嫌でたまらず、父は母と不倫関係だったのを、雅代を身籠ったのをきっかけに結婚して「ローヤル」を始めた。

親ガチャではないですが、生まれ育った環境をどのように捉えるかはその人次第。雅代の環境が嫌だと感じない人もいるでしょうが、雅代にとっては嫌なことだらけだった。でも雅代は他人の非日常を自分の日常として受け止め、留まり続けた。

大吉とるり子の娘にしては律儀な性格が邪魔をしたのでしょうが、環境はそう簡単には変えられず、環境を変えるには大きなエネルギーが必要になる。そのことは変わった環境にいればいるほど崩すのが困難になりそうで、気持ちはわかるなと思いました。

 

伊藤沙莉の女子高生・残念だったところ

 

伊藤沙莉演じる佐倉まりあと岡山天音演じる教師の野島は、生徒と教師で色気のない関係です。


ただ雨宿りで本当に「ローヤル」に入っただけ。だけどそんな行動を取る二人には、やはり現実を投げやりにしたくなる理由がありました。

まりあは両親に捨てられて行くところがない。野島は妻が結婚前から自分の上司と不倫関係にあり、まだ続いていると知って絶望していました。ドラマが暗すぎず淡々と進むのでシリアスにはならずに見れるのですが、親に捨てらた経験を持つ雅代にすれば「それが理由で心中するかね」と考えるのもう頷けます。

 

それと伊藤沙莉の演技が悪いというわけでは全然ないのですが、女子高生の役はちょーっと無理があるんじゃないかなと。あまりガチっぽくしたくなかったのでしょうが、それにしても若干微妙かな。

 

「ローヤル」の意味(ネタバレあり)


ローヤルというホテル名は、雅代を身籠ってつわりで苦しむるり子に、大吉が探し回って手に入れた箱入り高級みかんに貼られたブランドのシールでした。

大吉はそのときの思いを自分が経営するホテルの名前にした。大吉の気持ちをるり子は愛情が枯渇してからも忘れずに「ローヤル」の客室にはみかんを欠かさないようにしてきたのでした。

決して器用とはいえない大吉の、愛情表現は妻のるり子に伝わっていたのです。その後、町を離れる雅代は、両親の姿を想像してほんの一時、過去を懐かしむ。 


今を生きるために過去を振り切ることは必要ですが、黒歴史と目を背けてばかりいないで、時には優しい眼差しを向けてもよいのかもしれない。

 

そんなことを考えさせられる映画でした。良作。

 

▼良作映画はこちらにもあります! 

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それではまた。
のじれいか でした。