Amazon Prime で見れます。
『ぼくだけの宿題』
1時間の短編映画ですが、なんだか昔に引き戻されそうになりました。
小学生の初恋がテーマなようで、実は深さもある、そんな映画。
まだ見ていない人は、ぜひ、見てほしい、おすすめの一本です。
ぼくだけの宿題
作品情報
製作年度 |
2012年 |
上映時間 |
61分 |
監督 |
耳井啓明 |
キャスト |
宮崎孔明、中原ありす、高橋祐樹、古山加奈子、植草賢、小川哲夫、山本姫無、藤崎智子、たんじだいご、岩佐裕一郎 |
公式サイト
好きなところ・郷愁と現代の問題
夏、ひなびた町、お寺に朝のラジオ体操に通ってくる小学生たち。
東京からおばあちゃんの家にやって来た亜耶に一目惚れをする、小学6年生 恭太のひと夏の物語です。
ふんわり懐かしい話なのですが、亜耶がおばあちゃんの家に来た理由が、両親の離婚問題であったり、恭太も両親が離婚しているなど、あどけない子供たちの現実が明らかになる一面も描かれます。
亜耶を想う恭太は、仲間との約束を断ってもラジオ体操に出たいのですが、仲間たちは恭太の恋心など知らないので、結果、気まずくなってしまう。
気持ちを言葉にできないところは、わかりみが深いですね。恋愛は大いなる勘違いから始まるもので事象ではないから、誰にでも打ち明けられるものではない。そんなジレンマは大人も一緒です。
恭太の恋の指南役は、お寺の息子でラジオ体操のお兄さんのモンチ。
亜耶について情報を教えると恭太に言いながら、実は全部口から出まかせの嘘だったり、大人としてはかなり適当ですが、真剣すぎるよりはこのくらいの方がよかったりするのかも。
モンチは町を離れていて、お寺を継ぐために戻った様子だけれど、気持ちはまだ固まっていないような、大人の事情もある様子。
蟻穴に棒を差し込んでは「もっと強い巣をつくるための試練」みたいなことを言ってみたり、お寺の鐘に頭を突っ込んで叫んだりと自由な行動が好きでした。
恭太相手への恋愛指南も案外的をついています。
ネタバレ・恭太の恋の行方
夏休みが終わり、亜耶は東京の家へ帰ります。
珍しく真顔なモンチに「このままでいいのか」と諭されて、恭太は思い切って亜耶の白いボタンを握り締めて、亜耶が乗ったバスを追いかけます。
恭太役を演じた宮城孔明がいい。
子役としてドラマ、映画に出演しキャリアを積んだ宮城孔明は、1999年生まれで、すでに大人になっています。大手芸能事務所のスターダストに所属しているはずなのですが、サイトのリンクが切れていました。色々活躍してきた俳優なのでどうしたのだろうと心配です。
夏、アイスキャンディーをかじりながら見たい
小学生最後の夏休み、自分は何をしていただろう。
ラジオ体操の風景と、蟬の狂ったような鳴き声が溢れる映像を見ていると、自然と自分が小学生だった頃へと記憶が引き戻されていきます。
私は生まれも育ちも都内で、どうしてなのかラジオ体操に通った経験がないのですが、それでも懐かしさは共感できる。
小学生時代の夏休みという、永遠に続きそうですぐ過ぎ去ってしまう、後戻りのできない貴重な時間を、振り返るのには1時間というコンパクトな上映時間は合っているなと思いました。
アイスキャンディーでもかじりながら、彼らの夏を見守りたい。
そんな気持ちになりました。
それではまた。
のじれいか でした。