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【映画】『みなさん、さようなら』団地で生きる男、好き嫌いが分かれそう【ネタバレ・結末?】

映画『みなさん、さようなら』は団地の敷地内だけで生きていくことを決めた一人の男の話。主演の団地男を濱田岳が演じています。

これは好き嫌いが極端に分かれる映画だと思います。ちなみに個人的には割と好き。

『みなさん、さようなら』のどこが好きか。
また残念に感じたところをネタバレありで書いていきます。

 

 

 

 

みなさん、さようなら

 


みなさん、さようなら

 

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作品情報

製作年度

2012年

上映時間

120分

監督

中村義洋

キャスト

渡会悟(濱田岳)

渡会日奈(大塚寧々)
緒方早紀(倉科カナ)
薗田憲明(永山絢斗)

松島有里(波瑠)
秦二郎(ベンガル)

マリア(ナオミ・オルテガ)
堀田(田中圭)

 

 

予告

 

www.youtube.com

団地の衰退を見守る男の話かと思えば

 


渡井悟(濱田岳)は中学に通わない不登校児。その理由はイジメにあっていたわけでもなければ、勉強が嫌いだったわけでもない。団地の敷地を出たくないという理由で、団地の中だけで過ごしている。

悟は、母親(大塚寧々)と二人暮らし、母もそのことは黙認している。悟は日々、勉強と体を鍛えて規則正しく暮らしていた。

ときは1980年代のはじめ。悟と同じ団地に暮らす小学校の同級生は卒業当時107人

敷地内には店もあるので生活に不便はない。義務教育を一日も通わず卒業した悟は、団地でひいきにしているケーキ屋の店主(ベンガル)にどうにか雇ってもらい生計を立てるようになる。

悟は住民のことが気になって、日に何度も団地の見回りをしている。周囲から気持ち悪がられても気になって仕方ない。

悟の家の隣人、有里(波瑠)と一時期は恋人未満の距離感になったり、早紀(倉科カナ)と付き合って婚約までしたりと案外モテるが、団地の敷地から出ないので関係は続かない。

世の中も移り変わる。
同級生たちは成長して、団地にいた卒業生たちは転居してどんどん減っていきます。

「変わりたくない」小学校の同窓会で、悟と早紀は語り合うのですが、変わらずにいたい気持ちはよくわかる。たとえば私にも、たぶん一生会うことはない、幼稚園や小学校の同級生たちの名前をなぜか覚えていたり、妙に近い距離感で認識することがあるから。それって近い感覚だなと共感してしまいました。

過ぎ去った時間(思い出)の取り扱いは人それぞれ。新しい環境に早く順応でき、上手に気持ちを切り替えられる人には伝わりにくい感覚かもしれません。

悟の時間がゆったりして、ほかの人とは速度が違うことを描きたいのか?
そう思いながら観ていると、実は団地から出ないことに理由があることがわかってきます。
 

団地から出ない理由(ネタバレあり)

 

最愛の早紀にフラれても、団地から出られなかった悟。
最初は引きこもりに近い感覚、狭い空間で生きたい男の話だと思いましたが、物語の中盤、早紀が悟との将来を不安に感じ始めるところで、悟のトラウマが明らかになります。

小学校の卒業式の前日、学校に不法侵入した中学生に友人が刺されるのを、悟が目の前で目撃。恐怖で団地の外に出られなくなったのでした。
日々、体を鍛え、不法侵入者に対して団地の住民を守ろうと悟は考えていたのです。

原作を読んでいないので意外な展開でした。おそらく小学生の男の子にとってはすごく大きな出来事に違いない。でも年月が経つにつれて、原因は風化され現実との差が広がるのも仕方ないこと。

悟の小学校卒業から15年以上が経過すると、団地には単身者や外国人居住者が増え、建物も老朽化が進みます。世の中の変化、たとえば人の死を自然のものとして受け入れられない悟は、小さな変化がだんだん悟の身近なところに近づいてくることを自覚するようになります。

 

 

 

予想どおりの展開かと思えば(ネタバレあり)

 


ベンガルが高齢で悟に店を譲り、悟は唯一の同級生で精神を病んでいる薗田(永山絢斗)と店を切りもりしようと持ちかけますが、薗田は精神病院に入院してしまい、悟はひとりになります。このあたりはタイトルからも予想できたことですが。

その後も元気よく団地の敷地内でケーキ教室をして暮らす悟は、外国人母子を日本人のDV夫(田中圭)から守ります。団地にはびこる悪に立ち向かい、団地の住民を守ると誓った初志を貫いたカタチですね。

そして団地を去る母子を見送る。ここまで見送ることに慣れてしまえば、もう怖いものはない。この人はもうこのまま団地を出ることはないだろう……。

そう思ったとき、あっけなく日常は覆され、悟はこの16年間で一度も下まで降りることができなかった団地と外をつなぐ階段を無意識に降りて駆け出します。

悟をこれまで静かに見守ってくれた存在に感謝する。母親ってありがたいなーというラストでした。

 

さいごに

 

濱田岳演じる団地男の渡会悟は、小学校のときの強いトラウマが影響して団地の敷地から出られなくなっていた。その流れは理解できるし、理解したいと思うのだけれども、なんとなくもっと捻くれたキャラを想像し、望んでしまっていたので、案外普通でよい人だったのは、ちょっと裏切られた感がありました。

もうちょい心理的な何かを抱えている人の話かと勝手に想像していたので。でも前半の何かと闘おうとする姿勢であるとか、変化に弱いメンタルが出ているところは好きでした。あと団地という特殊な環境はとてもよく描かれていると思いました。

団地を舞台にした作品は近年でもよく発表されていますが、ここまで団地の衰退を描かれると住んだことはないのに物悲しくさせられます。


映画『団地』は不思議SF映画でした。

ceramicsstar.hatenablog.com


ミステリーサスペンスのドラマ。
佐野史郎演じる主人公の団地への愛はこちらの方が強い。センチメンタルです。

www.tokai-tv.com



誰でも自分の世界があって、その中で生きている。
ただ、目に見えるものにこだわり過ぎてしまうと、自分を苦しめてしまうのかも。

この人って団地に住んでなかったらどうしたんだろう。
一軒家やアパートだったら本物の引きこもりになっていた可能性が大なので、そういう意味では団地住まい万歳ですね。パティシエにもなれたし、恋もできた、婚約だってできたのだから。

普通に世の中に出ていたって、パティシエになって、波瑠みたいな女の子といちゃいちゃして、倉科カナと婚約して、チンピラの田中圭をやっつけるなんて、そう簡単にはできないでしょうから。

それではまた。
のじれいか でした。