閃光
Amazon Primeで配信されている『閃光』は、偶然出会った男女のラブストーリー。フリーター男と台湾人女性との、淡々としているようで貴重で切ない時間が描かれます。
短編映画ですが沁みました。
ストーリーの概要のご紹介と感想を書きます。
作品情報
2018年 36分
監督:石橋夕帆
キャスト
フリーターの男(田中一平)
台湾人のキャバ嬢(葉媚)
男の元カノ(小西悠加)
予告
ストーリー
男(田中一平)は、常連らしきバーで、元カノ(小西悠加)と待ち合わせる。それは男が持っていた元カノの部屋の鍵を返すため。ただ元カノとはいえ、別れて年月が経過しているようで表面的にはサバサバした雰囲気。元カノは結婚の報告をし、男に「ちゃんとしなよ」と友人としての心配をします。それは男がフリーターで定職に就いていなから。
元カノと別れた帰路、男は公園のブランコで遊ぶ、台湾人の女(葉媚)と出会います。
その夜、男と女は、男の部屋で関係を持ち、女は部屋に居つく。超絶自然体な男女の日常が続いて……。
誰もが一度きりの時間を生きている・感想
フリーターの彼はイケメンで穏やか。キャリア形成とか自己実現みたいな面倒臭さとは無縁の一緒にいて疲れない相手、でも結婚となれば話は別です。
男と別れた元カノは、今はもう別の相手と結婚することが決まったけれど、おそらくかなり悩んだ時期もあったことが窺える。
男も元カノのことを嫌いになったわけではない様子、だけど生活を大きく変えることは男にとって簡単なことではなかった。
男は夜の児童公園でブランコに乗る女と出会う。「私は難しいことを考えるのが好きじゃない」女の言葉に、自分と似たものを感じた男は、女を自分の部屋に連れて帰ります。男の部屋は昭和のアパートそのもので、食事もベッドの上といった、だらしのない暮らしぶり。全然羨ましくないはずなのに不思議な懐かしさを覚えてしまう。
翌日バイトに出た男が部屋に戻ると、帰ったと思った女は部屋で黙々と牛丼を食べている。生活感1200パーセントの凄さです。
男は女に帰れと諭すのかなと思いながら見ていると、男は来る者拒まず去る者は追わずに近い人らしく、また女を気に入っているようで、「まいっか」と女を自由にさせます。
女の仕事はキャバクラ嬢だといいますが仕事に行く気配はない。ずっと店をバックれているけど、お金を貯めたからバックれても構わないと話していて、そのあたりの生っぽさもリアルでいい。女はキャバ嬢だけあって甘え上手で、男に甘える場面は、女の私から見てもかわいかった。本音を言えているようで、心の中で葛藤していそうな元カノとは別の種類の女性ですね。
見ていて共感できるのは元カノの方じゃないかな。「イキオクレにならずに済んだ」と言いながら、彼と過ごした街の風景を懐かしがるところに、夢と現実の時間の交錯が垣間見れます。
台湾人の女は、男に「海に行きたい」と誘います。だけどそのときの口調は現実離れしていて、実現しそうにないことが伝わってしまう。
男と女は結婚しなければ、いつ別れてもおかしくない危うさがある。だけど危うさがあるからこそ、一刻一刻に燃焼できるのかもしれない。 どれだけ安定したところで、永遠などないことはわかっているのが人間の悲しみでもあります。
この映画は色彩がとても美しい。まさに一瞬の光のように、夢のような時間を見ることができます。
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それではまた。
のじれいか でした。