こんにちは。 のじれいか(@noji_rei)です。
映画『ちょっと思い出しただけ』は、別れた恋人が、過去を遡っていく物語。
彼と彼女が過ごした6年間を彼の誕生日ごとに振り返っていく物語です。
別れを描く物語は洋画では多いですが、邦画では珍しいかな。
ダンサーとタクシー運転手の職業が面白かった。
池松壮亮と伊藤沙莉のカップルがナイス!
ストーリーについて、感想をネタバレありで書きます。
よろしければ、お付き合いください!
【映画】『ちょっと思い出しただけ』
作品情報
監督:松井大悟
2021年 115分
<キャスト>
・佐伯照生(池松壮亮)
・野原葉(伊藤沙莉)
ストーリー
ダンサーの佐伯照生は足の故障でダンスを断念、舞台照明の仕事をすることになった。照生は誕生日の7月26日にダンス仲間と行きつけの飲み屋にいる。
タクシー運転手の野原葉は、かつて演劇の道を志したことがあり、友人の舞台を見にいて照生と出会っていた。
コロナ禍の中、仕事で客を降ろした劇場で、葉は、舞台の隅で一人踊る照生を見てしまう。
好きなところ
邦画では珍しい別れの物語(ネタバレあり)
ざっくり言うと、別れた恋人が過ごした過ごした6年間を、彼氏・照生の誕生日である7月26日に焦点を当てて描かれるお話です。
照生と葉の恋模様は、時系列では進まず、断片的に前後しながら進みます。
6年間の変化は、ダンサーの照生は髪を伸ばしていましたが、足の怪我でダンスの仕事を諦め、照明の仕事にキャリアチェンジします。
以前、髪の長い照生に、葉が誕生日プレゼントにバレッタを贈りましたが、それは不要になり、それも見る側に二人の時間の立ち位置を教えてくれます。
また物語が2021年7月からスタートして遡っていき、コロナ禍の現実が忠実に再現されています。
別れの映画は洋画に多いですね。真っ先に思い出したのは『ブルーバレンタイン』でした。恋が破綻する恋愛映画には『COMET コメット』『500日のサマー』といった名作もありますが、そういった作品にも寄せている印象でした。
二人の職業が新鮮でいい
タクシー運転手の葉は、夜の仕事をしていそうな乗客から(高岡早紀)との雑談で、「仕事の好きなことって何?」と聞かれます。
葉は「何処かに行きたいと思うけど、何処に行けばいいかわからないことがある。だけどタクシー運転手は、お客さんに行き先を決めて貰えるから、いつでも何処かに向かっているように思える」みたいに答えるのですが、そういう気持ちはすごくよくわかりました。
ダンサーの照生は、池松壮亮が演じているだけあり飄々としたキャラクー。だから足の故障という大ショックを比較的冷静に受け止めています。でも実はかなりつらそう。そのあたりから二人の関係が変わっていくことになります。
永瀬正敏の待つ男の意味(ネタバレあり)
二人が暮らすアパート近くの公園で、ずっと妻を待ち続けているおっさんが永瀬正敏が演じるジュンさんです。二人の時間が流れていく中、実はおっさんには亡くなった妻をただ待ち続けています。
変わっていく二人と、変わらないおっさんの対比は味わい深さがありました。
残念だったところ
6年続いたカップルなの?(ネタバレあり)
誕生日の1日を切り取っているので、見える風景は限定的ですが、それでも全体を俯瞰すると6年間続いたカップルにはちょっと見えませんでした。
二人が結婚していれば、別れのとき、もっと苦しみが伴い、それこそ『ブルーバレンタイン』のようになりそうですが。
あと、やはり切り抜いているのが照生の誕生日という1日なので、そこがいいという考えもあると思うのですが、二人の全体が見えないのがちょっと物足りなくも思えました。
▼池松壮亮の出演作品はこちらにもあります。
それではまた。のじれいか でした。