映画『きみにしか聞こえない』は、遠く離れた場所に暮らす男女がテレパシーで繋がるお話です。主演は成海璃子、小出恵介。
ライトノベル作家、乙一の原作『きみにしか聞こえない CALLING YOU』の映画化。
いろいろ考えさせられましたが、よきお話でした。この映画を観て好きなところ、残念に感じたことをネタバレ含めつつ書いていきます。
きみにしか聞こえない
作品情報
製作年度 |
2007年 |
上映時間 |
107分 |
監督 |
荻島達也 |
キャスト |
相原リョウ (成海璃子) 野崎シンヤ (小出恵介) 原田リョウ (片瀬那奈)
リサイクルショップ店員 (石川伸一郎) (羽田実加) 相原伸子 山口先生 相原哲司 戸田 野崎さち |
予告
よかったところ・設定と展開がいい!
女子高校生の相原リョウ(成海璃子)はどこにも自分の居場所がないと感じて、日常でほとんど人と話すことがない。あるとき公園でおもちゃの携帯電話を拾ったリョウは、 知らない相手と頭の中で繋がって会話ができるようになる。すなわちテレパシーですね。
リョウと繋がった相手は野崎シンヤ(小出恵介)、リサイクルショップで働く、壊れたものを直すのが好きな青年、壊れた携帯をいじっていて偶然リョウと繋がります。ふたりの共通点は古いものが好きでモノを大切にするところ。リョウは話す相手がいないから携帯も持っていません。それはシンヤも同じです……。
最初、リョウはシンヤを自分の頭の中の想像の存在で、現実ではないと戸惑うのですが、シンヤが実在する人物であることがわかり、存在を受け入れ、交友を深めるようになります。
リョウの孤独は過去のトラウマが原因していましたが、そのことをシンヤに打ち明け、シンヤから自信を持って生きることを勧められるうち、世の中に対して心を開くようにもなってゆく。
この話がありがちな女子高校生の成長ストーリーだけではないのは、シンヤにとってもリョウは大切な存在だから。耳の聞こえないシンヤは世界中でただひとり、リョウと声で繋がれる。一度も会ったことのないリョウが、シンヤにとってどれだけ大切な存在であるかがわかるからです。
また、横浜で暮らすリョウと長野に暮らすシンヤは物理的な距離だけでなく、なぜか1時間の時差がある。リョウはシンヤの1時間後の世界と繋がっています。
偶然繋がってしまう原田(片瀬那奈)との関係もなかなか面白く、ストーリーを引き立てます。
家族や友人同僚も必要以上登場せず、話のほとんどはリョウとシンヤの会話で進んでゆく。なのでふたりの心模様がじっくり描かれるところも素敵なところといえるでしょう。
残念なところ・運命の出会いではあるが(ネタバレあり)
リョウとシンヤは偶然繋がり、出会いに運命を感じます。やがてお互いに心惹かれ、頭の中だけで話すのがもどかしくなって会いたくなる。当然の流れだといえますね。
そこまではいい感じに話は進むのですが。
だんだんこのふたりは会ってよかったのだろうか……。なんとも残念な展開になっていく。最悪の事態を避けようとリョウは奮闘しますが、やはり運命は変えられないという悲しいオチに。
個人的にはそこが残念。
また、原田はなぜリョウを引き留めない? のかが不思議でした。
▼みなさんの意見
はっきりいって結末が安易。
この結末はちょっとないんじゃないかって思う。
途中まではよかったのに、ラストがお涙頂戴すぎてがっかり。
実は私もそんなふうに思えてしまった。でも感動したという方はそれ以上に多いので、このオチでよかったのかもしれません。シンヤが自分の命をかけても守りたい存在がリョウで、そのことが伝わるラストにはなっています。
さいごに
携帯からテレパシーに繋がるファンタジーラブストーリー『きみにしか聞こえない』。
成海璃子がかわいくて光っていました。この映画の撮影当時はまだ15歳くらいで、リアルな世代を演じているはずですが、しっかりして大人びた印象です。
成海璃子も子役から活動していたこともあり、多くの視線に触れて早く成長したのでしょうか、先日結婚を発表しましたが、ますます幅広い作品へチャレンジしてもらいたいと思いました。
本作品のストーリーは、韓国映画『イルマーレ』(イ・ヒョンスン監督)に似ていると言われていますが、個人的には『イン・ユア・アイズ 近くて遠い恋人たち』(ブリン・ヒル監督)を思い出しました。両作品より、『きみにしか聞こえない』が早い時期につくられているのですが。原作者の乙一が似ているとした作品は『オーロラの彼方へ』(グレゴリー・ホブリット監督)という映画、こちらは親子の愛を描いています。
テレパシーネタは好きですね。
以前、有名脚本家先生が「テレパシーネタなんてオワコン」と言っていたことがありますが、そんなことはない、魅力的なスローリーであればいいのだと思います。
▼成海璃子主演映画はこちらにもあります。
それではまた。
のじれいか でした。