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【映画】『彼女がその名を知らない鳥たち』最高の愛の言葉じゃん!【ネタバレ・感想】

【映画】『彼女がその名を知らない鳥たち』は、『ユリゴコロ』『九月が永遠に続けば』の沼田まかほるの小説の映画化です。

日々の暮らしに不満を感じる女が求めるものは何なのか。それを見守る男との屈折した愛、だけどここまで貫くことができたなら、その人を咎める権利は誰にもない気がする。観終えたあとに感じたのはそんなことでした。

 

 


『彼女がその名を知らない鳥たち』の感想をネタバレありで書いていきます。

 

彼女がその名を知らない鳥たち

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作品情報

 

製作年度

2017年

上映時間

123分

監督

白石和彌

キャスト

北原十和子(蒼井優)

佐野郡治(阿部サダヲ)

水島真(松坂桃李)

国枝カヨ(村川絵梨)

酒田(赤堀雅秋)

野々山美鈴(赤澤ムック)

中嶋しゅう(國枝)

黒崎俊一(竹野内豊)

 

 

予告

 

www.youtube.com

  

中途半端な暮らしの風景に見えて

 

生活感溢れる部屋のなかで、腕時計が壊れたことで店にクレームの電話をしている北原十和子(蒼井優)は、店側がら修理ができないと言われたことに腹を立て、「思い出の時計だから」と交換を嫌がり、ネチネチとしつこく迫る。

十和子の行動を見守っているのか、見張っているのか、十和子の携帯には頻繁に佐野陣治(阿部サダヲ)から様子を伺う電話が入る。それが十和子を一層イラつかせている。

郡治は十和子の夫ではなく同居人。ぼんやりと何もせず過ぎてゆく十和子の暮らしは建設会社勤務の郡治が支えていて、十和子は家事もせず家ではお姫様状態。だけど十和子はまったく幸せそうには見えない。なぜなら郡治のことが好きではなく、郡治から言い寄られるままに一緒に暮らしているだけだから。十和子は8年前に別れた黒崎(竹野内豊)との関係をいまだに懐かしみ、
郡治のことを清潔感がなくて野卑だと疎ましがっているのだった。

 

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やがて十和子はクレーム対応を担当した時計売り場の店員で、スーツの似合うヤサ男、水島(松坂桃李)と深い仲になってしまう。水島は妻と離婚を考えていると話し、タクラマカン砂漠に行った話を「タッキリ・マカンにいると子宮に抱かれているような気持ちになれる、それなのに絶対零度の孤独がある」と語る。


十和子は昔、黒崎から本当に酷い目に遭っていた。それなのに黒崎を忘れることができない。つまりそれほど現在(郡治)に目を向けていないということ。黒崎とはずっと逢っていなかったが、実は黒崎は五年前から失踪していることを知った十和子は、郡治を疑い次は水島に危険が迫るのではと心配になる。

郡治は十和子に盲目的な愛を捧げていて、十和子のためならなんだってすると言い切る。郡治がやらかしそうなのは、予想がつく想定内の展開です。ですがこの話はそう匂わせておきながら、実は違う流れになっていくのです。

最高の愛の言葉を聞いた!

 


やがて水島の周囲でもおかしなことが起こるようになります。郡治は水島を尾行し、水島の自宅ポストに変なモノを入れたことを認めつつ「十和子を不幸にするやつは憎い」「十和子に酷いことをするやつは憎い」と十和子に告げる。加えて郡治は、黒崎の失踪も自分がやったことと認めます。

水島は会社の大切な書類を失くし、それも郡治の仕業と思い込んでいる。だけど本当はまったくの勘違い。タッキリマタンの話にしても十和子に喋っていたことは全部本からの受け売り。安物の時計を「プレゼント」するあざとさ。見た目は爽やかですが中身のない他人を軽んじる男だとわかります。

黒崎を殺めたのは十和子でしたが、自分がしたことを錯乱して忘れているのをいいことに、郡治は十和子に真実を伏せていたのです。郡治は気持ちの悪い男だけど、黒崎のような他のクズ男から散々裏切られてきた十和子の盾になり、犯行も自分がやったと十和子を守っていたのでした。


郡治は最後に十和子に言う。
「俺を産んでくれ! もっとまっとうな男と一緒になって、俺を産んで、そしてかわいがってくれ」
そう告げた後、郡治は命を落とします。こんなにすごい愛の言葉はない。最高の愛の言葉だと思いました。

実は郡治は子供をつくれない体らしいのですが、自分は十和子に子供を産ませることができないから、自分の命を投げ出すことで十和子を守り、その代わりに産まれてきた子供を自分と思って育ててほしいと願っていた。

 

ラストは涙です。
いい悪いでなんて関係ない、ただ引き込まれました。

 

さいごに

 

みんなが失うばかりで、誰も得をしない話。何かしら意味があるとすれば、唯一、郡治が命を断つことで十和子を守ったところに救いがあるのかも。でもそう言ってしまってよいものか、正直迷います。愛を貫いたことは文句なしにすごいことなのですが、それ以外の登場人物は何一つ貫いていない。すごく寂しい気持ちになります。

男の外見に執着し過ぎてしまうと、ロクなことがないといった戒めにも取れるけれど、外見がどうでもいいって言い切れる人も少ないはず。郡治みたいに捨身のタイプって、ああいった恋愛パターンが多そうで、なんだかとてもリアルに感じてしまいました。


肉欲は恋愛で大切な要素ですが、それっていつか必ず終わる。欲望に依存し過ぎた関係は我に返ったとき悲惨でしかない。積み上げたものが何もなく、相手が何を考えているのかもわからない。万が一、十和子と黒崎もしくは水島が結婚したとして、幸せになれないのは明らか。では郡治と十和子に未来があったのかといえば、それも微妙に思えまます。

ただ、郡治がいなくなったことで、十和子を守ってはくれる人はいなくなった。これまでとは違い、一人で恋をしなければならない。失って相手の大切さに気付くことはあるけれど、それってやはり最高に不幸な恋愛だと実感しました。

 

▼自分と闘い続けた男の話もあります。

noji-rei.hatenablog.com

 

それではまた。
のじれいか でした。