こんにちは。
ポスターが4人の男女なので、2組のカップルの話かと思ったら違いました。
1組の男女が、15年の時間を経て再会するストーリーです。
時の流れは、人の見た目や考え方などを変えてしまう残酷さがある。
だけど、時間が経ったからこそ、相手に優しく素直になれるときもあるのです。
切なく感動的な恋愛映画。
そんな『建築学概論』を掘り下げてご紹介したいと思います。
作品情報
製作年度 |
2012年 |
上映時間 |
117分 |
監督 |
イ ・ヨンジュ |
キャスト |
オム・テウン、ハン・ガイン、イ ・ジェフン、ぺ・スジ、ユ・ヨンソク |
予告編
ネタバレ・感想レビュー
この作品の好きなところ
駆け出しの建築家として忙しい日々を過ごしているスンミン(オム・テウン)が、大学1年生だった頃に、一目惚れしたソヨン(ぺ・スジ)に恋焦がれている様子がかわいくも切ない。
気持ちを上手に伝えられず葛藤したり、ダサい自分を恥ずかしく感じたり、恋をしたときの苦しみが切々と描かれています。
ソヨンの気持ちは15年後を中心に描かれ、どうしてあのときああだったのかなど、疑問に感じたことがわかっていく流れになっています。
また2人の距離を縮めていく役割が、建築学概論の授業というのも面白い。
街並みを学ぶ課題のために、街を連れ立って歩く姿は初々しさと、若い2人の未来を感じさせ、とてもよいと感じました。
街の名前が色々と登場するので、韓国の地名に詳しい人であれば、この映画をより楽しめるのではないでしょうか。
15年が経ってすっかり大人になった2人ですが、それぞれの親は変わらず見守ってくれている。親子の愛情が覗けるところもよいところでした。
恋愛映画は数多くありますが、切ない映画としては秀逸、深く心に残ります。
疑問に感じたところ
15年の時間の隔たりを4人の役者さんが演じています。
同じ役者さんが演じてしまうと、時間の流れがわかりにくくなってしまうので、あえて違う役者が演じているのでしょうが、最初はあまりにも別人なので少し戸惑いました。
また15年前、2人が会わなくなった原因はわからなくはないのですが、そこまで好きだったら放置せずに会えばよかったのにと、なんだか残念に思えました。
考察と感想
建築事務所で働くスンミンの元に、実家の設計を頼みにやって来るソヨンはすっかりセレブ妻になっていて、スンミンは最初まったく気づきません。
最初はソヨンからの仕事を断るスンミンですが、会社として受けることが決まります。
実は婚約者がいるスンミンは、建築家としてデビュー作になる仕事なのに依頼主がソヨンなので嬉しいというより複雑そう。
スンミンにとってソヨンは、初恋の相手ですごく好きな女性だったけれど、大学生のときに苦しんで終わらせた恋なのです。
だけどソヨンにとっては過去ではなかった。だったらどうして15年前に誤解を解こうとしなかったのか、すぐに追わなかったのか、そのことが悲しい。
ソヨンはスンミンと再会するにあたり、自分を偽りますがバレてしまいます。
本当のことを打ち明けるつもりはなさそうでしたが、スンミンの婚約を知ってショックも受けるし、淡い期待だって抱いたはず。でもいかんせん時間が経ち過ぎていた。
スンミンはソヨンと再会しても、過去は過去として割り切れる人になっていた。この15年間で成長したのは断然スンミンの方。
そのことに気づいたソヨンはスンミンに気持ちを打ち明けますが、それはあくまで過去の気持ちでした。
本当は今でもスンミンを好きなのに、過去形としてしか気持ちを告げることができなかったのです。
スンミンも「好きだった」とソヨンの告白が過去形だったからこそ、受け入れることができたのでしょう。
だからスンミンは過去の誤解を確かめようとはしなかった。ただソヨンが自分を好きでいてくれたこと、それなのに恋を手放したことを後悔しただけで、それは現在のソヨンへの想いとは少し違うのです。
時を経て体も心も変化するのは当たり前ですが、思い出は永遠に変わることはない。そんなことを教えてくれたように思えました。
スンミンはこれから結婚して生活環境が変わるので、ソヨンのことを忘れて生きていけるのでしょうが、ソヨンはスンミンが設計した家に暮らしながら、スンミンのことを思い出にして生きていくのだろうか。そのことを想像すると切なくなります。
またラストのシーンについては恋が復活するのではなく、ただ当時、ソヨンが隠したCDをスンミンが取りに行っていた、それだけのことだと私は思います。
傷つくのを恐れていい格好をして別れてしまうと、後々つらいことも多い。
そう考えると徹底的に傷つく別れ方も、人生には必要かなと思いました。
ただそれだと美しい思い出にはならないでしょうね。
さいごに
じわじわ切ない、韓国映画『建築学概論』をご紹介しました。
恋人と見るというより、同性の友だちと見ることをおすすめしたい映画です。
現在大恋愛の人、または同窓会などで昔の彼とひょんな再会したときに見るのもよいのではないでしょうか。
あわせて読みたい映画特集
それではまた。
のじれいか でした。